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コロナで英国MBA生活が劇的に変わってしまった話(その1)

まず私の体験で共有すべきは、2020年3月に起こった欧州で起こったコロナの襲来劇である。あの時の世界の変貌ぶりは本当にすごく、日本で過ごしてたら知る事の出来ない身に迫る切迫感を味わった。ここでコロナに対する世界の反応や対応を共有できればと思う。

[2020年3月1-2週]
私が通っていたMBAは3月いっぱいまで2学期で、3/13が2学期の最後の授業だった。まだその頃、周囲をはじめ英国では正直コロナは対岸の火事のように捉えていたし、授業も通常通り終えた。
しかし3月の第1週頃からドーバー海峡を越えた欧州各国ではコロナの惨劇が始まっていた。4月にはイースター休暇を控え、欧州旅行を楽しみにしていたクラスメイト達にとって、この頃から旅行の雲行が怪しくなっていた。私自身も4月にパリへ旅行する予定があり航空券を1月に購入していたのだが、その航空会社であった英国LCCのflybeが3/5早朝に突然倒産したとのニュースが舞い降り航空券がパーになった。もちろん倒産したので、flybeからは払戻しや振替等の対応はなされなかった。
そして第2週に入ったころ、被害が拡大していたイタリアをはじめ、欧州各国が学校閉鎖、そしてロックダウンをアナウンスし世界は急激に閉ざされていった。

そんな中、イギリスだけはその当時EUから離れたてほやほやもあってか、異端なアプローチを示した。集団免疫(herd immunity)獲得戦略である。この頃はまだ学校に関しても、他の欧州各国とは異なり学校は引き続き教育を提供する方針を示していた。私自身もイギリスはまだ大丈夫という甘い考えであったし、多少の感染拡大なら日本でも起こっていたから仕方ないものだと思っていた。それまでのイギリスでは、コロナといえばアジア人差別の問題は2月から少々始まっていたが、実際の感染に関してはイギリスで暮らしていた多くの人々にとってはあまり身近なものではなかった。

この集団免疫のニュースが出たのが3/13と最後の授業日なので未だに覚えているが、これを見たベトナム人のクラスメイトが私にiPhoneを突き付けて、「おい、見ろよこれ!狂ってるよ、早くこの国を出ないと。」と話しかけてきた。彼はさらに、「フランスであんなに感染拡大しているなら、イギリスも時間の問題だ。ここだけ大丈夫なんてありえない。」とも言った。彼の主張は今となれば、本当にその通りであった。私のイギリス留学仲間の友達(中国人)も、「集団免疫なんてありえない!恐ろしすぎる!政府の対応が信用できないから帰国する。」と、中国へ帰国する子もいたとのこと。まだボリス首相が学校を開けると言い、大学側も開校し続けるよとアナウンスしていた当時、私はまだイギリスを離れるという発想は出てこなかったが、今考えると日本以外のアジア出身者は危機察知力が高かったと感じる。この当時のイギリスで、ここまでの危機回避を意識していた日本人留学生はかなり少なかったのではないかと個人的に思う。
私が通っていたMBAでは、大学主催で4月末に提携校であるフランスのとあるBusiness schoolに1週間ほど滞在・訪問するという一大イベントを控えていたのだが、もはやフランス全土で学校閉鎖が発表されてしまったので、中止にならざるを得なかった。しかし大学側は代替案を生徒に提供出来るよう最大限努力しようとしてくれ、3/13時点ではフランスの変わりにイギリス国内のどこかへ訪問する案も考えているとMBAの指導教官は言っていた。教育を何とかして提供し続けようと全力を尽くしてくれるイギリスの大学の対応は素敵だなぁと思っていたのだが、この日からイギリス政府のコロナ対応方針はデイリーベースで変わり、そこから1週間で世界がほぼ180度変わってしまうとは予想も出来なかった。

続きは続編にて。

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