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まさか。

先輩の誕生日を祝った帰りの車だった。

「俺は、もぐ先生のこと好きだよ」

去年振られているから、友だちとしてなのかそうじゃない人としてなのか分からなくて、返事に詰まった。
「去年は8つも違うしさ、俺でいいのかなって。歳近い人の方がいいんじゃないかなぁって。優しくしてくれるけど、俺は全然返せなかったし。」
ふぁー…語彙力のない返事しか出来なかった。なんで振られたか分かんなかったけど、不意にはっきりしたもんだから。視力が悪くて、はじめてメガネをかけた時の感動みたいな感じで突然クリアになった。
「でも、その後もずーっと優しくしてくれたじゃない。俺がしんどい時に声をかけてくれたりさ。助けてくれてすっごく嬉しかったの。」
「何にも出来てないです。むしろ助けてもらってばっ…」
「違うの、先生は気づいてなくても俺はいっぱい助けられたの。」
田舎道は暗くていい。きっと林檎みたいに真っ赤になってたから。
「それで、よかったら付き合ってくれませんか?」
はい、よろしくお願いします。って返すのが精一杯。
「よっしゃ。今度から晴れてデートって言えるな。」
ほぼぴったり1年後にこうなるなんて、誰が思っただろう。なりたいとは思ってたけれど、なれるなんて思いもしなかった。

誰かに好きだと言ってもらえるのってこんなに幸せだったっけ?と思うほどぽやぽやしてる。
ちょっとずついろんな話をしながら、お互いゆっくり進んで行けたらいいなぁと思ってるし、約束した。気持ちを確認してくれる先輩は本当に素敵だと思う。


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