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第41話:津軽三味線はいかがですか?

 私は健康の都合でラーメンをあんまり食べられないのですが、だからその滅多に食べられない一杯というのに至高の価値が生まれるのですが、そんなラーメン屋の中で一番のお気に入りが「歌志軒」というお店の油そばです。

 で、その「歌志軒」というお店の店内に流れているBGMが独特でして、それは「津軽三味線」なのです。

 でも 「津軽三味線」て聞くと古臭い感じがするといる人もいますよね? 確かに津軽三味線の歴史は古く、明るいものではないのですが‥‥。って、まずは歴史から紹介しますね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%A5%E8%BB%BD%E4%B8%89%E5%91%B3%E7%B7%9A

 「津軽三味線」として文書が残っているもっとも古い演奏家(始祖)は、幕末に五所川原の金木地区に生まれた「仁太坊」なります。まぁ、文書に残されていない以前にも存在していた可能性もあるので、開祖とまではいえないかもしれないですが、丁寧に資料を読んでいくと「仁太坊」が三味線の歴史を大きく動かしたのは間違いなさそうです

 たとえば、仁太坊は、それまで地味な門付け芸だった三味線音楽に、バチを叩きつけるように弾く 「打楽器的奏法」と「圧倒的な音数」と「ハイテンポ」を追加しましたし、それによって独自の音楽世界を創りましたし、その時点で仁太坊は三味線界の大革命だったのです。

 こんな劇的な進歩の上に成立している津軽三味線ではあるのですが、なんというか、歴史というか、後継者に主眼をおいて歴史を振り返ると、辛くて悲しいものになってしまうんですよね。

 じつは幕末に確立した「津軽三味線」の伝統を引き継いだのは、盲目の旅芸人でした。 彼らは坊様(ボサマ)と呼ばれ、家々の軒先で三味線を弾き歩き、米やお金を貰って歩きその日の糧を得るという生活を余儀なくしていました。 そのため「津軽三味線」は人々から蔑まれ、その音楽も即興や口伝でしか伝わらず、数々の名曲も楽譜に残ることなく散逸してしまったと言われています。

 しかし、その音楽の魅力は「多くの人」に確実に捉え、日本中に伝わっていったのです。そして 時代とともに「津軽三味線」を引き継ぐものは「盲目」の方の枠をこえて徐々に広がり、「津軽三味線」の地位は徐々に上が
っていったのです。

 その後、戦後の民謡ブームにもうまくのり、「津軽三味線」は民謡の伴奏楽器から三味線のみの独奏となり、次々と新曲が発表され「カテゴリー」の1つとしてその地位を固めていったのです。

 そしてそんな津軽三味線界に「天才兄弟」が誕生します。そう「吉田兄弟」です。 吉田兄弟は北海道登別市に生を受け、5歳より三味線を習い始め1990 年より津軽三味線奏者初代佐々木孝に師事。 津軽三味線の全国大会で頭角を現し1999 年アルバム「いぶき」でメジャーデビュー。

 そしてそれは和楽器としては異例のヒットを記録し、2003 年には全米デビューまでします。 2021 年現在では、「吉田兄弟」は世界中で演奏活動を展開しており、リリースしたアルバムは15枚を超えています。はっきりいって和楽器としては「驚異的」なセールスなのです。

https://yoshida-brothers.jp/

 と、前説が長くなってしまいましたが、「歌志軒」でいつも流れているのはこの「吉田兄弟」の曲なのです。てことで今回は、その曲の一部を紹介していこうと思います!

https://www.youtube.com/watch?v=8GDm6Jad0Vw

 三味線の力強さを前面に押し出した曲です。ドラムとギターの音を三味線の「孤高で鋭い音」が引き締める感じがあって緊張感があって私は好きです。 そして間奏で入るピアノ(キーボード)がその緊張を緩め、曲の濃淡を表現しています。間違いなく「吉田兄弟」の代表作だといってもいい名曲だと私は思っています。

 三味線の独奏。純粋な三味線としての音楽としては私が一番好きな曲です。 タイトロープを渡るような「ギリギリ」の緊張感からはじまり、徐々にその緊張はゆるめ、心の準備ができたころをまた一気に曲を引き締めてくる曲構成。

  例えるなら「冬の厳しい吹雪」が徐々におさまっていく感じです。そして、そこから迫りくる猛吹雪。 しかしその吹雪に備えていた人は、その吹雪に真正面から向き合い対峙していくことを決意する。そんな感じの曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=B3xgjrFY2K8

 鼓動が「孤独」を表す音楽としたら、「STORM」は調和を意識した曲です。 人の声、鳥の鳴き声、DTM、ドラム等の楽器に三味線が溶け込みそうで溶け込まない「ギリギリ」の所でせめぎあい、最後の一線で「三味線」が主旋律として自己主張する音楽です。 曲調も穏やかで、長い冬から暖かい春を迎えるそんな季節の移り変わりを見せてくれるような一曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=tz8U5UYH5V4

 「連載完結記念 NARUTO-ナルト-展」とコラボした楽曲 です。 山間の河川が静かに見えるのにその流れが速く激しいように、最初はゆったりとはじまり聞く人の注意を惹き始めると「一気」にその音楽は激しさを増し「心」をひきつけます。 そしてその川に「数々の命」があり、その「生命の力強さ」と「命の意志」の強さをぶつけられる名曲だと思います。

 というわけで、今日は私があまり知識を有さない「和楽器」の世界のお話でした。 クラシックと違い曲の理解が正しいかどうかはわかりませんので、つっこまないのはお約束ですよw






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