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シンエヴァ、感想

シン・エヴァンゲリオン、本日観に行ってきました。

観ている最中の感動、観終わった後のなんとも言えない感覚、そして帰宅してからの喪失感とで、今、私の心はエヴァでいっぱいになっております。

この記事は、深い考察ではありません。一ファンの感想文です。今後、いろんな人の考察を読んで、自分なりにまとめたくなったら再度書こうと思いますが、今回は今日の感想をそのまままとめたい。メモに残しておきたい。ネタバレしますのでまだ観ていない方は読まないでくださいね。

公開3日目、劇場の様子

私が観たのは午前中の回。公開から3日目の、しかもレディースデイということもあったのかもしれませんが、男女関係なくすごい人の数でした。レジには長蛇の列。パンフレットやグッズを買う人たちで賑わっていました。

予約可能時間になってすぐに予約した甲斐もあり、席は真ん中を取れました。映画は普段、ギリギリに到着することが多いのですが、今日は10分前に入場、着席。我ながらエヴァへの愛が深い……。

劇場では特典として、アスカのリーフレットいただきました。

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エヴァと私

一番最初のアニメエヴァが放送されたのは95年から96年。私が小学生の頃です。でもその頃はエヴァのことはほとんど知らず、本格的にハマったのは大学生になってからでした。

きっかけは忘れてしまったのですが、最初に観たのはアニメシリーズ。ロボットアニメでしょ?と思って見始めたら、鬱な展開、精神世界、(私の中の)アニメのイメージを覆す演出。その全てに釘付けになり、アニメも旧劇もレンタルして一気に観ました。

なんとなく観ただけではわからない、「わけのわからなさ」も新鮮で。ATフィールドって何?ゲンドウは何がしたいの?「おめでとう」?「気持ち悪い」?その時は自分なりにわかったつもりになっていても、ネットではめちゃくちゃ深い考察がなされているんですよ。それを見て、自分がいかにふんわりとしか理解していなかったから思い知らされて、やっと腑に落ちる。そんな楽しみ方ができるものは、エヴァが初めてだったと思います。

さらに大学生の頃の私は、その時はその時でまた鬱々としていたりして、そんな気持ちにもマッチしていたように思います。

そうしてすっかりエヴァにハマり、もちろん新劇「序」も公開後、すぐに観にいきました。思えば映画館でエヴァを観たのは初めてだったわけですが、大きなスクリーンで、迫力ある戦闘を繰り広げるエヴァ。アニメや旧劇よりもわかりやすくなっているエヴァ。これまで観たどのエヴァよりもエンタメ性が強く、めちゃくちゃ興奮したのを覚えています。その後、「破」も「Q」も劇場で観ましたが、毎回毎回、いい意味で期待を裏切られ、ものすごく面白かった。

シン・エヴァンゲリオン

そして今回のシンエヴァです。

「Q」では、シンジくんは絶望的に追い詰められ、観客だった私も、シンジくんと一緒に「わけがわからない」状態でした。一応、最後は希望とも取れる形で終わりますが、あの終わりでは続きが気になって仕方ない。でもそんな状態のまま、気付けば9年経っておりました。

自分的にはそこまで時間が経ったように思っていなかったのですが、「Q」の公開が2012年。そこから9年ですか……。私も色々あったなと、自分の中の年数の重みも感じながら、観に行ってきました。

印象的なシーン集(ネタバレ)

ここからは、忘れないうちに自分の中で印象的なシーンをまとめていきます。

・第三村

この場所は、予想外でした。でも、「Q」であれだけの心の傷を負ったシンジくんが、しっかり自分と向き合って、心の傷を癒していくには必要だった。心の傷ってそう簡単には癒えないですよ。アニメだからといって、ご都合的に簡単に描かれなくて良かったし、そのおかげで観客の私もついていくことができた。

パンフレットにも少し書かれていましたが、「Q」で色々なことが一気に起こり過ぎていた分、あのゆったりした時間で一つ一つの事象を理解できたのは良かったと思います。アスカもクローンだったとか、ヴィレが民間人のために何をやっているのかとか、全て、あの時間のおかげで理解できてありがたかった。

村のシーンはとても丁寧でしたね。これまでのエヴァにはないくら長閑な時間。まさかレイが農作業をすることになるなんて。

・トウジ、委員長、ケンスケ

もうね、この3人は生きていてくれて嬉しかった。特にトウジ。「Q」で名前入りシャツが出てきたときは、もう二度と会えないと思っていたから。

病院で、トウジがシンジの検査をするシーンは面白かったな。ライトを向けながら瞳孔の検査?をするんですが、シンジから見たアングルなので、なんだか自分が検査されているみたいでした。

