第02話:暦の話(西暦編)
今日は暦の話、といっても西洋の暦です。和暦に関しては次回紹介する感じです? ということで、始めていきますね。
さて、みなさん。タコって英語でなんというかわかりますか?そう「オクトパス」です。 これはタコの足が8本あるということから、ラテン語で8を意味する「Oct」からもじって命名されたそうです。
あれ? でも化学で習った1から10、つまり、「モノ」「ジ」「トリ」「テトラ」「ペンタ」「ヘキサ」「ヘプタ」「オクタ」「ノナン」「デカン」はギリシア語のはず、ラテン語ではないぞ、嘘つくな! と頭のいい人は思うかもしれません。
ま、それはその通りではあるのですが、「ラテン語」って「ギリシア語」から結構多くの影響を受けちゃってるので、実はラテン語でも「8」の事を「オクタ」というんですよ。忍者を英語で「Ninja」とか言っちゃうのと同じノリってわけです。
まぁ、昔、ラテン語を公用語としていた「ローマ帝国」が「ギリシア」を支配していたわけですし、「ラテン語」が「ギリシア語」の影響を受けるのは、当たり前といえば当たり前のことかもしれないですね。
では本題。 10 月って「英語」でなんていいますか? そう「October」です。はい、あなた大正解!!でも、あれ?8を意味する「Oct」が付くのに、なんで「10 月」が「October」なのか不思議に思いません? そう!あなたのご指摘のとおり確かにおかしいのです。
実はこれにも理由があります。10 月が「October」になった理由。それは紀元前45 年に制定された「ユリウス暦」に由来します。今回はそんな暦の雑学についてのお話です。
さてみなさん。このお話に入る前に、ちょっとだけ「暦」について振り返ってみましょう。まず、現在、日本で使われている「暦」ってどういう「暦」か知っていますか? 「西暦」ではないですよ。ちゃんとした正式名称です。
なんて意地悪な質問はやめます。今、日本が使用している「暦」の正式名称は「グレゴリオ暦」といいます。1582 年にローマ教皇グレゴリウス13 世が定めた「暦」を現在でも使っている感じなんですよね。
そして、今回注目するのは「ユリウス暦」です。「ユリウス暦」は「グレゴリオ暦」のベースとなる「暦」で「ユリウス・カエサル」が制定した「暦」になります。
って、もしかして「ユリウス・カエサル」をご存知ない方いらっしゃいます?確かに彼は世界史では「有名人」なんですが、「世界史」を知らない方から見れば「マイナー」かもしれませんね。それでは軽く「ユリウス・カエサル」の説明をしておきますね。
「ユリウス・カエサル」は共和制ローマ(ローマ帝国の前進の国家です。なんとローマ帝国は昔、民主主義国家だったんですよw)の末期、永久独裁官として国をまとめた偉人になります。といってもピンと来ないかもしれませんが、カエサルはクレオパトラの夫になりまして、ガリア(現在のフランス)を征服したのち「軍事力」でローマの元老院を乗っ取り国の実権を握った人物といえばピンときますか?
え? まだピンとこない。うーん、では、こんなエピソードはどうでしょう、当時、共和制ローマに軍を入れられるのは「ルビコン川」までだったのですが、ユリウス・カエサルは「賽は投げられた」と叫び、軍を率いて「ルビコン川」を渡ってローマに戻り「軍事クーデター」を成功させたのです。そうこれが「賽は投げられた」の語源であり、「ルビコンを渡った」の語源でもあるんですよ。ね、結構、有名で偉大な人でしょ?
