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『晴れたら空に骨まいて』発売と偶然の一周忌とプレゼント

昨日、僕の誕生日にワイフ著『晴れたら空に骨まいて』文庫版が発売された。


本書の紹介は次のように書かれている。

【愛する人を喪った人々がたどりついたそれぞれの自由な弔いの形とは――。セーヌ川、珊瑚の島、ヒマラヤへの散骨の旅、絶句するようなハプニング、そして新たな出会い。涙と笑いで彩る、「別れ」の先に生きる人々を深くユーモラスに描く爽快ノンフィクション】

僕なりにこの本をどう表すかを考えて、「旅の本」だと思い至った。

この本には登場者と家族、友人、それぞれの旅と新たな旅立ちが描かれている。旅は楽しいことばかりではないけど、振り返って思い出すのは、一緒にいた人の笑顔やなにげない言葉、その日の爽やかな風や降りそそぐ日差しだったりする。その思い出を胸に、人はまた旅に出る。

奇しくも、昨日は昨年4月に亡くなったスペイン時代の友人、ヤマの一周忌で、埼玉のヤマの実家近くでヤマの家族や友人たちと食事をした。換気と距離に気を使いながら、この1年で(特にコロナで)劇的に世界が変わったことに驚きあった。

こんな時に遠出するなんて不謹慎だという人もいると思うけど、とことん優しくて意地っ張りで寂しがりやだったバルセロナの兄貴分、ヤマの一周忌は自分にとって大切なものだった。


ヤマのお母さんが文庫になる前に『晴れたら空に骨まいて』を読んでくれていたこともあって、ヤマの弔い方の話にもなった。

ヤマのお母さんは最初、スペインで散骨しようと考えていたという。でも最近は気持ちが変わって「ずっとスペインにいたんだから、日本で家族一緒にいるのもいいかな」と思ったそうだ。ヤマは無類の寂しがりやだから、きっと喜ぶだろう。

昨夜、寝床でふと思った。僕はもともと家にこもるのが苦手で、コロナで自由に外出や取材ができなくなってすごーーーくストレスを感じている。

昨日の一周忌の食事会では、久しぶりに家族以外の人たちと会って、他愛もない話ができて、とても楽しかった。東京ー埼玉の小旅行はきっと、ヤマからの誕生日プレゼントだったんだ。僕は、ヤマと久しぶりにハグをしたような気持ちで、眠りについた。

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