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読書ノート『猫と罰』

日本ファンタジーノベル大賞2024受賞作

猫に九生あり。
主役となる黒猫はクロとよばれ、転生を繰り返して九つめの最後の命を生きることになる。三つめで夏目漱石と暮らした黒猫クロの物語。

古書店『北斗堂』には訳アリの猫たちが集まってきます。
過去生で作家とともに暮らした猫たち。
店主の北星は猫たちから魔女と呼ばれ、猫の言葉を理解します。
不思議な古書店にたどりついたクロはすこしづつ過去のキズを克服していくのです。


人間と猫のおりなすビブリア × ファンタジー!

クロの性格がひねくれてて、心を開こうとしないところに共感できました。思春期の少年って感じで斜に構え、人間嫌いで、人の世話になる猫も嫌いで拒絶します。
むかしの自分をみているような懐かしさに、気がつけば好きになっていました。
そんな意地っぱりのクロなのに、他の猫たちは気にもせず絡んできて案の定ウザがられるのに、それでも見放すことはしない。仲がいいわけでもなく、一定の距離を保ちつつ寄り添ってくれる仲間たち。
居心地がよさそうなんですよ、北斗堂。

そんな北斗堂に出入りする小学生のまどか、高校生になり小説家を目指すことになるのですが、家庭の事情で断念します。
円に夢をあきらめてもらいたくないクロは、北星の手を借りて小説を書きます。
猫の描く小説、夏目漱石を敬愛するクロが紡ぐ物語もスピンオフかなにかで読んでみたいです。
 

新潮社:2024.6.19
単行本:256ページ

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