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鷽鳥よ

昨日は、父のこともあり、ドーンとたくさん句を投稿してしまいました。

脳ミソの皺が一気に増えた気がします。でも顔の皺はご勘弁ですが、脳ミソなら幾らでも皺を増やして、脳の老化を遅らせたいです。

ところで、本をペラペラしておりますと、「放下着」という言葉を見つけ、思わず膝をポン!です。

パッと見ると「下着?」と思っちゃうような単語なんですが、放下着とは禅語の言葉で、全てを捨ててしまいなさいという意味です。

人は、生と死、苦と楽の荷物を背負って歩き続けている旅人です。

これを捨て去り、断ち切らない限り、いつまでもそれに煩わされてしまうのです。

あれもこれもと、わたしみたいに欲張ると、自分にとって本当に大切なものが溢れ落ちてしまいます。完全に捨てきってこそ初めて、真実の自己に帰ることができるのです。

放下着とは縁遠いわたしですが、年の初めはせめてそんな心で過ごしたいもんです。

今日もよろしくお願いいたします。


放下着無垢な子となり梅探行

(ほうげじゃく むくなことなり たんばいこう)

季語は「探梅」です。

春に先駆けて、冬の間に咲き始める早咲きの梅を探して、わたしも無垢な子どもに戻り、出掛けたいものです。

少しずつ感染状況が厳しくなっており、梅の見頃は忙しいのかしら。出来ることならば、父と最後に訪れた徳島の梅園に行ってみたいもんです。

でも、ここで俳句の先輩より「無垢な子」というのは、どんな感じだろうと。穢れがない子ども、童子に戻って、清んだ目で梅を探したいもんです。


放下着われ吐く息に淑気満つ

(ほうげじゃく われはくいきに しゅくきみつ)

季語は「淑気」です。

新年の天地に満ちる、清らかでめでたい気配とか空気のことです。

さてさて、わたしの吐く息は、淑気に満ちているのかしら、それとも、まだ邪気が混じり込んでいるのかしら。

しっかり深呼吸して、清々しいもので満たしたいものです。


鷽鳥よ過去に戻りて吉とせよ
鷽鳴くやよわき心の吾を叱れ

(うそどりよ かこにもどりて きちとせよ)      (うそなくや よわきこころの あをしかれ)

季語は「鷽鳥」で、春の季語です。

「うそ替え神事」というものがあるらしいのですが、わたしは初めて知りました。

「うそ替え神事」とは、木彫りの鷽鳥(うそどり)を毎年、取り替えることによって、「今までの悪しきを嘘(うそ)となし、全ての吉(よき)に鳥かえる」とするもので、古くから天神信仰のみに伝わる独特のものです。

私たちの身に振りかかった一年間の凶事を「嘘(うそ)」と考え、天神様の「誠(まこと)」に替えていただき、正しい幸運を招くという意味の神事だそうです。


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(写真は名古屋市博物館のものです)


もし、この「うそ替え神事」のことを知っていたのなら、嘘ではなかったにしても、人を傷つけた言葉を嘘にして、誠の言葉に替えてもらえたら、もう少し両親ともうまくやれた気がします。

後悔しても仕方がないし、必ず、後悔すると分かっていたのに口から出した言葉は、今となっては、鷽鳥にお願いしても嘘を誠に替えられないのだろう。

そんな気持ちを込めて詠んだ句です。

(鷽鳥の写真は、きごさい歳時記のものを使わせて頂きました)


秋の蝉深みという名の味となり

(あきのせみ ふかみというなの あじとなり)

季語は「秋の蝉」です。

夏にはたくさんの仲間がいて、盛大に鳴いていた蝉も、秋になると徐々に数が少なくなってきます。それでも、鳴き続ける秋の蝉。

初秋となり、更に存在感を増す蜩や法師蝉のように、アラ還となり、傷だらけのわたしだけれど、それすら人としての深みというものだろう。

ちょっと季節を先詠みですが、ふと浮かんだ句は逃すまじです(笑)。

ただ、俳句の先輩より「もう一度、句だけを読んでみるように」と助言がありました。

第三者の目線は曇りがありません。やはり、どう読んでも秋の蝉の味が深みを帯びてきたと読めます。「蝉って、どんな味やねん!」と突っ込みたくなります。

でも、その前に、この季語ではわたしの言いたいことは伝わりません。

草紅葉深みという名の味となり

季語を「草紅葉」に変更です。木々の紅葉に対して、さまざまな野の草が色づき、紅葉のように見えるさまです。

でもですね、やはりこれも「深みという名の味となり」という表現に酔っているだけで、散文的と俳句の先輩より助言あり。

草紅葉踏まれてなおも色放ち

ということで、先輩から頂いた句をファイナルアンサーとします。


七草粥ふーふーしてからお供えす

(ななくさかゆ ふーふーしてから おそなえす)

季語は「七草粥」です。

昨日は、あちこちで無料の七草粥が振る舞われていました。その場で食べればいいのに、感染を気づかってか、自宅へのお持ち帰りを推奨していました。でも、みんな人が車内で頂いておりました。

わたしは「七草粥セット」を購入して、七草粥を作り、熱いので「ふーふー」してから、父母の写真の前にお供えしました。


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ストーブにあたる猫です。ストーブみたいなものを描くのは難しいもんです。それから、今日のフローリングは失敗です。

ゴキブリが這っているみたいな模様になってしまいました。

そういえば、家を建てたばかりの頃、木目がゴキブリに見えて、「なんやこりゃあ~」と夜中に飛び起きたもんです。

とりあえず毎日、絵を描いて投稿する。上手い下手とか他人の評価は気にしません(笑)。

外は寒いので、題材は相も変わらず目の前の猫です。