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ぶっちゃけた話、腹筋っているの?

「筋トレ」と聞くとどんなものを想像しますか?

腹筋、背筋、腕立て、スクワット...
一般的にはこんなところでしょう。

その中の筆頭といえる腹筋のトレーニングにも、色々方法があります。
クランチ、シットアップ、レッグレイズ、プランク...
これらの種目には、腹筋を使うという共通点はありますが、それぞれ使い方や目的の違いがあります。

マーチングにも、腹筋を鍛えるトレーニングは多く取り入れられていますが、どうして腹筋を鍛える必要があるのか、どんな方法で鍛えるべきなのか、今回はそのあたりを考えていきます。

腹筋の役割

一口に腹筋といっても、実はいくつか種類があり、それぞれに違う働きをします。名前が繊維の走る方向を表しているので、覚えやすいですね。

・腹直筋
真っすぐ縦に走る筋肉で、体幹を前に曲げる動きをする。一番シンプル。今回のメイン。

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・腹斜筋(外腹斜筋、内腹斜筋)
斜めに走る筋肉で、横に曲げたり、捻ったりするのが得意。
外腹斜筋は外から内、内腹斜筋は内から外というように斜めにクロスしている。
外腹斜筋は腹筋の一番表面にあり、皮膚を通して触れるので感覚がわかりやすい。

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・腹横筋
呼吸に深く関わる筋肉で、腹式呼吸でお腹を目一杯へこませるときに働く。腰回りを安定させるコルセットのような働きもする。繊維は横向き。
(今回は特に説明しませんが、体幹を曲げる腹筋運動では鍛えることができない部分です。腹式呼吸のためにクランチをしているそこのあなた、その考え方はアウトですよ!)

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では、どれを鍛えればいいのか?
結論から言えば全部をバランスよく鍛えるのがベストです。

人間の身体は沢山の筋肉によって制御され、なるべく疲れず効率よく動けるように制御されています。
しかし、どこか一ヵ所が強すぎたり、弱すぎたりすると、他の筋肉が過剰に働くことになってしまうので、全体のバランスが崩れてしまいます。

一般的に言う腹筋と背筋のバランスもそうですが、腹筋の中でも一部が使えないことにより、他が本来と違う使い方でカバーしてしまうことになります。

トレーニングする時は、自分のどこが弱いのか身体と相談しながら、鍛える箇所を分散させるのが大切です。腹筋ばっかりしないように!


腹筋は何の役に立つのか

腹筋の働きがわかったところですが、実際どんな状況で腹筋は使われるのでしょうか。

腹直筋も腹斜筋も縦方向に働く作用があるので、一般的な腹筋運動である「クランチ」で鍛えることができるのですが、

こんな動き(体幹を丸めていく動き)、日常生活で使うことあります?




ぶっちゃけ無いんですよね。

「地面の物を拾おうと屈んだときに身体が丸くなるから腹筋使うよ!」と言う人、よく考えてください。

筋トレとは、重力に逆らって重りを上げて筋肉に負荷をかける、ということです。
立った状態から身体を前に丸める動作は、逆らうどころか重力に従っていますね。


じゃあ何のために腹筋は存在するの?という話ですが、それは腹筋と表裏の関係にある背筋と一緒に考えるとわかります。

背筋は体幹を後に反らせる働きがありますが、そもそも筋肉というものは単体で縮むことはできても伸びることはできないのです。縮んだ筋肉をもとの長さに伸ばすためには、表裏の関係になる拮抗筋が必要です。

背筋を使って身体をそらしても、拮抗筋である腹筋が無ければ反りっぱなしになってしまうのです。

腹筋と背筋は、お互いに引っ張り合うことで身体を支えています。これは各筋肉が引っ張りに耐えていると言い換えることができます。

つまり、腹筋は引っ張られて適度な長さを保ちつつ働く、というのが本来の使われ方というわけです。だいたい筋出力は常に30%くらいであると言われます。

腹背バランス


どうやって鍛えるべきか

では具体的にどんなことをして鍛えるのが良いか考えてみましょう。
競技が上手くなるためのトレーニングは実践の動きにつながるように行うのが原則なので、それを踏まえながらメニューを組立てます。

マーチングにおいての腹筋の役割は、姿勢を保つという働きでした。姿勢が崩れるときは[走る、跳ぶ、腕を振る]など手足が大きく動いた時が多いので、姿勢を保ちながら手足を操作する種目を取り入れましょう。

この場合はプランクが効果的ですが、耐えるだけのプランクはあくまでも動かない時を想定したものなので、慣れてきたらプランクや四つ這いで姿勢を保ちながら手足を大きく動かす練習をしましょう。

もしプランクすらきついよという場合は、仰向けになって姿勢を保つ練習をするのも良いでしょう。肋骨を引き下げる(体の内側に向けてしまい込む)動きは、内腹斜筋や腹横筋が働く非常に重要な準備です。

また、体幹を積極的に前に曲げるという動きは姿勢保持の観点では必要ないので、クランチは特にやる必要のないメニューであると考えることが出来ます。
ただ、クランチは筋力アップには効率的なメニューであることは確かなので、極端に腹筋の弱い人は足りない筋力を補うために追加で実施しても良いでしょう。

筆者がマーチングに腹筋トレーニングを取り入れるとしたら

・プランクなどのコアトレーニング
・コアを入れながら手足を動かす練習
(・筋力不足の人はメニューの一部をクランチに変えて基礎筋力をつける)

というメニューになります。ぜひ参考にしてください。

今回は姿勢を保つという部分にのみフォーカスを当てましたが、体幹は保つだけでなく、爆発的なエネルギーを生み出すためにバネのように使ったり、手足と連動させたり、様々な動きができます。

腹筋や背筋は体幹を操作する筋肉なので、色んな動きをできるようにするために、効率の良い使い方を学ぶ必要があります。
体幹を保ち手足を分離して動かすということができるようになるのは、そのきっかけに過ぎないのです。

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