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素人が相続登記を自力でやってみた

*この記事の内容は、2020年4月現在の情報です。

素人が相続登記を自力でやってみた。

先日、家族が亡くなった。

法定相続人は3人で遺言書はなし。残された遺産は家2軒と土地3つ。とはいっても、田舎の古い家屋なので、相続税の申告や納税が必要なほどの資産価値はなかった。

※法定相続人の数が3人の場合、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が相続税の基礎控除額となる。 遺産の合計額が4,800万円以下だったので、相続税の申告と納税をする必要がなかった

葬儀などでなにかとお金もかかっていたので、経済的負担を少しでも減らすため、自分でや相続登記をやってみることにした。

情報収集はインターネットで行い、自分一人で一発OK。登記簿謄本が手元に届いた。

以下備忘録として残すが、あくまで素人のメモである点、ご承知おきいただきたい。



【パート0】はじめに

相続登記は、今のところ(2020年4月)は義務ではないし期限もない。

※義務化については議論が進んでいるようで、今後義務化される可能性があるらしい

しかし、調べていると相続登記をしないのも複数のリスクがあるらしいということがわかった。

・他の相続人に持分を差押えられたり、売却されたりする可能性がある
・不動産を売却したり担保にしたりできない
・登記しないまま相続人が亡くなると権利関係が複雑になる
・次の相続時に登記費用と手間が倍になる

上記が一例である。我が家は違ったが、相続人同士がもめている場合は相続登記を済ませるのが得策だろう。



【パート1】役所で必要書類を揃える

やたらと必要書類が多い。正直これだけで心折れそうになるし、本当にこれで必要十分なのかかなり心配になるので根気が必要であった。

故人の戸籍謄本(改正原戸籍謄本、除籍謄本):故人の戸籍がある場所の市役所
※法律改正や電子化やらで、戸籍を移してなくても戸籍が複数部にわたることがしばしばある
故人の昔の戸籍謄本(除籍謄本):故人がかつて戸籍を置いていた場所の市役所
※生まれてから亡くなるまですべてが遡れるように揃える
故人の住民票の除票または戸籍の附票の除票(どちらか):故人が最後に住んでいた場所の市役所
相続人の戸籍謄本(今の分だけで良い。遡る必要はない):相続人の戸籍がある場所の市役所
相続する人の住民票(相続を放棄する人の分は不要):相続人が住んでいる場所の市役所
相続する人の印鑑証明書:相続人が住んでいる場所の市役所
相続する不動産の固定資産評価証明書(該当年度のもの):不動産がある場所の市役所
※年度ごとに更新されるので、年度末は注意
※登録免許税の計算に必要。登録免許税は郵便局などで収入印紙を購入して、その収入印紙を登記申請書に貼付して納める
※固定資産評価証明書の土地と家屋の金額を全部合計して、そこから1000円以下を切り捨てたものが課税標準額になる。その課税標準額×0.4%の値の100円未満を切り捨てた金額の収入印紙を登記申請書に貼る。
相続する物件の登記簿謄本(登記事項証明書):全国どこの法務局でも入手できる
※コンピュータ内のデータを印刷したものが登記事項証明書、紙をコピーしたものが登記簿謄本。2つの中身の内容に違いはない
固定資産税納税通知書:故人の家で探す
※相続する不動産に漏れがないか確認する
以上である。もう一度言うが、集めるだけで大変であった。



【パート2】登記申請書を作る

フォーマットは法務局のホームページからダウンロードする。
20)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)の書類。Wordが良い。

不動産登記の申請書様式について:法務局

まず、参考にさせていただいたサイトを貼らせていただく。
登記申請書の作成 - 司法書士本千葉駅前事務所
この記事1本で完璧に作れる!相続登記の申請書作成完全マニュアル


記載方法

登記申請書や遺産分割協議書の細かい書き方は、上記サイトなどネット上にたくさん転がっているのでここでは割愛する。
申請書は法務局のフォーマットに則りA4の用紙に記載し、他の添付書類と共に左綴じ(ホチキス留め)にする。
申請書が複数枚にわたる場合は、各用紙の綴り目に必ず割印をする。
登録免許税は、収入印紙(割印や消印はしない)を貼り付けた用紙を申請書と一括してホチキス留めし、綴り目に必ず割印する。

書類の組み方参考:登記申請書類の組み方 - 登記なび
割印の方法参考:割印・押印の仕方 | 自分でやる相続登記・不動産の名義変


家屋番号を調べる

登記申請書に記載する家屋番号を知る方法は3つ。

・登記済権利証(権利証)で確認
・固定資産税納税通知書の明細書で確認
・法務局で住所から調べる

権利証や古い登記簿謄本などがあれば、地番や家屋番号が記載されている。権利証等がなくとも、毎年届く固定資産税納税通知書の明細書にも通常は記載されてる。どちらもなければ、法務局で住所から地番を検索し調べる。

法務局で調べても良いが、自宅の敷地が1つの土地と思っていたら、実は複数の筆に分かれていたということや、家の前が私道で、近隣と共有名義だったという事例がしばしばあるらしい。その場合、土地は地番ごとに管理されているので、メインの土地に付随するような土地であっても、自分でそれぞれ手続きしなければそのままの状態で残ってしまうので注意が必要だ。


原本還付

登記申請書と相続関係説明図と遺産分割協議書以外の書類は返してもらえるので、後に銀行などの手続きに使うことができる。ただし、原本還付の手続きが必要。

通常は相続関係説明図を提出すると思うので、その場合には、原本還付を受ける際に、被相続人についての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)や相続人の戸籍謄本のコピーの提出を省略できる。

つまり、遺産分割協議書、固定資産評価証明書、印鑑証明書(相続人全員)、戸籍の附票、住民票はコピーして原本還付を行う必要がある。
※そもそも遺産分割協議書は相続人の人数分作成しておき、原本を保管しておく

具体的には、登記完了後に原本の返却を希望する書面について、登記申請書に原本をつけずに、替わりにそのコピーを合綴する。コピーの余白に「右は原本に相違ありません」と記入して、申請人が記名・押印する。
※法務局に「右は原本に相違ありません」のゴム印が備え付けられているので、利用してもよい
すべてのページへの記載は不要で、割印でつながったコピーの綴りのうち、どこか1箇所に「右は原本に相違ありません」の記載があればよい。還付を希望する書面の原本は、クリアファイルなどにひとまとめにして、登記申請書と一緒に申請窓口に提出。

参考:相続登記の原本還付(印鑑証明、戸籍、遺産分割協議書など) | 相続登記手続の相談室 | 高島司法書士事務所



【パート3】提出

提出先の法務局でなくてもよいが、提出する前に法務局の相談窓口で書類チェックをしてもらおう(要予約)。書類の受理を保証してくれるわけではないが、書類不備がないかなど確認してもらえる。疑問点もここで解決しておく。

余談だが、最初は「自分ひとりで相続登記なんてお前さん無謀だからやめとき」的な横柄な態度であしらわれかけたが、提出書類がしっかりしていたのでどんどん態度が変わっていったのは面白かった。

これが済んだら、提出。あとは待つのみだ。

恙なく進めば登記が完了する日が役所から伝えられる。その日に電話をして、登記が完了していたら教えてもらえる。

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