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食品残留成分の話 〜対象外物質とは〜

農薬の食品残留についての話の続きになります。
前回はこちら

現在は、食品に残留する農薬等の成分は、その成分毎にポジティブリストという制度によって細かく決められています。
そして、そのリストには、“残留値取り決めの対象外”となるものもあります。

それらの対象外物質は、当然ですが
人の健康を損なうおそれのないことが明らかであること”が前提になっています。
では、どういうものが対象外になっているか見ていくと…

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060516-1.pdf より抜粋

まず気になるのが、
2番のアザジラクチン。
これは、ニームオイルに含まれる虫除けの主成分と言われている成分です。
そして、41番にニームオイルがあるんですよね。
同じものが重複しているようにも感じるんですが、一括りにニームオイルではダメだったのでしょうか。
と思い調べてみましたが、どうやらアザジラクチンは一定の高濃度でなくては虫たちへの影響が薄いらしく、ニームオイルから特にアザジラクチンを抽出した製品もあるようです。

では、アザジラクチンに人への影響がなく、さらに虫への防除効果が確認出来るのだとすれば、農薬や特定農薬への認定も考えられるよなぁ、なんて思っていたらなんと、平成29年に“アザジラクチンは人への影響がないとはいえない”として、対象外物質から削除されていたようです。

こちらの資料に記載がされていました。
ということは、厚労省のウェブサイトにリンクが張られているポジティブリストのPDF資料は古い情報のようですね。
もしくは平成29年に削除とすると決められてからまだ正式な動きがないのでしょうか?

となるとニームオイルについてはどうなるんだろう?という疑問も浮かんできますね。

ちなみに、このアザジラクチン及びニームオイルはしばしば害虫防除資材候補として、木酢液・竹酢液とともに農水省の検討対象に挙がっています。
ただ現在の時点ではまだ研究途中であり、その効能や安全性が分からないことも多いようで、農薬としての登録は見送られています。

一応、農業資材を取り扱っている専門店やガーデニングコーナーなどには、こういった成分を含む商品が並んでいますが、農薬として登録がない以上、病害虫防除を謳っての販売や使用は禁止となっています。
なので、これらを使用する場合、建前として、なにかそれっぽい別の理由が必要だったりします。

その他気になるものは、65番のワックス。
ワックスって、なんだかちょっと広義すぎませんか?
いわゆる蝋のことだと思うんですが、蝋はすべて人への影響はないという認識で大丈夫ということでしょうか。

また、54番のマシン油、これは農薬としても登録されているものですが、鉱物油が原料です。
鉱物油って、食品に残留してても特に問題ないのですね。
って考えたら、56番のミネラルオイルも同じ理由でしょうか。

29番に重曹があるんですが、意外に感じたのは食酢はないんですね。
他にも、“ 農作物や人畜及び水産動植物に害を及ぼすことがないことが明らかなもの”として定義されている特定農薬のエチレン次亜塩素酸水もないんですね。
次亜塩素酸水については13番に塩素があるからそこに含まれるのでしょうか。
農水省の定める特定農薬でも、食品残留成分については厚労省が定めるものなので、対応が異なってくるんですね。

ざっと見た印象としては以上です。
化学に詳しい人ならその他の成分についても気になるものがあるかも知れません。

けっこうこのあたりの話って、省庁によって方向性や対応が違ってたりしてなかなか円滑に取り決めを作るのも難しいということもあるのでしょうか。
資料もあっちこっちに散らばっていて、全体を把握するのがすごく大変な気がします。

ただ、食品に関することは自身の身体に直結する問題なので、またこのあたりの話は深掘りしてみたいと思います。

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