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10)ゆうちょ関連2周目

1.

 郵便局から申し込んで2週間ちょい、ようやく『ゆうちょ』から関連書類の束(ホントに束でどん引いた…)が届きました。

 紙の量にもげっそりしましたが、それらを読みながら、夜を徹して住所氏名、署名捺印を記入するはめになり、またげっそり。

 別に急いでいる訳ではなかったのですが、こういうものは勢いです。
 一度苦手意識を作ったら、いつまた広げられるか分からないんで、なる早でやろうと思いました。

 書類が束だったのは理由があり、父が投資信託もやっていた為でした。これを相続人の『投信口座』に移さないと精算することができません。

 自分はゆうちょに『投信口座』を持っておらず、新たに作らねばならなくなり、半分以上そっち関連の書類でした。

 腕が痛くなりながらも、必要書類に記入した後は、

・被相続人の生れてから死ぬまでの戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・相続人全員の印鑑及びサインのある書類
・写真入り身分証明書(運転免許証)
・実印

…といういつものセットを持って再び郵便局へと行きました。

2.

 局員さんは慣れた手つきで受取ってくれ、「少し時間かかりますが」と遠慮がちに云ってきましたが、嫌という訳にもいきません。おとなしく座って半分眠ってました。

 15分くらいたったか、それまで静かだったカウンターの向こうが少しざわついてきました。不備でもあったか?と思うほどなくして名を呼ばれました。

 カウンター前に腰かけると、局員さんがまた遠慮がちに云ってきました。
「まず投資信託の口座を作らないと移せないのですが…」
自分は頷き、
「はい。それ用の書類にもサインしてます」
と云うと、
「いえ、ここの局では投資信託はやってないんですよ」
とのこと。

 目からうろこがボロッと落ちました。

3.

 郵便局に、『かんぽ』をやってないところは殆どありませんが、『投信』はやってない所の方が多いらしいです。

 手続きが出来ないのでは仕方ないので、この近くで『投信』をやってる局を教えてもらいました。自転車で10分くらいの所にあったので、そのまま行ってみました。

 そちらも、午前中だったからか、空いていました。すぐに受付してくれたのですが、また15分位で呼ばれました。

「投資信託の口座を作らないとならないのですが」
「はい」
「本日マイナンバーカードをお持ちですか?」
「そのものは持ってませんが、コピーを入れておきました」

 これも他の金融機関で使った使い回しです。他がコピーOKだから、こっちでもOKだろうと思ってましたが、局員さんは首を振りました。

「コピーではダメです。原本でないと」
「え? マイナンバーが確認できる書類であればいいとありますが…(WEBに)」
「コピーでなく、本物でなければだめです」
「このコピーで自分のマイナンバーの番号(なんか変な日本語…)が分かりますよね?なぜこれでダメなんですか?」
「コピーだと偽造かもしれません」

 固まりました。カウンターで本当に固まりました。
 寝不足もあって、少し頭が混乱してきました。

「偽造して、私に何の得があるんですか…?」
「僕の口からは言えません」

 局員はどや顔で、こうのたまいました。
 もう少し、いやカウンターがなければ胸倉掴んでたかもしれません。それくらい頭に血が上りました。そんな自分を抑え、

「コピーでは本物と区別がつかないとおっしゃる。では本物を持ってきたら、本物だと断言できるんですか」

 と聞くと少し逡巡したあと、ためらいがちに

「………本物は分かります」

 と言葉が返ってきました。そして、『とにかく規則ですから』――と、こういい出すと、もうダメです。

 上手いこと言ったと思ったのでしょうが、ようするにこの人も『規則だからダメ』以外に回答を持ってないのです。

 これ以上話しても時間の無駄なんで、書類を返してもらってそこを後にしました。

4.

 ここでは、戸籍謄本や、証明書類のコピーを取っていた筈なのに、「これはこちらで処分します」ともなんとも言いませんでした。

 他の金融機関だと、しつこいくらい言われた言葉です。

 結局、『ゆうちょ』は銀行でなく、お役所なんだなーとしみじみ思った一日でした。

…今振り返れば、確かにコピーなら偽造は簡単だし、コピーでなく本物出したとしても見分け付くわけないし、すべては儀礼的なもんで、それほど怒ることでもなかったと思います。

寝不足と腕の痛みと、単にあの人の言い様にムカついたんだと思います。


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