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名古屋500−700問題とその解決策を考える(理論編)

名古屋って、いいですよね。(唐突)

東京や大阪から遠すぎず近すぎず、それでいて日常から自分自身を切断できる、ちょうどいい距離感。

ひつまぶし、味噌カツ、鍋焼きうどんにきしめん、「喫茶マウンテン」のスパゲッティなど、独自の発展を遂げた「名古屋めし」に舌鼓を打つもよし。
サウナーの聖地「ウェルビー」「saunalab」をはじめ、「アーバンクア」「キャナルリゾート」などの名店ひしめく温浴施設でリフレッシュするもよし。
推しのアーティストのライブ、東京公演のチケットが取れなかった時も、名古屋ならまだ入手できる、ってケースも多いですよね。

知る人ぞ知る究極のグルメ「喫茶マウンテン」。
あえて多くは語りません。ぜひ一度訪ねてみて。

名古屋から少し足を伸ばせば、中京エリア最大のテーマパーク「ナガシマスパーランド」や、世界遺産で有名な白川郷や和歌山県の熊野地方、「一生に一度は行きたい」伊勢神宮に、古い街並みで根強い人気の飛騨高山など、さまざまな有名観光地へと簡単にアクセスできます。

そんな名古屋へは、夜行バスで行くのが断然おすすめです。
他の交通機関より費用が安く、翌日の早い時間帯から行動することができるため、体力的な負荷に目をつむればいいこと尽くめです。


しかし、大きな問題点がひとつ。

夜行バスで名古屋に向かうと、早く着きすぎてしまうのです。
そして、2時間ほど持て余してしまうのです。


今回は「東京発の夜行バスが名古屋に到着する午前5時ごろから、名駅周辺の多くの飲食店が営業を始める午前7時ごろまでの約2時間、どこにも行けず時間を持て余す状況」を「名古屋500-700問題」と名づけ、その原因と想定される解決策を解説します。

夜行バスで名古屋に訪れる方は、ぜひご覧になってください。

そもそも、どうして夜行バスなんだい?

「東京から名古屋へ行くなら、新幹線一択だろう。
どうしてわざわざ夜行バスなんて代物を使うのか、理解できないね」

そうお考えの諸兄諸姉も多いことでしょう。


しかし、私はあえてこう言いたい。
東京から名古屋へ行くなら、夜行バスこそが最善の選択肢であると。


夜行バス最大のメリットは、他の交通機関と比較して圧倒的に安価である点です。

JR東京駅〜JR名古屋駅間の費用
・夜行バス(最安値):2000円〜
・新幹線:10560円
・飛行機(羽田〜セントレア、電車移動含む):25270円〜
・自動車(宝町出入口〜錦橋出口):
高速代 8620円+ガソリン代 2800円=11420÷(人数) 円
(走行距離350km、ガソリン代160円/ℓ、燃費20km/ℓ で換算)

値段によって設備のグレードが異なる、金曜日や土曜日発の便は価格帯が上がるなどの点に留意する必要はありますが、だいたい新幹線の半分以下の価格で移動することができます。

「汚い」「不便」といったイメージを夜行バスにお持ちの方も多いかと思われますが、それはもはや過去の話。
今はコンセントやブランケットの貸し出しはほとんどのバス会社で実施されていますし、女性客が安心して利用できるように座席を調整してくれる路線も多いです。
隣の人の存在が気になる方は、3列シートを利用しましょう。

WILLER株式会社の運営するバスには外から寝顔を隠し、視界をシャットアウトしてくれるフード「カノピー」が座席に備えられています。

そしてもう一つ、見落とされやすい点なのですが、名古屋は他エリアへの中継地点として非常に優秀なのです。

名古屋駅および名鉄バスセンターから利用可能な、主な交通機関とその目的地
・特急「しなの」(JR東海・JR東日本):長野
・特急「しらさぎ」(JR東海・JR西日本):金沢
・特急「ひだ」(JR東海・JR西日本):高山、飛騨古川、富山
・特急「南紀」(JR東海・JR西日本):新宮、紀伊勝浦
・特急「アーバンライナー」(近畿日本鉄道):大阪難波、鳥羽、賢島など
・特急「ひのとり」(近畿日本鉄道):大阪難波
・観光特急「しまかぜ」(近畿日本鉄道):賢島
・高速白川郷線(岐阜バス):白川郷
・高速名古屋郡上ひるがの線(岐阜バス):郡上八幡、ひるがの高原
・名古屋湯の山温泉高速バス(三重交通):湯の山温泉・御在所ロープウエイ前

上に挙げたように、名古屋から発着する交通機関を始発で利用することによって、中部・近畿エリアの各地へと移動することができます。

名古屋発の特急「南紀」。
以前和歌山へ行ったときにお世話になりました

特に岐阜県の高山や白川郷、和歌山県の紀伊勝浦は東京からのアクセスが難しく、名古屋または大阪を経由して向かうのが現時点での最短ルートとなっています。


「有益な情報をありがとう。じゃ新幹線から乗り継いで行くわ」


待てや!!!


