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読んだ本

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読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。
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2021年1月の記事一覧

Teams入門として、悪くない~『Microsoft 365 Teams120%活用術』(リモートワークビジネス研究会)~

2度目の緊急事態宣言に伴い、仕事でTeamsを使わねばならなくなり、とりあえず何か1冊、Teamsの本を読もうと思いました。 ↑単行本 何冊か見たうち、この『Microsoft 365 Teams120%活用術』が一番薄く、かつ見やすく感じたので、これにしました。Teamsのインストールの仕方から基本的な使い方まで、指示通りに進めていけば、迷うことはありません。 ……迷うことはありません、と断言したいところですが、実際は戸惑う場面がいくつかありました。ただ、それはこの本

小説は現実を先取りする~『あしたの華姫』(畠中恵)~

『まことの華姫』の続編です。しっかりキャラも固まったせいか、前巻より面白かったです。 ↑kindle版 例のごとく連作短編ですが、今回の通しテーマは、主人公の月草が姫様人形の華姫と共に話芸を見せている小屋の持主である、山越の親分の後継者選びです。短編1つごとに、有力な後継者候補が減っていきます。 最後の「悪人月草」では、謎解きがナレーションベースで行われてしまったのが残念でした。これ、畠中さんの悪い癖なんですよね。でも、それ以外の短編は上記のとおり、なかなか面白かったで

ヴラド計画は成功したのか~『創竜伝3<逆襲の四兄弟>』(田中芳樹)~

講談社ノベルス版では、この巻から表紙だけではなく口絵のミニポスターや挿絵も、天野喜孝のものになります。だからというわけではないですが、「創竜伝」というシリーズのキャラが固まり、シリーズとしての安定感が出てきたように感じました。 1988年発行のものの画像は、以下のとおりです。 この巻では、世界を陰で操る「四人姉妹」が日本に仕掛けたヴラド計画について触れているのですが、読んでいて暗澹たる気分になりました。吸血鬼ドラキュラのモデルとなったヴラド=ツェペシュの名にちなむこの計画

解脱への道は遠い~『ブッダが教える 執着の捨て方』(アルボムッレ・スマナサーラ)~

この本とは、ちょっとセレンディピティ的な出会いの仕方をしました。 以前ご紹介した小川糸の『針と糸』で、アルボムッレさんの「慈悲の瞑想」(この『ブッダが教える 執着の捨て方』にも載っています)に触れていたのですが、それを読んだ時、「この人の名前、聞いたことがあるな」と思いました。 それではたと気づいて、読んだ本・読みたい本が書いてあるノートをチェックしたら、やはり名前が載っていました。数年前、恐らくこの『ブッダが教える 執着の捨て方』が発売されて間もない時期に書店で見かけ、

21世紀の視点で物語を読み直すと~『創竜伝2<摩天楼の四兄弟>』(田中芳樹)~

2巻に突入しました。 1巻の比じゃないくらい、四兄弟がいろいろなものを壊しまくっています。作中では名称を変えていますが、東京ディズニーランド、レインボーブリッジ、東京ドーム、都庁をはじめとする新宿副都心一帯……。 高校生だった当時は気にしていませんでしたが、あまりに物的被害も人的被害も大きすぎですよね。彼らは身を守っているだけとはいえ、過剰防衛という言葉が頭をよぎります。文部省が文部科学省になってしまった21世紀的には、ちょっときついかなと。 とはいえこの物語は20世紀

世界は変わったような、変わっていないような~『創竜伝1―超能力四兄弟―』(田中芳樹)~

少し前に、『創竜伝15<旅立つ日まで>』が出たことを偶然知りました。へーと思い、本棚を見たところ、私が持っている最後の巻は13巻であることが判明し、愕然としました。そもそも2019年に14巻が出ていたことを、知らなかったのです。 これくらいで「愕然」という表現も大袈裟ですが、なぜ14巻が出たことに気づかなかったかというと、書店に行っていないからです。それこそ「創竜伝」シリーズを夢中になって読んでいた学生時代は、書店めぐりが趣味の1つでした。特に目的の本がなくても、学校帰りは