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父に学ぶ


手作りの釣り竿ビクン冬帽子


花街道を西に向かっていると懐かしい突堤が見えてきます。子どもだった頃、父と釣りをした場所です。

釣りといっても、ちゃんとした釣竿は持っていなくて、近所のお宮さんで取ってきた竹に糸をぶら下げて、先に釣り針をくくりつけたお手製です。餌は畑のミミズでした。

釣りに無関心な母と弟は留守番でして、父のふたりで出掛けました。

高知の海はすぐに深くなっていて、おちおち海岸で遊ぶこともできません。波に引っ張られたら一気に深みに連れ去られます。

海の怖さと恵みを父に教わった娘のあたし。思い返してみると、父からは生きていくのに必要な知恵や工夫を学びました。

今でもあるのかしら、父の職場は毎年、夏にキャンプをしていました。社員もその家族も参加して、川で遊んだり、飯盒でご飯を炊いたり、テントを張って寝泊まりしました。

やはり留守番を好む母と弟を残し、父と参加したものです。今みたいにキャンプの施設も整っていなくて、トイレは草むらで用を足したし、米も川の水で洗っていました。

川の石を積んで簡易の竈をつくり、火を起こして炊事をしました。ワイルド!

夏が終わると、川原のあちこちに黒く焼けた石がころがっていたものです。今は直に火を焚いたら注意されますね。

目を閉じると、あっという間にあの頃に戻ることができます。

もう還りたくはないけれど、それでも、たまには家族みんなが揃っていた頃を思い出してみるのもいいものです。


「釣り針に蚯蚓ミミズつけてとねだるよ」