部屋
彼との時間が始まった思い出の部屋に入ると、
初めてハグをした日を思い出した。
あの日彼からの告白がなければ
何も始まることはなかった。
そもそも私が彼のところに来なければ
始まることはなかった。
出会いとはとても不思議。
この部屋には思い出がいっぱい。
いつもは不在を装うために
電気はつけていなかったけど、
今はもう彼女ではなくなったから、
部屋の電気をつける彼。
私たちの関係は過去になったことを感じる。
仕方ないことだけど、
電気ひとつで悲しくなった。
先ずはお茶でも。
と、いつものように彼はお茶を
いれてくれる。
ほんと優しいなぁ。
それは私だけにではなくみんなにだけど。
あ、いけない!
ちょびっとひねくれてしまった。
これは、よくない。よくない。
何でも一番、一番。
一番がいいと。ワガママな私。
彼が私に疲れてたことだ。
考え方を変えないと。
自分がではなく、
彼の幸せを祈るスタンスに。
彼と彼の部屋でお茶を飲みながら
まったり過ごせる時間に感謝。
彼の穏やかな笑顔が見られる
この時間に感謝。
お茶を飲みながら近況報告をしたりした。
色々話をしていると涙も溢れだす。
彼への思いが涙へと変わる。
見つめ合い手をとり握り合う二人。
もう彼氏ではないのに、
1ヶ月ぶりなのに、
身体の距離間だけは前と変わらない。
彼からハグをされる。
永くて深いハグ。
こころも身体もほぐれるようなハグ。
久しぶりにかぐ彼のにほい。
大好き。大好きすぎる。
彼のかほりが好き。
もうこれは遺伝子的に好きなレベルだ。
そして見つめ合う二人。
しばらく永い時間見つめ合う。
心がとろけそうになる。
鼻と鼻とくっつけあう。
そして首を振るのが好きな二人。
彼の鼻はツンと高くて
くっつけるのが気持ちよくて大好きだ。
唇はなかなか触れない。
そんな距離を保つ。
そうしていると、
彼が最後にキスをしたい。と。
最後に?とビックリする私。
"キスに"ではなく"最後に"反応。
まるでヤーレンズ現象だ。
私のオンナノコっぷりに彼は
慌てて"今日の最後に"と訂正。
最後のキッス
をしてしまう。
永い永いチューだ。
んー。
私たちはどうなっていくんだろうか。
最後のキッスもう一度
誰よりも愛してる
そう、誰よりも愛してしまった。
私の気持ちは、まだまだ、まだまだ
彼を思ってしまっている。
全力片思いおばさん
オンナノコ♀の完成だ。