良質な映画を一本、観終わった気分…(『BADON』3巻)
――めっちゃ、面白かった。陳腐だけどそれに尽きました。
ほぼ1時間かけてじっくり読みました。別に文字が多いとかではなく(むしろ無言や、擬音だけのシーンも多い)、読んでいる内にどんどん時間がたっていた感じです。読み終わって時計見てびっくりした。
『BADON』は故郷で罪を犯し、服役し終えた4人の男たちが、心機一転、首都で煙草屋を始める、というところからスタートしました。
著者の前作『ACCA13区』がとても好きなので、同じ世界設定を使っているこちらの『BADON』を読み始めたのですが…
元囚人という背景の暗さと、好き勝手に動くキャラクターがつかめなかったせいか、最初は面白いのか面白くないのか、分かりませんでした。
2巻で、TV局という分かりやすい舞台が出て来たおかげで、読み続ける気力がわいて、この3巻です。
3巻は、『詐欺罪』で服役したリコがクローズアップされます。なぜ、故郷で毛嫌いされる『嘘つき』の罪を犯したのか?(量刑から考えても、かなりな重罪) ――それが縦軸となり、横軸にタバコをめぐる時代背景、周辺状況などが描かれます。
リコの事情はある意味単純で、それでいて、難しく切ないものですが、それを女性、昔の友人、今の仲間たちにほぐされていくのに、ほっとされます。
その背景から、いつもハードなトラブルが飛び込んでくるハート。人としての柔軟さからか意外と人気者のエルモ。おそらく次の主役である、謎の多いクールなラズ。
魅力的な男たちの周りには、(準主役であるリリーちゃん始め)魅力的な人間たちが集まっているので、ここから紡ぎだされる話に、これからも期待してます。
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