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読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。
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2022年10月の記事一覧

【読書】「どうしたらできるか」を考える~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.441 2022.10.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第44弾です。 そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「いいね オーガニック給食」です。 千葉県のいすみ市で、全国初の地元産有機米100%のオーガニック給食が実現するのに貢献した、市の農林課主査の鮫田さんの言葉が印象的でした。 「稲葉先生」というのは「民間稲作研究所」の設立者である故・稲葉光國さんのことです。除草ではなく抑草に主眼を置いた有機稲作を主張したという、稲

カーチェイスシーンがすごい~『遺跡発掘師は笑わない 榛名山の眠れる神』(桑原水菜)~

「遺跡発掘師は笑わない」シリーズの第16弾です。今回の舞台は、前回に引き続き群馬県です。 ↑kindle版 「前巻のあらすじ」があるので、前巻を読んでから一月経ってしまったものの、なんだったっけ状態にならずに読めました。とはいえ前巻の時点で、結構登場人物が多かったのに、更に増えてしまったため、ちょっと混乱する場面もありましたが。 今回すごいのは、何と言っても走り屋の皆さんのカーチェイスのシーン。水菜さん、熱量込めて書いているなぁと思いました。 心に残った部分。 萌絵

環境に合わせて生きる~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.440 2022.10.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第43弾です。 そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「”あなた”と生態系をつなぐ”うんち”」です。 現在読んでいる最中の『人新生の「資本論」』にも、同じような指摘がありました。 自然界の動物のうんちは、場合によっては他の動物の食べ物になったりもして、きちんと循環していることを思うと、ヒトのうんちも何か衛生的な方法で循環の輪に戻せないものかと思ってしまいます。 し

【読書】写真が素敵~『「お買いもの」のいいわけ』(堀井和子)~

*この記事は、2020年7月のブログの記事を再構成したものです。 堀井和子さんがこだわり抜いて買った物についてのエッセイです。 ↑文庫版 いやいや、そのこだわりぶりたるや、すごいです。身の回りに置くものについて、これくらいこだわって揃えれば快適であろうと、うらやましく思う面もありますが、正直ちょっとついていけない。 自分の美意識にそぐわない物はいっさい欲しくない半面、堀井さん自身が必要と感じるものについては、同じ分野のものを複数揃えてしまうというアンバランスさ。トース

【読書】強烈なヤギの呪い~『インド旅行記2 南インド編』(中谷美紀)~

*この記事は、2020年9月のブログの記事を再構成したものです。 何となく気になってしまい、中谷美紀の「インド旅行記」シリーズの続編を借りました。 ↑kindle版 『インド旅行記1 北インド編』より、更に読みやすかったです。2日かからず読めてしまいました。 「北インド編」に引き続き、文句を言いつつ、魅了されつつのインド旅が続きます。憲法上、もうカースト制度はないはずなのに、実際には残っていることが実感できました。低いカーストには大学入学などの際の優遇措置があるので(

【読書】カタカナが多すぎる~『インド旅行記1 北インド編』(中谷美紀)~

*この記事は、2020年7月のブログの記事を再構成したものです。 『ないものねだり』に続き、中谷美紀さんの本を読んでみました。 ↑kindle版 1ヶ月以上にわたるインド旅行の旅日記で 、想像以上にその日々は波乱万丈です。 まず思ったのは、「私にはやはりインドは無理かも」ということ。何せ15年前の旅行記なので、今はまた状況が変わっているかもしれませんが、場所によりけりとはいえ、その汚さ、何かを買わせようというガイドなどのしつこさ、買い物に際しての根気のいる値段交渉、そ

【読書】圧倒的な文章のうまさ~『ないものねだり』(中谷美紀)~

*この記事は、2020年6月のブログの記事を再構成したものです。 女優の中谷美紀のエッセイ集です。 ↑kindle版 三浦しをんの『むかしのはなし』か何かの巻末に載っていた近刊案内の宣伝の文章を読んで、なんとなく興味をもって読んでみました。 『ないものねだり』を読んで驚いたのは、圧倒的な文章のうまさ! 女優としての中谷美紀は、決して嫌いではないものの、ちょっと苦手です。きれいすぎて、ちょっと敬して遠ざける対象というか。 文章の内容から判断するプライベートの彼女も、私と

テーマを絞っても良かったのでは?~『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ)~

この本は存在は知っていたものの、積極的に手に取ろうとは思いませんでした。しかしたまたま手元に来たため、読んでみました。 ↑kindle版(特典の書下ろし小説付きです) なお以下の感想は、ネタバレを含む点をご了承ください。この本については、どうしてもネタバレなしで感想を書くことは難しいので。 親からの虐待を受けてきたヒロインの貴瑚(きこ)が、別の形で虐待を受けている少年と出会い、彼を救おうとする話です。冒頭では好感の持てなかった貴瑚ですが、彼女がここにたどり着くまでの過程