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子どもたちの未来を創る野外教室

先日、素敵なワークショップに参加した。その名も「子どもたちの未来を創る野外教室」。なんとステキな響きだろうーー。学校に食育菜園をつくり、子どもたちが土に触れ、菜園を通して様々なことを学んでもらう取り組みをしている「エディブル・スクールヤード・ジャパン(ESYJ)」が主催した。

何年か前に観たテレビ番組がきっかけで、本国アメリカのESYの活動に興味を持っていた私は、ワークショップ開催のお知らせを聞き、すぐに申し込んだ。実は今年の1月、ESYが手掛けているカリフォルニアのバークレーにある小学校の菜園も見学に行った。

今回のワークショップはESYJの堀口博子代表をはじめ、ガーデンティーチャーとして活躍している松岡美緒さんのレクチャーがあった。松岡さんは 350.org という国際環境NGOが制作したドキュメンタリー映画にも出演している。ワークショップの最初にそのドキュメンタリーの上映があった。日本各地の温暖化、気候変動の影響についてそれぞれの現場の方々が語っている。北海道では昆布の収穫が3分の1に減っている。長野は温度変化が大きくなっている。さらに、岡山での豪雨災害の被害者の方が語り、沖縄のサンゴ被害についても語られている。最後に松岡さんが登場し、最近の採れる植物がこのところ変わってきたことに触れている。これまで他人事だったが、自分も自然とつながっていることを実感したという。

ドキュメンタリー上映の後、グループに分かれて色々とディスカッションをした。みな思い思いに感想を述べた。海水温の上昇はこわい、でもどうしたらよいのだろう? 環境悪化、気候変動はもう待ったなしの大きな課題だということを改めてつきつけられた。

プラスチックはゴミばかりが大きな問題として注目されているが、そもそも製造過程や処理にも大きなエネルギーを使う、そんな些細なことにも気づかせてくれた。

その後、ESYJの実際の活動についての紹介があった。学校の菜園が学びの場になる。手と体を使って全身で自然といのちについて学ぶ。採れた野菜などを食べることで子どもたちはますます興味を持つ。

実際に自分たちで育てた野菜を収穫したチームと、育てたけれど自分たちで収穫しなかったチームでは、野菜への思い入れが大きく違っていた、との説明もあった。育てて収穫することがいかに大切か。いかに多くの感性を引き出してくれるのか、知るきっかけにもなった。

私たち参加者もエディブル・ワークショップ、その名も「食べられるワークショップ」を体験した。「ミツバチの気持ちになって地球と仲良くなろう」というものだ。ミツバチ?地球と仲良く?疑問符がありながらも、楽しそうな松岡さんの笑顔に誘われ、食べられる花々や葉っぱの説明を聞いた。ピンクや紫、黄色の花びら、ほろ苦い葉っぱに香り高い葉っぱ。ひとつひとつがかわいくて愛おしい。

手渡されたヨーグルトのカップに、それぞれの思いを込めて花や葉を盛り付けていく。色味を重視したり、味を重視したり、テーマは様々だ。いつのまにか、ワイワイがやがやとなり、心がウキウキしてきた。気が付くと参加者みんながはしゃいでいたし、夢中になっていた。子どもが同じことをやったら、もっとはじけるんだろうな、と想像した。

出来上がったものをひとつのお盆に並べ、それぞれがそのテーマについて語っていった。実に面白い。限られた食材なのに、どれひとつとして同じデザインのものはない。創造とワクワクの結果、お盆の上にまた新しい花が咲いたようだった。

エディブル・ワークショップのあとは「子どもたちに、何をどんなふうに伝えるか」について議論した。気候変動のこと、環境保全のこと、植物のこと、食べること、命のこと。大切な子どもたちにどうやって伝えていくか。

「できるだけ、無駄にモノは買わないようにします」         「明日からシャワーの時間をできるだけ短くして、水の消費を減らします」「車は使わず自転車か徒歩ででかけるようにします」などなど。難しい課題ではあるが、参加者自身の身近な問題に落とし込んで、身の丈にあったメッセージをシェアした。自分たちが率先して課題に取り組んでいくことで、子どもたちにも何か伝えられる、示していける、そう感じさせてくれた。

大人たちが大上段に構えて「未来はこうすべきだ」なんて言ったところで子どもたちには響かない。大人たちこそが楽しみながら、小さくても問題解決に向け、動き出していけば子どもたちにも伝わるのだろう。子どもが変わる前にまずは大人こそ変わっていかなくては。

「私はスーパーのレジ袋はマイバッグに切り替えていきます」とここにちっちゃく宣言してみようかな。みなさんもぜひ!


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