「虎に翼」4週目「屈み女に反り男?」感想

さぁ今週も始まりました。
サブタイの意味は、「女は少し俯いているくらいの姿勢が美しく見え、男は胸を張って立っているのが良い」という意味らしいです。
サブタイが毎回考えさせられるので、タイトルに盛り込むことにしました!というご報告です。

この朝ドラのサブタイは、「女」に関連する慣用句に「?」をつけるようですね。


1.本科へ


寅子たち女子部のメンバーは、ついに明律大学の本科、つまり男子と共に学ぶことになりました。
「魔女部」と揶揄われた経験から、臨戦体制で乗り込むものの…。

「花岡悟」(演:岩田剛典さん)という学生を筆頭に、男子学生たちは女子部の面々に対しすこぶる紳士的。
「これだから女は」「女のくせに」と口にする人は1人もいません(例外はいた。後述)

それでも、よねさんは「いつか化けの皮が剥がれる。気を許すな」と警戒を怠らない様子。
しかし、そんなこともなく穏やかな日常が過ぎていきます。 
そしてなんと、寅子たちは男子学生にハイキングへ誘われます。

THE☆平和
…ほんとうに?

2.多面的なキャラ・花岡


本科の学生で、洗練されたイケメン風の花岡悟。
「あなたたちのことを尊敬している」と優しく話しかけ、授業で取り上げられた事案について話し合ってくれることもあり、存外対等に学んでいるような…?
と一抹の不安を感じつつも思っていたらやはり裏がありましたねえ…。

カフェの女給と思しき人から恋文のようなものを渡されていましたが、すげなく断っていました。
ハイキング当日の待ち合わせで、男子学生が集まって喋っている時にその話をドヤ顔でしていました。

極め付けは、「女ってのは優しくすると付け上がるんだ。立場をわきまえさせないと」
やはり裏切ったか!

でも、同性しかいない環境で羽目を外した話をしてしまうというのは性別問わずあるあるだよなと…悪ノリ、というのでしょうか。
筆者も気をつけるようにはしていますが。

そしてハイキング。
男子学生のひとりが、梅子の夫・大庭に妾がいることを光三郎(梅子の三男)に話していました。
「子供にそんな話を聞かせないで」と怒る寅子。

仲裁に入った花岡と寅子は口論になります。
「こんなに特別扱いしているのに君たちはなぜ不満なんだ」と花岡。
これに寅子が切れた!
「は?私たちがいつ特別扱いしてと言いました?自分がどれだけ傲慢かわからないの?」とつい小突いてしまいます。花岡は足を滑らせて落下、怪我をしてしまいました。

 しかし、木曜日の放送回で、これらは「男子のコミュニティ」から仲間はずれにされたくないがために虚勢を張っていただけだということが分かりました。確かに花岡のようなイケメンは女性に優しくすると、「モテを狙っている」「かっこつけている」と思われることも多そうで…
実際、穂高教授のモデルになったと思われる穂積重遠も、女性の権利伸長を訴えていたことで「女好き」と揶揄されていたそうですからね。

「すみませんでした。かっこつけてしまって、その自分は偽物で…」と謝罪する花岡に対し、
「どんな自分も、花岡さんよ。たとえ演じているのだとしてもね」
と返す梅子さん。

うわあ…刺さるなあ。友達、家族、恋人etc.全てに同じ姿勢で接しています!という人は少ないでしょう。多少なりともテンションやノリが異なるという人がほとんどだと思います。しかし、「それは私じゃない」というのは卑怯ですよね。自分の取った行動は、たとえどのようなシチュエーションであったとしても責任を持たなくては。

しかし、梅子さんは
「でももし、『本当の自分』だと思うものがあるのなら、それに近づくように頑張りなさい。少なくとも、きちんと謝れるのだから私の息子よりずっと立派」とフォローします。

懐が、深い!
小さい頃に母親を亡くしていた花岡にとっては、まさに母親のように感じられたのではないでしょうか。

同じキャラクターなのに二転三転と多面的な表情を見せてくれます。そしてリアルなんですよね。

3.硬派な男


先ほど、本科では「魔女」と揶揄ってくる人間はいなかった(例外あり)と書きましたが、その例外の人の話をしましょう。
轟太一(演:戸塚純貴さん)です。
「女は男とは違う」「女が政治力を持った例は少ない」
「女は男に比べて体力がないから」
と言い放つなど、ファーストインプレッションはかなり悪い。

