見出し画像

食品の農薬残留値とは

前回のnoteでネオニコチノイドの安全性について私の考えを書きました。
その中で、厚労省が定める農薬の食品残留値の資料を添付しました。

今回はその残留値について書いていきます。

食品への農薬残留値に関する取り決めは、平成17年(2005年)に“ポジティブリスト制度”というものに改正されました。

ポジティブリスト制度とは、
そのリストに入っている成分について個別に残留値を決め、リストに記載のない成分については一律残留値を0.01ppmとし、それを超えるものについては販売を禁止する、という制度です。

では、改正される前はどんなものだったかと言うと、
リストに入っている成分について個別に残留値を決め、それを超えるものについては販売を禁止し、リストに入っていない成分については規制なし、というものでした。
ブラックリスト形式だったわけです。

それが平成17年の法改正によりポジティブリスト制度になりました。
言い換えればホワイトリスト形式になったわけです。

下に厚生労働省のポジティブリストついての資料を添付します。

この資料を見ると、以下の3つに分類されているのが分かります。

・リストに定められる成分 (個別に基準値設定)
・リストに定められない成分 (一律0.01ppm)
・規制の対象外の成分 (基準値設定なし)

ネオニコチノイドの安全性について記載したこちらのnoteでは、ネオニコチノイドの残留値が緩和されていると書きましたが、それは、以前はリストになかった(つまり残留値0.01ppmだった)ネオニコチノイド成分がリストに追加され、許容される残留値が数十倍に緩和されている作物が多々確認出来るためです。
(例としてアセタミプリドの小麦や大麦など)

また、以前からリストにあったが、その残留値が2,000倍にまで緩和されているものもあります。
(例としてクロチアニジンのかぶ類の葉)

ちなみに、この場合のppmという値はどんなものかというと、
食品1キロあたり何ミリグラム残留しているか、という値となります。
1ppmであれば、1キロ分食べて1ミリグラム摂取となります。
なお日本の残留値は、
それを毎日、一生涯摂取しても健康に影響がない値のさらに1/100に設定されているそうです。

ただ、不思議なのが作物ごとに残留値がけっこう異なっていて、仮にもっとも残留値が高い作物だけを毎日モリモリ食べたらどうなるんでしょうか?
基準値設定としては問題ない事になるはずなんですが、かなり食べる作物によって摂取量が異なってくるように思います。この辺りよく分かりません。

ここまで農薬の残留値について書いてきましたが、基本的には農薬残留値は安心出来る値だと思っています。
農薬にも様々な種類があり、人の体内で分解されてしまうものもあります。
農業の現場でも、散布後一定期間で成分が分解され、また虫に作物を食べられてしまうことなんて日常茶飯事です。
あくまで、懸念しているのはネオニコチノイドです。
その浸透性、高い残効性は、農業にとっては省力化出来る夢のような成分なんですが、それは諸刃の剣でもあり得ると感じています。

農薬(殺虫剤)には大まかに2種類あって、それは

・虫全般に効果を発揮するタイプ
・ある一定の虫にしか効果のないタイプ

とに分かれます。
ネオニコチノイドが、虫全般に効果を発揮する“無選択性”の成分であることも不安に感じる要因の一つです。

残留値のポジティブリストには、この他、規制の対象外の成分も記載されています。
それについてはまた次回のnoteで触れてみようと思います。

ここから先は

0字

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

サポートしていただいた分は農園の整備・野菜作りに活用させていただきます。理想の農園に向けて一歩一歩頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。