えっと、でも彼の物語はもう少し続いて、こうして権力を手に入れて永久独裁官になったユリウス・カエサルは、自分が制定した暦に「自分の名前」を残すことを考えたのです。それが7月の「英語:July/ラテン語:Iūlius」 になります。そう7月はユリウス・カエサルが作った月だったんですw
ってことで、これに伴って暦が一個ずれたんですが、でもそうなると「October」が9月になってしまいます。つまり、もう一人、暦をずらした人がいるのです。
そう「お父さんが自分の名前を暦につけるなら俺も載せたいな!」というノリで自分の名前を暦にいれたお調子者がいるのです。それが ユリウス・カエサルの養子にして「初代ローマ帝国皇帝」である「アウグストゥス」になるんですよね。もちろんこれが8月の「英語:August/ラテン語:Augustus」になったという訳です。
こんな感じで歴代のローマ皇帝の名前が「暦」に入ること当然という流れができつつあったのですが、アウグストゥスの義理の息子であり2代目皇帝たる「ティベリウス」は9月をもらうことを断りました。断った理由は諸説あるのですが、ここでは私が一番好きな説を紹介しておきますね。
実は「ティベリウス」は「アウグストゥス」の親戚で既婚者であったのですが、「アウグストゥス」が「ティベリウス」を次期皇帝にするために、皇帝「アウグストゥス」はその権力を使って「ティベリウス」を無理やり離婚させ、自分の娘と結婚させたのです。
そのため「ティベリウス」は「アウグストゥス」をひどく恨んでいて、こんなことされた義父の名の横に自分の名前が残る事が我慢できない! という理由で「暦」に自分の名前をいれるのを断ったそうなんです。どうです? このエピソード、なかなか人間的でいいですよね? ローマ帝国皇帝は、わりとクズばかりですが、私はこの話、メッチャお気に入りですw
ということで話は最初に戻って「October」の話。つまり「暦」このような2人の割り込みがあって、暦が2個ずれ10 月が「October」となったというわけですね。
でも折角なので、最後に参考に各月の由来をラテン語、カッコの中を英語で書いておきますね。
1月:lanuariusu
ローマ神話の神であるヤヌスに由来があります。王政ローマ第2代の王ヌマ(在位:紀元前715年 - 紀元前673年)はヤヌスを大変信奉していましたので、ヌマに敬意を表して1月に採用されたとのことです。ちなみにキリスト教がローマ帝国の国教になったのは紀元前以降になりますので、紀元前に定められた暦はキリスト教の影響をあまり受けていなかったんですね。
2月:Februarius
「清める」という意味の単語「purficatio」が由来です。2月は精肉の季節だったのでこの名前が付いたらしいです。別の説として、ローマ神話の神である贖罪と浄罪の神フェブルスから取ったとも言われてます。私は個人的には後者の説を信じていますw
3月:Martius
ローマ神話の軍神マルスから来ています。別の説として、マリウスやマルクスといった名前はローマでは一般的だったので、その名前を冠した偉人を由来とするという説もありますが、神様つながりで、やっぱり軍神マルスから取った説の方が一貫性があって私は好きです。
4月:Aprilis
これは、みんな大好き美の女神アフロディーテ(ビーナス、ウェヌス)が由来であると言われています。ちなみに♂は元来マルスを表す記号で、♀を表すアフロディーテとの対比で男女の記号として決まったというのですから、3月と4月「ツヨツヨ」ですw
5月:Maius
「豊穣の女神マイア」とする説と「商いの神メリクリウス(ヘルメス)」とする説があります。 5月1日にローマでは女神マイアを祀る儀式を行う風習があるので、私は前者が有力だと思っていますが、実際のところどうなんでしょうね?
6月:Lunius
ユピテル(ゼウス)の妻であるユノ(ヘラ)が由来になります。ギリシア神話をみてるとユピテル(ゼウス)が浮気をしてユノ(ヘラ)が怒る話ばっかりです。そう嫉妬深い神様なんです。でもこういう話を聞くと、男女のこういう図式って、神話の時代から全然変わってないですよねw
7月:Iūlius
前述のとおり「ユリウス・カエサル」から来ています。
8月:Augustus
前述のとおり「アウグゥストゥス」から来ています。
9月:September
7番目の月という意味です。
10月:October
8番目の月という意味です。
11月:November
9番目の月という意味です。
12月:December
10番目の月という意味です。
これを見るとわかるように古代ローマ人は6月まで神の名前を冠して、 それ以降は皇帝の名前を冠するつもりで「適当に」月を読んでいたのがわかりますね。そして8月以降の英語表記が「やたら」似てるのもこのような理由からです。
ということで結論! 受験勉強で月の名前を覚える手間を減らしてくれた「ティベリウス」に我々は感謝すべき!! という事だと思いますw
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