おっと、つい大声を出してしまいました。失礼。

確かに、新幹線と特急列車を利用すれば、上に挙げたような目的地へより短い時間で到着できます。
しかし、この一見最善策に見えるルートには、大きな落とし穴があるのです。


一例として、岐阜県の高山へ行く場合を考えてみましょう。

午前9時に東京発の新幹線に乗って名古屋まで行き、そこから特急「ひだ」に乗り換えるというルートを使用した場合、目的地の高山駅に着くのは午後1時過ぎとなります。
そこから観光をしようと思えば、少し遅めの昼食をとってから市内を散策し、1時間ほどお茶の時間をとったらもう日が暮れてしまいます。


対して、前日に夜行バスで東京を出発し翌日早朝に名古屋へ到着、そこから特急で高山駅へ向かう場合はというと、

7:43発の特急始発に乗って午前10時過ぎには高山に着くことができるので、当日に新幹線で行く場合よりもじっくりと市内を観光することができます。また、少し遠出をしてさらに奥の飛騨古川や白川郷といったエリアまで足を伸ばすことも可能です。


一応、東京から新幹線に乗った場合でも上記の特急に乗ることは可能なのですが、そのためには朝6時ちょうどに東京駅を発つ新幹線に乗らなくてはなりません。


土曜の朝にものすごく早起きして行くくらいなら、金曜の夜のうちに移動してしまった方がよくないですか?


以上が、東京から名古屋への移動に夜行バスを使うのが望ましい理由です。少しは魅力を感じてくれましたでしょうか。


名古屋500-700問題の発生原因

随分と前置きが長くなってしまいましたが、ここからはなぜ「名古屋500−700問題」が発生してしまうのか、この問題を回避することはなぜ難しいのかを説明させていただければと思います。


根本の原因として挙げられるのが、夜行バスで東京から名古屋へ向かった場合、到着時間が大体早朝になってしまうことがあります。

現在、東京・名古屋間で運行している夜行バスの多くが翌朝5時から6時ごろに名古屋駅に到着します。

中には7時台に到着する便もありますが、そこまで数が多くない上、競争率もやや高めとなっています。
(あくまで主観ですが)

そのため、夜行バスを利用して東京から名古屋へ向かう多くの人は朝の5時から6時ごろにはもう行動を始めなければいけないわけなのですが、その時間帯に名古屋駅周辺で利用可能な施設や交通手段は(当たり前っちゃ当たり前ですが)非常に少ないです。

名古屋名物の「モーニング」を提供する喫茶店の多くは午前7時ごろから営業を始めるため、着いてすぐにモーニング、はあまり現実的な選択肢とはいえません。


また、名古屋から別の交通機関を乗り継いで別のところへ行く場合にも、そう短くない待ち時間をなんとかやり過ごさなければいけません。

以下は、名古屋駅周辺から発着する主な交通機関の始発便です。

・名鉄常滑・空港線急行 中部国際空港行 5:23
・近鉄アーバンライナー 鶴橋行 5:58
・東海道新幹線 のぞみ271号 博多行 6:20
・近鉄アーバンライナー 賢島行 6:50
・JR中央線 特急 しなの1号 7:00
・JR東海道本線 特急 ひだ1号 高山行 7:43
・名鉄バス 名古屋〜白川郷・金沢線 鳩ケ谷行 7:50
(名鉄バスターミナル発)
・JR関西本線 特急 南紀1号 紀伊勝浦行 8:02

実際には、名古屋からの乗り継ぎで利用価値があるといえるのは下の3つくらいです(伊勢・賢島方面もありっちゃありですが)。
長野へは東京から向かった方が安上がりですし、その他の目的地へは夜行バスや新幹線、飛行機などで直接向かった方が早いです。


したがって、観光するにしろ乗り継ぎをするにしろ、少なくとも1時間、最大で2時間程度、早朝の名古屋で時間を持て余してしまう可能性が高くなってしまうのです。
これが「名古屋500-700問題」の全貌です。


されど救いはある〜試してみたい解決策〜

さて、ここまでは「名古屋500-700問題」の存在とその説明をたっぷりとやってきたわけなのですが。
そんなことより知りたいのは「この問題をどうやって解決するか?」ということでしょう。

実際、私も何度か夜行バスで名古屋に来ているのですが、本当に空いている店がなさすぎて毎度困ったものです。


名古屋駅周辺で5時台から営業している店舗を探してみたら、見つかったのはこれくらいでした(他にもあれば教えてください)。

・マクドナルド JR名古屋駅店(5:30〜)
・デニーズ 名駅西口店(5:00〜)
・カラオケJOYJOY 名駅笹島店(24h)
・マンボープラス 名駅本店(24h)
・インターネットカフェ亜熱帯
名駅錦通店/名駅笹島店/名駅西椿店(すべて24h)

マックやデニーズで軽食をとりながらYouTubeやNetflixを観るか、漫画喫茶の3時間パックでお茶を濁すかすれば、ひとまず「名古屋500−700問題」は解決できそうです。


ですが!


