2007 - 原付バイクと泡波アイス
日本最南端の波照間島を訪れたのは、2007年の誕生日だった。八重山旅の拠点にしていた竹富島からいったん石垣島へ、石垣から予定通り船が出た。波照間や与那国行きの船は天候が悪いと出ないことがあると聞いていたので、ひと安心だ。
島を一周するのに自転車はきつい。原付バイクをレンタルすることにした。ただ、普通自動車免許を持ってはいるものの、原付バイクには乗ったことがなかった。運転できるだろうか。そういえば、二段階右折というのを習った覚えがあるが、すっかり忘れてしまった。
「二段階右折ってどういうふうにやるんでしたっけ?」
少し間を置いて、
「この島には信号がないからねえ」
レンタルバイクのおじさんに笑われた。少し運転の練習をして、太陽の下を走り出した。
波照間のヤギさんこんにちは。
ニシ浜でバイクを停め、膝まで海に入ってみる。泳げたらどんなに楽しいだろうと思う。
遂にきた。日本最南端だ。
旅先でいつも郵便局に立ち寄っては、自分に手紙を書く。波照間島の郵便局からも、自分に宛ててハガキを書き、風景印を押印してもらった。
仲底商店で休憩。波照間島で造られている幻の泡盛「泡波」を使ったアイスクリームがあった。原付バイクを運転しているので、飲酒運転にならないだろうか。やや心配しつつも、泡波アイスを食べた。
泡波アイス!ああ、泡波アイス!あの味が忘れられない。これを食べに、また波照間に行きたいと思うほどだ。その仲底商店が閉店したと知って、大きなため息が出た。あのアイスは幻になってしまったのか。
帰りに泡波を造っている酒造所があった。造られる数が極めて少ないので、島外で購入するのは難しいと言われる泡波。手のひらサイズの泡波が、あれからずっと冷蔵庫に入っている。
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