・アスカとケンケン

話題になっているようですが、そりゃそうだよね。私にとって、今回の一番の驚きはこの2人でした。ただ、驚きはあったものの、私は結構すんなり受け入れられました。

一番グッときたのは最後の戦いに出る前、アスカがヴンダーに乗り込む前にケンケンがビデオを回しているシーン。セリフはうろ覚えなのですが、「ちょっとやめてよ」と恥ずかしがるアスカに対して、「今日だけは撮りたい」的なことを言うケンケン。私はその時初めて、「あれ?この2人そういうこと!?」と気付いたわけなのですが、あのシーンは良かった……。

もう、長年のファンとしては希望的な展開も絶望的な展開もどちらもあり得ると覚悟してるんですね。だからこそ、最後の戦いの前は憂鬱で。戦争に出る前の兵士を見送るような、そういうやりきれなさ、辛さもあって。そこであのシーン。あのアスカとケンケンのやりとりだけで、映画では描かれていない2人の時間を想像させる。庵野監督、製作陣、すごいよ。

そしてこの2人のエピソードにこんなに思いを馳せてしまうのは、私がアスカには幸せになって欲しかったからなのでしょう。肉体関係があるとかないとか、そんなことはどうでもいい。ずっと自分の居場所を求めていたアスカが、ついに見つけたケンケンという居場所。本当に良かった、良かったよ……。

映画では明確に描かれてはいないけれど、魂が助けられたその後は、ケンケンと幸せになってくれたに違いないと考えています。

・シンジとアスカ

今作で、思いを伝え合いましたね。青春時代の思い出のように「好きだった」と伝えているのは少し寂しい気もしましたが、でもあれで良かったんでしょうね。

旧劇のラストを思い起こさせるシーンでは、「気持ち悪い」という衝撃的なセリフで終わった前回とは違い、今回はシンジが「好きだった」と伝えて、アスカが頬を赤らめます。この時のアスカがものすごくセクシーで可愛いのですが、それはさておき、第三村では裸を見られても通常運転だったアスカが、めちゃくちゃ照れているんですよね。

アスカの体も大人になっているのか、ところどころプラグスーツが破れている。シンジの告白に照れているのか、裸を意識して照れているのか。旧約聖書のアダムとイヴが「知恵の実」を食べた瞬間に羞恥心が芽生えて局部を隠すという、それになぞらえているのか。作られた存在であったアスカが、人間になった瞬間のように思えて、ここもまた、すごいな製作陣!となりました。

・レイ

可愛い。今回のレイはとにかく可愛かった。あんなに普通の生活をしているレイを見られて、私は幸せです。第三村でのおばちゃんたちや赤ちゃんとの交流は、もう泣けてきて。カブを持っているレイが可愛くて。あとは、畑仕事をする時もトウジの家(昔ながらの日本家屋の居間)で味噌汁を啜る時も、プラグスーツのままなのが斬新でしたね。

委員長に挨拶の意味を一つ一つ教えてもらうのも良かったです。「おはよう」も「おやすみ」も「さようなら」も、相手のことを想うおまじないとして教えてもらっているのが素敵でした。

途中、アスカから、シンジへの想いはそうプログラムされたものだと伝えられますが、自我が芽生えたレイは「それでもいい」とシンジの元に通い続け、最後には教わった全てのおまじないを伝えていなくなるレイ。村に打ち解けたいという想いで名前を求める姿も良かった。最初は綾波じゃないと言っていたシンジも、最後は綾波は綾波だと言ってくれて。

「なんでみんな優しいんだ!」「碇くんが好きだから」のシーンは泣けました。どんなに孤独になりたくても、孤独になれないこの感じ。そうなんだよ、人ってお節介で優しいんだよ。だから生きていけるんだろうな……。

・ミサトさん

まさか、加持さんとの息子が出てくるとは思いませんでした。でも今回、母になったことでミサトさんは報われたような気がしています。というのも、ミサトさんて、これまでの過去作品では、シンジの母親のような恋人のような、なんともいえない立場でしたよね。

今作では明確に母親となったことで、シンジとの関係性も、深い信頼関係であることがはっきりとしたし、母親という立場だからこそ、地球を守るという目的がより強いものとなった。