「せっかく名古屋に来たのだから、家の近所でオール明けにするようなことをわざわざやりたくない!」という方も多いことでしょう。

というわけで、ここからは”名古屋ならではの”方法で、「名古屋500−700問題」を解決する手段を紹介していこうと思います。


(先行研究として以下のサイトを参考にさせていただきました)


1. 早朝の名古屋を散歩する

ご存じ、無料でできる最良の娯楽です。


しばしば「何もねえ」と揶揄される名古屋市ですが、探してみると結構粒ぞろいなスポットがそろっています。

円頓寺すぐ近くの四間道は、名古屋の街で最も古い街並みの一つなのだそうです

上記ブログでも紹介されていた「円頓寺商店街」や江戸時代の町屋街が残る「四間道」は、名古屋駅から徒歩で十分向かえる距離にあります。

地下鉄に乗って「大須商店街」に行くのもいいでしょう。
昼間は観光客でごった返すこの場所も、5時台ならまだ眠りの中です。
近くにある大須観音へは朝6時から参拝が可能なので、ついでに早朝のお参りも済ませましょう。

名古屋から少しだけ足を伸ばして「熱田神宮」へ向かうという手もあります。
有名観光スポットでもある当初は、なんと24時間参拝可能。朝5時に着いて数時間で別の場所へ行くとしても、お手軽に名古屋を観光した気分になれます。


余談ですが筆者は以前、早朝の名古屋城公園を散歩した後に愛知県庁の方まで歩いて「うわぁお帝冠様式じゃんかこれ!!!」と一人で勝手にテンションがぶち上がったことがあります。

高校受験の時しか聞かないであろう「帝冠様式」


2. 温浴施設で旅の疲れを癒す

冒頭にもちょっと増えましたが、名古屋はスーパー銭湯の激戦区。とはいえ早朝から利用可能な施設はそう多くない……かと思いきや、探してみれば結構あるようです!


初めに紹介するのは、駅前の穴場銭湯「炭の湯」。

名古屋駅西口から徒歩5分の好立地にあり、ホテルに併設された銭湯は朝の6:30から利用可能、入浴料は500円とお手頃価格(タオル・シャンプーなどは別料金)。

※朝風呂は2023年7月15日からの再開になるそうです。それより前には行っても開いていないとのこと。気をつけてください。


そして名古屋の温浴施設を語る上で外せないのは「ウェルビー栄」。

サウナ好きの間でその名を知らぬものはいない、名古屋の絶対王者。
24時間営業のため、当然早朝からの利用も可能です。
しかし、朝の時間から利用できるのは男性だけで、お値段も平日2000円、休祝日では2500円と少し高めになっております。
(ここまで読んで下さったわずかばかりの)女性の皆様には申し訳ありませんが、この一点においては男に生まれてよかったなと筆者は思っております。

ですが、そんな優しく寛大な貴姉を見捨てるわけにはいきません。


最後に紹介するのが「天然温泉アーバンクア SPA & LIVING」。

名古屋一の繁華街・栄の南、地下鉄名城線東別院駅のすぐ近くにある本施設は、朝6時からの営業(金曜日のみ9:00〜)。
天然温泉・炭酸泉など10種類のお風呂があり、サウナ・ミストサウナ・岩盤浴までそろっています。
お値段も岩盤浴付きで3時間1150円(休日は1250円)と、かなりリーズナブルです。


3. 柳橋中央市場に行く

この記事を書くまで知らなかったのですが、名古屋駅のすぐ近くに市場があるらしいのです。

三河湾、知多湾、伊勢湾といった良質な漁場で獲れた新鮮な海産物が並ぶこの場所は、市場なので当然早朝から営業しています。

業務用市場のため仕事の邪魔にならないよう注意する必要がありますが、都会のど真ん中で市場の雑然とした活気を味わえる場所は、築地なきあとなかなかないのではないでしょうか。
金曜・土曜には有料のツアーも開催しています(要予約)。


また、当市場は早朝から利用可能な飲食店が多いのも特徴。
マグロ専門店直営の「まぐろや 柳橋」や朝からラーメンを食べられる「ラーメン大河」など、地元民にも人気の飲食店が多数存在します。

日曜・祝日は定休日なのと、水曜日も不定休となっているので、お越しの際には空いているかどうかご確認ください。


最後に

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございました。


筆者がこのnoteを書こうと思ったきっかけは「近々名古屋へ行く予定があり、その時に夜行バスを使うため」でした。

バスの予約をしている時に「あれ、早く着きすぎじゃね?」と思い、その後過去の来訪を思い出して「早く着きすぎてやることねぇな……」と思い、今度は同じ失敗を繰り返さないぞと意を決し、頭をかきむしりつつ一本の記事にまとめました。


今回「理論編」と銘打ったのは、近日行う予定の名古屋への来訪の折に、私自ら「名古屋500−700問題」解決のモデルケースを立証してやろうという企みがあったからなのです。


というわけで、

名古屋500−700問題とその解決策を考える(実践編)
近日公開予定です。

乞うご期待!!!

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