ショートショートnote杯┃空飛ぶストレート
僕の愛犬ストレートが空を飛ぶ夢を見た。
まさかね、そう思いながら散歩に連れていく。日曜は学校が休みだから僕が散歩の当番。大きなゴールデンレトリバーは少しだけ僕の前を歩く。今日は天気が良いから隣のおじさんもユニフォームを着てお出掛けだ。川沿いの堤防がお決まりのコース。ストレートは賢いから道を間違えるなんて無い。
お父さんも一緒なら良かったのに。ストレートといっぱい遊べるから。
「俺のストレート。打てるものなら打ってみろ!」
隣のおじさんの声だ。
「あっ!」
ストレートが強く引っ張るものだからつい手を離してしまう。まっすぐ駆ける僕のストレート。土手からの大ジャンプ。まさに空飛ぶストレートだ。
「こら! 野球のボールを返せ!」
僕たちはおじさんたちにいっぱい怒られた。
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