ミサトさんはとてもインパクトのあるキャラですが、実はこれまでとても不安定な存在だったような気がしていて。今作でやっと、その位置付けがはっきりしたような気がしています。

あとは、とにかくかっこよかった。「母さんこれしかしてあげられない」と言って散っていくシーンは、悲しすぎましたが。ミサトさんは艦長で、あの最期以外なかったのかもしれないけれど、ミサトさんにも幸せになって欲しかった。どんなにご都合主義と言われようとも。

・エヴァンゲリオン

スタイリッシュじゃないエヴァがたくさん出てきます。機械的だったり、ボロボロだったり。長い戦い、戦いの過酷さを想像させました。おかげで、アスカが使徒化した時や、最後のエヴァ初号機が際立ってたような気がします。

・最後の親子喧嘩

ゲンドウさんの「ユイ!ユイ!」が良かった。これまでの厳格な親父像が崩れる、妻大好きなゲンドウさんの一面。そして、孤独を愛するゲンドウさんが、妻・ユイを失うまでの一連の語り。もはやターミネーターみたいになってしまったゲンドウさんの人間臭さを感じて、好きなシーンでした。

そして、シンジとの対話。もう、ただの親子喧嘩。そしてその親子喧嘩は、エヴァ2体の戦いによって表現されるのですが、特撮の撮影スタジオのような場所が出てくるんですね。家もしっかり模型のようで、例えば片方のエヴァが攻撃を受けても、足元の家は崩れるのではなく、ザザザーッとはけていく。エヴァ初号機(シンジ)が倒れた時、後ろの空が幕だということが明確にわかる。いろんな意味が含まれているシーンですが、表現方法が面白かったですね。

このあたりのシーンの雰囲気は、アニメ版や旧劇をも彷彿とさせ、昔からのエヴァファンとしては胸が熱くなる場面でもあったように思います。

・ラスト

マリに連れられて、駅の外に出るシーン。親子喧嘩からの一連の流れは、まさにエヴァからの解放、「さらば」でしたね。

実写+アニメという、斬新な演出でした。このシーンによって、見ている私たちもしっかり現実世界に連れていかれました。夢の中にいたい私としては少し寂しさがありましたが、映像として面白かった。こういうこともできるんだ!という、新鮮さがありました。

ネットで見つけた考察の中に、親子喧嘩からラストまでの演出は、庵野監督による挑戦状だと書かれていて、なるほどなと思いました。エヴァという作品を通して見せつけられた、アニメーションの自由さ、可能性。あれを提示されたら、作り手としてはワクワクせずにはいられないですよ。羨ましい。この作品と今出会うことになる若い世代に、私は少し嫉妬しました。

あとがき

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めちゃくちゃ長くなってしまいました。メモ書き程度と思っていたのに、5000字近くになってしまいました。自分の中のエヴァ愛、相当深かったんだと実感しております。これだけ書いたら、帰宅後の喪失感も落ち着いてきました。

実は見終わってすぐは、少しもやっとしていたんです。もしかしたら私は、もっとはっきりとしたハッピーエンドや、全てがアニメで終わる夢のままの世界を求めていたのかもしれません。でも、こうして書きながら気持ちを整理しているうちに思いました。エヴァらしさがあって、それでいて新しいシンエヴァ、これで良かったなと。

今回は、パンフレットも素敵でした。25年もの間、作品に携わってきた声優さん達のそれぞれの想いも載っていて、かなり読み応えがあります。読み切るのが惜しくて、まだ途中ですが。

そうなんです、まだまだ余韻に浸っていたいんです。やっぱり、青春時代から見続けてきた、大好きなエヴァが終わってしまったのは寂し過ぎる。ですが、いつまでもそうは言っていられないですよね。エヴァから受け取ったエールを胸に、現実世界でしっかり生きてかねばと思ったのでした。


そうだ、あと一つ。忘れられない体験がありました。それは、映画館を包む、エヴァを待ち侘びた人たちの熱狂、熱気。今日久しぶりにこの空気を感じて、改めてエヴァという作品の偉大さを実感した次第です。

そして同時に、これだけの人の期待を背負う中で、一つの作品を最後まで作り上げるということ自体が凄まじいことだなとも。ジャンルは違いますし、立ち位置も全然違いますし、こんなことを思うこと自体おこがましいのですが、同じ作り手として、尊敬の念しかありません。

庵野監督、製作陣のみなさま、この作品を届けてくれて本当にありがとう。また会えることを信じて、今はさようならと言います。

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