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紆余曲折の末に掴んだクローザ― 貪欲に自分を磨き秋の吉報に繋げる

VOL.18 投手 谷井 怜央 (やつい れお)背番号22・3年目(副キャプテン)

Profile
1998/4/21生れ 24歳 180㎝/82㎏ 右投/右打 東京都出身  創価高~創価大(中退)

 速球が武器のパイレーツ不動のクローザーだ。最速は昨年8月11日、オロナミンC球場での徳島IS戦で記録した154㌔で、坊っちゃんスタジアムでも150㌔超の快速球を披露する。ドラフト会議で今年こそ念願の指名が期待される1人であるのは間違いない。
 入団4年目を迎えたが、紆余曲折があった。1年目は故障から戦列を離れた。実質的なスタートとなった2年目、故障は完治していたが、慣れないアンダースローへのフォーム改造を求められた。「新フォームは正直余り納得できていませんでした」。それは当然結果に表れる。そこで彼は「3年目がラストと考えていたので、悔いを残さないようオーバースローに戻しました」。彼は3年目の開幕3戦目、先発に起用されたが崩れてしまい、前期はその1試合のみの登板に止まった。しかし、課題の制球が徐々に改善され、腕が振れるようになり、彼はリリーフで再生を図る。それが奏功した。昨年後期は15試合に登板し1.10の防御率を記録し、10月のドラフト会議で指名候補に浮上したのだった。

昨年3戦目の苦い経験が成長を促す

 彼は冷静に振り返る。「昨年は8・9月だけ投げたようなもの。結果は残せましたが、1年間通した成績ではなく、(ドラフト候補といっても)ぽっと出みたいなものでした。ただ、どれくらいのレベルになればNPBにいけるという目標は見えたと思います」。また、こうも言う。「昨年3戦目の先発でそれなりの結果を出していたら、自分で改善もせず150㌔以上の球を投げられるようにはなっていなかったと思います」。一時のフォーム改造も「(野球に対する)考え方としては決して無駄じゃなかったかなと思います」。紆余曲折し苦しんだ分、人としての成長に繋がったに違いない。

ひめぎんグラウンドで黙々と走り込む谷井選手

 彼はピッチング改善のための自助努力を重ねた。その中で最も成果が上がったのが「ショートアームという投げ方を取り入れたことです」と言う。これは投手のテイクバック時に腕を伸ばさず曲げたまま行うもので、「自分の投げる方の手を余り体から離さず小さく投げるやり方であり、自分の中で一番合っていると思います」。フォームを自分に適したオーバーに戻し、ショートアームを取り入れたことが昨年後期からの好転に繋がった。
 今季もクローザーとしてマウンドに上がる。5月14日終了時点、10登板(投球回数10回と3分の2)で5セーブ、奪三振9(奪三振率7.59)、被安打4、被本塁打0の防御率2.53。首位を堅守するパイレーツの守護神としての役割を果たしているが、「打たれたヒットは少ないものの与えた四球が5個と多く、そこから失点した試合もありました。完璧ではありません」と反省を忘れない。「まだまだ改善の余地はあります」と貪欲で、「今季は登板数を35~36、防御率1点台、2ケタの奪三振率に拘りたい」と口を真一文字。その先にあるのは「今季こそドラフト指名を」に他ならない。それは手が届くところにやってきている。


ひとくちメモ
趣味:ゴルフ
血液型O型
愛称:特になし
好きなタレント:重盛さと美
好きな食べ物・苦手な食べ物ともになし