第47話:フィンランディア:ロシア帝国と渡り合ったフィンランド魂
フィンランドの歌と聞いて思い出す曲は皆さんありますでしょうか? 初音ミクがネギを振りながら歌っていた「イエヴァン・ポルカ(Ievan Polkka)」でしょうか?
それとも、ガルパンでフィンランドチーム(継続高校)が歌っていた「サッキヤルヴェン・ポルカ」でしょうか? ちなみに、サッキヤルヴェン・ポルカは歴史的に見るととても興味深い曲です、興味がある人は下のリンクを見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=2zJowX00SzA
実は、今日、サッキヤルヴェン・ポルカの話をしようと思いましたが、やはり自分の趣味には勝てず、 フィンランドの第2国歌である「フィンランディア」を紹介します。名曲です。私が一番好きな曲の1つです。 ただ、この曲は有名な曲なので聞いた事がある人は多いと思います。
交響詩「フィンランディア」op.26 はシベリウスによって作曲されました。シベリウスといえば交響曲第2番も有名でして、疑う余地のない偉大なる作曲家の一人です。
ちなみにこの「フィンランディア」が作曲された19 世紀末から20 世紀初頭になりまして、この頃のフィンランドはロシア帝国の「良く言えば衛星国」で、ロシア帝国圧政下にありました。ちなみにフィンランドとロシアは歴史的に対立関係にあり、フィンランド国民はいつの時代も「ロシア」から独立する機会をうかがっていました。
そのロシアからの独立の気運に燃えていたフィンランド国民を鼓舞した曲がこの「フィンランディア」で、 「愛国者」シベリウスがフィンランドに対する熱い愛国心を込めて作曲した名曲になります。 ショパンもそうですが、音楽家は「曲によって」国を救いたいという気持ちが人一倍強かったみたいですね。
この曲は元々フィンランドの歩みを示す「歴史的情景」という劇の付随音楽の一部として作曲されたものです。 「フィンランディア」は、そのクライマックである「フィンランドの目覚め」の部分のために作られました。
当然、そういう曲ですのでフィンランド民謡風の叙情性を感じさせてくれると同時に,祖国愛を盛り上げる力強さを持っています。 「愛国心」という言葉を抜きにしても、落ち込んでいる時に聞くとエネルギーが湧いてくる本当に名曲なのです。
もちろん当時はロシア支配下の時代ですので、この曲は当初「フィンランディア(フィンランド頌歌)」とは呼ばれていませんでした。 実は、あまりにも愛国的な気分を持つためロシア帝国によってこの曲を「フィンランディア」というタイトルで演奏することは禁じられていたくらいなのです。
この曲の前半は、そういう時代の「暗い雰囲気」が漂っています。そうですね、少し専門的な表現をすれば、冒頭はアンダンテ・ソステヌートの重々しく不安な気分を持った金管楽器の重奏で始まる曲です。
ロシアの圧制をイメージさせる「苦難のモチーフ」です。この動機は、何の前触れもなく唐突に始まりますので非常に強いインパクトを受け、 一度聞いたら忘れられないような印象的な曲の冒頭です。
次に、民衆の悲嘆を示すようなメロディが木管楽器と弦楽器により奏でられます。 徐々に民衆の声が盛り上がり、金管楽器とティンパニに「タ,タタタタ,タタッタ」というリズムを持つ「闘争への呼びかけ」のモチーフに変化していきます。 そして、冒頭の「苦難のモチーフ」が再現した後、今度は低音から力強い歩みを感じさせるモチーフが出てきます。その後曲は力強く盛り上がり主部に入ります。
この2つの力強いモチーフに勝利に向かう輝く未来を感じさせる新しいモチーフが加わり、クライマックスが築かれます。 主部が繰り返された後,盛り上がりがスッと引いていき有名な「フィンランディア讃歌」の部分になります。
この美しいメロディは、最初木管楽器で演奏されますが、次第に弦楽器が引き継がれていきます。 この美しいメロディは賛美歌としても単独で歌われる曲で宗教的な感動にも満ちています。 フィンランドの「第二の国歌」として親しまれているこのメロディですが、この部分は恐らく本当の国歌よりも世界的には有名だと思われます。
本部分が静かに終わった後、2つの「闘争のモチーフ」と「勝利に向かうモチーフ」が再現され、全管弦楽による雄大な行進曲となって盛り上がります。 これは圧政に反応する民衆の力を描いています。曲は「フィンランディア讃歌」のメロディも加えてさらに力強く盛り上がり、全曲が壮大に結ばれます。
とまぁ、曲の説明を書いては見たのですが、たぶん文章を読むより音楽を聴いたほうがいいと思います。私は「落ち込んだ時には」この曲か、「威風堂々(イギリスの第2国歌)」を聞くことが多いです。それくらいのパワーを持った曲です。 皆様も是非!一度聞いてみてください。