しかし、翌日の放送回で評価が逆転!
出張講師としてやってきていた大庭鉄男(梅子の夫)が妻をいじるような発言をした時、轟はむすっとした顔をして笑うことはありませんでした。

また、先ほど記したハイキングの待ち合わせでの花岡の発言を聞いて、
「不誠実な行いはいただけない。その発言、撤回しろ!」
と叫びます。

ハイキング当日でも、「空気が美味しいなあ!」と楽しんだり、光三郎や玉ちゃんといった、立場の弱そうな人の荷物を優先して持とうとしたり、パフォーマンスではない、真の誠実さのようなものが垣間見えます。

極め付けは、花岡が坂を転げ落ちて怪我をしたことに対して責任を感じる寅子に「気にするな、あいつが勝手に足を滑らせただけだ」とサラッと慰めます。
お主!ジェンダーにゴリゴリに縛られているけど心根はかなり誠実なお方かもしれない。

さらに、梅子さんのバックボーンを聞いて、思うところがあった様子。
花岡の退院の付き添いとして病院にやってきた轟は、「猪爪寅子をうったえてやる」とうそぶく花岡を平手打ちし、「ここには俺しかいない」と本音で話すよう促します。
友達のためを思って本気で怒れる人!

さらに轟は、
「俺は、信じられないことだがあの人たちが好きになってしまった。あの人たちは漢だ。俺が漢の美徳だと思っていた強さや優しさを持っている。俺が漢のものだと思っていたものは、実はそうではないのかもしれないな」
と考えが変わりつつある様子。

轟という人はすごい。
「男たるもの、女性など弱い人を守らなければならない」というジェンダーロールに縛られていた轟ですが、強さや優しさは何も男性だけが持つものではなく、人として備えておくべきものではないかという気づきを得たようです。

轟くんの株は天井知らずです。

4.100年前も学歴コンプがある


 「主人の授業を受けてくれたお礼」として梅子は女子部メンバーと、男子学生たちを甘味処へ誘います。
なんと、そこには梅子の長男も来ていました(東京帝大の学生だそうで、かなり優秀)。

寅子は「梅子さんにはいつもお世話になっています!」と挨拶しようとするものの、男子学生陣は「スン」となって黙ったまま。
あれ、男の人もスンってなるんだ?

この理由を知りたくて、寅子は猪爪家に下宿している優三(演:仲野太賀さん)に尋ねると
「あぁ…それはスンってなるね」
との返答。
なんでも、明律大学の学生は帝大生には敵わないんだとか。

すごいドラマになってきました。
同性間での悪ノリの次は、学歴コンプレックス!
女性の葛藤や悩みだけでなく、男性のコンプレックスや悩みも取り上げてくれそうです。
誰もが抱えている「生きづらさ」から目を背けない、丁寧なドラマです。

5.お父さん?!

 なんと、寅子の父・直言が贈賄の疑いで逮捕されてしまいました。確かに今週は少し態度などが怪しかったのですが…まさか捕まってしまうとは。でも冤罪じゃないか、そうであって欲しいと祈っています。

 穂高先生が「友の身に起きたこと」と言っていたことが救いだなと思います。「女性」ではなく、共に法律を学ぶ「友」。
「友達だから信じよう」ではなく、「法律を学んでいるものとして、冷静に」と。
感動した直後、猪爪家の塀から飛び降りてきた花岡と穂高先生は心強いと思いながらも、ちょっと笑ってしまいました。

まとめ
今週のサブタイ「屈み女に反り男」は大変秀逸で、ストーリーにもはまっていたなと感じました。
「女とは」「男とは」にとらわれていた花岡と轟。女子部のみんなの心意気に触れて、気づきを得たようです。
 「女性の共感を呼ぶ」と言われてきたこの作品ですが、それだけにとどまらない力があると感じました。
 来週はシリアスな展開になりそうですが、楽しみにしています。


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