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たべるということ。

彼はデートの時にときどきご飯を作ってほしいと言う。一人暮らしが長く大して料理をしないため、何気ない料理を家で食べるのに憧れがあるらしい。

最初はカレー。次はキーマカレー。風邪の日の卵雑炊。チャーハン。ピーマンのナムル。生姜焼き。肉じゃがとトマトとしらすのポン酢和え。ジャーマンポテト。鯖と野菜のそぼろ。
作り置きおかずを含めればこの4ヶ月で割と作った気がする。

カレーはだいすきで、作ったこともあるらしいのだが2時間はゆうにかかったらしい。以来レトルトでさくっと…2時間なんてスパイスから作ったのかと思うけれど、野菜の皮むきに苦戦したらしい。だから最初のお願いがカレーだった。家ではテキトーにしがちなじゃがいもやにんじんはアク抜きなどの準備をしてから丁寧に作った。
完成したのを差し出すと、「もうこの時点でおいしい!」と食べてもないのにうきうきして運んでいく。「いただきます」そして一口「美味い!」また一口「美味い!」彼が何回言ったのか分からない。「じゃがいもがほろほろするし、にんじんが美味しい!」ご飯はもちろん家でも作る。けれども、大したリアクションはないし、なんならもう少し工夫したら?他の作ってよと言われる始末。だから家で普通に作る料理を「美味い」と言われるのがとても嬉しかった。たまらなく嬉しかった。
「普通だよ」と照れくさくて言うと、「すっごく美味い。こんなに美味しく作ってくれるなんて、おかわりしちゃう。一緒におかわりする?」と言う。
普段はあんまり好んでは食べないにんじん、量を減らすご飯も知らず知らずたくさん食べていた。

そして、ついこの間の金曜日。肉じゃがを作った。いろいろあって1ヶ月越しの約束を果たす。こってりしてるかなと思って、さっぱりするトマトとしらすのポン酢和えも添えて。
「なにこれ美味い!」
「普通だってば。」
「実家より美味いもん!」
「言い過ぎ、普通の肉じゃがだよ?」
「あのね、ふつうに作るのが1番難しいんだよ。実家をさげるわけじゃないけど、マジでもぐのがおいしいよ。このトマトもうまい!1人だとトマトも大葉も買わないけどさ、こんなに美味いなんて!今日の陰のMVPだよ」
最後に
「もぐの作るご飯はいっつもおいしい。一緒に食べるのももっと幸せ。毎日食べたいなぁ」

彼は私にご飯を作る楽しさと、一緒に食べる幸せを教えてくれた。美味しいものも食べさせてくれるし、なんならサ飯も教えてくれたのだ。ラーメン巡りが趣味になるくらいラーメンも食べさせてくれている。
おかげで(?)人生最重量である…しかし、平均には達していないから同僚に「何言ってんの?」と言われているが。

好きな人にだんだん似てくるとどこかで聞いたことがある。もしかしたら、好みも味覚も似てきているのかもしれない。もしそれが本当ならとっても嬉しいんだけどね。

この間のデートで撮ってもらったおいしかったロコモコ丼

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