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第11話:2枚のモナ・リザ

「ルネサンス期で一番好きな画家は?」

 と聞かれたら私が真っ先に答えるのが、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチです。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画は、世界で約10数点あります。10数点というのは、鑑定家によって真贋がわかれるので、この表現は仕方がないのです。とは私は逃げません。今、美術館とかで見る事のできる作品は14点です。あ、多分、そんなもんです。で、私は、そのうちの6枚を見たことあるのです。けっこう幸せものですw ちなみに、これが女性の肖像画となると4枚しかなくなります。今日はそれを紹介していきますね!

 1枚目は、『ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像』アメリカのナショナルギャラリーに展示されています。ちなみに私は見たことあります!


ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像(wikipediaより引用)

 2枚目は、『白貂を抱く貴婦人』ポーランドのチャルトリスキ美術館に展示されています。ちなみにこれも私は見たことあります!


白貂を抱く貴婦人(wikipediaより引用)

 3枚目は、『ラ・ベル・フェロニエール』。フランスのルーヴル美術館に展示されてますね。って、この構図と表情、どこかで見たことがありませんか? そう、あのモナリザを書く前に、レオナルド・ダ・ヴィンチが書いた絵なんですよ。そりゃ、似てて当然ですよね。ちなみに私は見たことがありません。だって、ルーヴル美術館、いったことないんですものw


ラ・ベル・フェロニエール(wikipediaより引用)

 そして、最後は『モナ・リザ』。


ルーブル版モナ・リザ(wikipediaより引用)

 今日はそんな『モナ・リザ』をちょっと掘り下げてみようと思います。

 さて「モナ・リザ」、実はこの名画は2 枚あるのですか知っていますか? また騙すつもりだろう? とか思っていませんか? 

 所説あるのは事実ですが、私は2 枚目のモナ・リザを「真作」だと思っていますので、「真作」であることを前提で話をしていきますね。でも、私のこれから話す話をきいたら、きっとあなた・・・も私の話を信じるようになると思いますよ。

 「モナ・リザ」は1503 年フランチェスコ・デル・ジョコンダが妻であるエリザベート・デル・ジョコンダが、レオナルド・ダ・ヴィンチに肖像画を書いて欲しいと依頼したところから始まります。

 ちなみに「モナ」は「マドンナ(Madonna)」の省略形で、「リザ」はエ「リザ」ベートの愛称です。実はこの貴婦人とても「美しかった」と言われているんですよ。まぁ、それは「モナ・リザ」を見ればすぐにわかることですね。

 でも、この「モナ・リザ」1つ矛盾を含有しているのです。それは、1503 年時の「エリザベート」は20 歳前半の「うら若き乙女」だったのです。でも、ルーブルある「モナ・リザ」は美しいですが、とても20 代にはみえませんよね? これが矛盾なんですが、これから話を始めるとヤヤコシイことになるので、話を無理矢理戻しますね。

 さて、レオナルド・ダ・ヴィンチは、モナ・リザの肖像画の依頼を受け書き始めるのですが、制作に4 年を費やしても作業は進みません。そして結局、未完に終わってしまいました。これは、当時レオナルドと親しかったジョルジョ・ヴァザーリの「画家・彫刻家・建築家列伝」に記載されている歴史的な事実です。

 みなさまも知っての通り、欧州社会は契約社会ですから、当然・・レオナルド・ダ・ヴィンチは未完成の「モナ・リザ」をジョコンダ氏に渡す必要があったのですが、この絵を心底気に入りいつか完成させたい!と考えていたレオナルド・ダ・ヴィンチは生涯この絵を手放すことができませんでした。

 それが証拠に、晩年レオナルド・ダ・ヴィンチはフランス王フランソワ1世の招きに応じてフランスを訪れ、フランソワ1世の居城アンボワーズ城近くのクルーの館に移り住んで一生を終えるのですが、その時、遺品として出てきたのが、生涯かけて加筆を続けた「モナ・リザ」だったのです。そして、これが、今ルーブル美術館にある「モナ・リザ」となるわけです。

 さてこの定説、どこかおかしいと思いませんか?

 そう「契約大好き欧州人」が「契約不履行」でレオナルドが肖像画を渡さないことを許すのか?という点と前述の「とても20 代には見えない」という点がおかしいのです。

 これが専門家の間で長い間ミステリーであった部分なのですが、20 世紀後半になってこの「ミステリー」に対する「1つの答え」が提示されました。

 つまり「モナ・リザ」は、ジャコンダ氏にわたった「モナ・リザ」とルーブルにある「モナ・リザ」の2 枚あるという答えがです。これを証拠づける根拠として、「岩窟の聖母」の例があります。これも同じ理由で『岩窟の聖母』は2 枚あるのです。1枚はルーブル美術館に、そして、もう1枚はイギリスのナショナルギャラリー版に展示されているのです。

 そして、その2 枚目のモナ・リザこそが「アイルワース版モナ・リザ」なのです。この絵が真作だと思われる証拠は数々あります。


アイルワース版モナ・リザ(wikipediaより引用)

 例えばこの絵には左右に柱があります。これは同時代の「ラファエロ」の模写と言われる「一角獣を抱く貴婦人」にもあるのです。なんか、このアイルワース版モナ・リザ真作であると思えて来ませんか?


一角獣を抱く貴婦人(wikipediaより引用)

 そして何より注目すべきはモデルの若さです。この若さなら20 代前半と言われても納得の若さなのです。つまり「アイルワース版モナ・リザ」こそ、依頼者たるフランチェスコ・デル・ジョコンダに渡されたモナ・リザではないか? という説が、俄然、真実味を帯びるのです。

 ちなみに、美術史家のデビッド・フェルドマンによれば、「非常に初歩的な数学的分析」の結果、「〔腰かける二人のあらゆる要素が〕正確に同じ位置にある」ことから、これを根拠に真作と主張しています。

 またこのフェルドマンもメンバーであるスイスのチューリッヒに本拠を置くNPO モナ・リザ財団は35 年以上にわたる調査をもとに「あらゆる角度から」この絵がモナ・リザの初期バージョンであると結論づけています。

 なかなか面白い話でしょ?絵画にもこういう世界が、こういう一面があるのですね!

 私はこの「アイルワース版モナ・リザ」を死ぬまでに一回は見てみたいと思っていますが、夢がかなうのは難しいかな?

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