マニアではない、いちファンによる"Now and then"発表前後の記録と感想
ビートルズ最後の新曲「Now and then(以下「Now ~」)」について書きます。自分はビートルズも好きですがストーンズ派。正直取るに足りない感想かもしれませんが、自分の言葉で「Now and then」について記しておきたいと思ったので。
リリースを知ったのは、X(旧Twitter)のタイムライン。
発表当日だったと思う。
発表の記事を読んでまず最初に思ったのは、「ジョージはどうなってる!?」だった。
ジョンのテープだからジョンはいるし、ポールとリンゴは健在だ。
しかしジョージはすでにいない。
「ジョージ抜きなのにビートルズの名前で出すのか?」とか
「ジョージの息子が代わりにプレイするとか?」とか
いろいろな疑問や想像がよぎった。
その後続報を見て、「Free as a bird」「Real love」と同時期にジョージ含む3人で形にしようとしたことがあると知り、安心。
自分はビートルズは未発表曲やブートまで追っていないので、事情を知らなかったのであった。
リリースまでの間も、(別にそればっかり考えていたわけではないけど)
いろいろ思うところがあった。
2023年にストーンズとビートルズの新曲が聴けるとは!
みたいな意見を結構見かけた(し今も多くの人がたぶん思ってる)。
確かにそう。
しかも両者のリリースは時期が近いながらもちょっとズレている。
以前ストーンズのキースが「当時ビートルズとは連絡を取りながらリリースの時期をずらしていた」という意味のことを話していた。
今回もそうしてたら胸熱。
そうだったらいいなあという気持ちであったし、今もそう思う。
でも冷静に考えると、ストーンズの新作にはポールも参加している。
ポールはちょっと意識したかも?と思う。
ストーンズのメンバーは「Now ~」リリースの話を聞いていたのだろうか。
そしていざリリース当日。
正直初めは買うつもりはなかったけど、当日Xのタイムラインを見ていて結局すぐ買ってしまった。
1回目に聴いたときの印象は「何て物悲しい曲なんだ…」。
聴いた人の書き込みが流れてくるのを見ると、ぶっちゃけ評判はあまりよくなかった笑。
やっぱり初めからBメロ問題を指摘する人が多かった。
(解説しておくと、ジョンの元バージョンにはあった展開するBメロがカットされている)
↓アンソロジーのときに試したバージョン。これにはBメロが残っている。ドラムの印象も違い、今回の最終形より起伏に富んでいる感触。
↓ジョンのデモ
ともあれ当日Xのタイムラインを見ていると、Bメロカットに非難轟轟であった笑。高橋健太郎とかも「意外さがあってこそビートルズだろ」的なこと言ってたし(表現は不正確です)。
ジョンのデモ通り、Bメロ残してギターでカバーしてたそっくりさんの↓が流れてきたりとか。
「ジェネリック・ジョン・レノン」と言われててちょっと笑ったけど。
しかし自分はそこは気にならなかった。
この淡々としてストレート、淡麗・幽玄な曲調と演奏。
仮にジョンが生きていて、さらに仮に再結成したとしても
こんな感じになっていたのでは?と思った。
発表年代順に並べてあるベスト盤とかを聴くとよく思うのが、やっぱり大概のバンドは徐々に枯れていくということ。曲調が落ち着いていくというか。ビートルズもそうなってたかもなあ、と。
Bメロ外したのはたぶんポールの意見だけど(理由についてはいろいろな憶測が流れている)、そういうのが共作ならではであろう。
80を過ぎたポールが、ジョンの作りかけの構成から取捨選択したわけである。今のポール(とリンゴ)の選択で、この淡麗な仕上がりになったということなのだ。
しばらく前から、ポールはビートルズを総括しようとしている。
最近のツアーでももちろんビートルズ時代の曲を多数演奏するのだが、自分の曲に限定せずジョンやジョージの曲も演奏しているのである。
ポールは、外野には想像できないぐらいいろいろなことを考えて最終的にあの形にしたのだと思う。
そもそもジョンの死後(からジョージがいた間までは)ビートルズとしての新曲を作ろうとするなら、ジョンの未発表曲をベースにするほかない。
それはビートルズ解散後に作った曲になるので、どうしたってビートルズとは違う作風になる。実際、ジョンはビートルズ時代よりソロの方がシンプルな曲調だし、「Now ~」も然り。
大体ビートルズの頃はメンバーみんな20代である。
80を超えた今の自分たちにリアルな音楽をやろうとするなら、20代だった当時と同じ感じになるはずがない。どうしたって解散前のビートルズのようにはならないはずなのだ。
と思いつつ、ふだん見ない解説動画見たらおもしろかった。
ギターソロのところ、キーが違うけどカットされたBメロ部分と途中まで進行が同じで、確実にジョンのBメロ部分を生かそうとしてのことだと。
そしてこちらも評論としておもしろかった。
個人的には「Now ~」にはそれほどビートルズらしさを感じなかったけど(この点世間的にはどうなんですかね??)、コーラスはビートルズだなあと思っていた。そしたらサンプリングだと。
しかし多くの人が彼らの今と当時を考えるという、曲名とも響く反応をしている。ポールはそこまで狙っていたのだろうか。
あんまり関係ないけど、たまたま見かけた初期ビートルズのスタイルでカバーしてるこちらも割といいと思った。
AIではなくちゃんと演奏してるようで、AI製の類似の音源よりいい感じ。
こうして聴くと、やっぱりこの曲ビートルズっぽいかも?と思ったりする。
ただ彼らはキャリアの初期と後期で音楽性の変遷がすごいので、「ビートルズらしさ」という言葉が何を指すのか人によって違う気もしてきた。「Now ~」をビートルズらしいと思う人は、「Abbey Road」など後期をイメージしているのだろう。
PVについても少し。
1回目に見たとき、おじさんになっている動くジョージを見て
「ジョージがいる!」とグッと来た。
(好きですけど)ジョージの大ファンというほどではないし、
自分の知っているジョージは初めからおじさんだったのだけれど。
あとサビの「I miss you」「I want you to be there for me」という部分の1回目で、シェイ・スタジアムのジョンとジョージが映るのを見ると泣ける…。
ただ、そのあと合成の2人を見ると「これはアリなのか?」と微妙な気持ちになる笑。タイトルにかけて、今と当時をミックスするという意図があるのだろうけれど。
いろいろな意見を見かけるたびに聴き直してみたりPVを見たりして、
結局何度も聴くことになった。
素直にいい曲だと今は思っている。
ただ、やはり純然たる新曲とは言えないとも思う。疑似体験というか。
でも、もうこれで本当に終わり。
あとは(あるとすれば)ストーンズみたいに、
オフィシャルにはリリースされていなかった音源や映像の正式リリースぐらいだろうか。幻のGet BackリリースとかLet it beの正規リリースとか??
個人的には、1枚目のUKファーストプレスの音圧がパンクだと聞いているので、それを再現したCDを音源化してほしいのだが…。
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