Vol.25 山崎 雅史(やまさき まさし)
僕は頑張る、やるしかない!
外野手 背番号44 /2年目
母のために
昨年末、頭を丸めて坊主にした。その理由を尋ねると、数十秒押し黙った後、ゆっくりと言葉を絞り出した。「母が重い病気にかかったんです。ふだんは決して弱音を吐かない母が、これから受ける治療の影響で『私、髪の毛が抜けるかもしれない』と不安そうにつぶやきました。医者をしている兄からその病気について説明してもらいましたが、僕も衝撃は大きかった。ショックでした」。
昨年の公式戦終了後、南予のユズ畑で玉置隼翔選手とともに農作業に励みながら、夜は宇和島のトレーニングジムで汗をかいた。そんな自主トレ生活が終了した直後に届いた報せだった。4人きょうだいの末っ子で、誰よりも母から可愛がられ、誰よりも母思いの山崎選手。「なんで母が…」、彼の落胆は想像に難くない。しかし、「不安を押し殺しながら病気と闘い、これからも闘い続けていく母を思い、僕も一緒に闘っていこうと決めました。母は一人じゃない、僕も一緒に闘うんだという気持ちで、頭を丸めたんです」。
試合に出場し続ける
昨年、捕手として入団した山崎選手。しかし、捕手としての出場はなく、一塁手や指名打者、代打で起用されることが多かった。
故障で離脱も経験した。そこから「1年間通して試合に出られる身体作りの大切さを学びました。試合に出続けないと成功も失敗もないです」と取り組んだのが、農園作業と徹底したジムトレーニングだった。
素直な姿勢で
2年目の今、「捕手への未練はないです。コンディションは良好で、とにかく試合に出ることが先決です」と言い切る。
今季は開幕戦からスタメン出場と、好スタートを切った。だが、前期途中からスタメンから外れることが多くなり、守備固めや代走での出場が増えた。
「この世界は上手い選手が残っていく世界。仕方ないです。でも、ネガティブにはなっていません。今の自分を正面から受け止め、後期はもっともっと頑張る、もっともっとやらないと、と思っています」。
監督からは「バットのヘッドを入れ過ぎないように」と指導され、守備面のアドバイスもしてもらっている。「監督の仰っていることを自分のものにすることに力を入れています」と、貪欲で素直な姿勢を貫いている。
やるしかない!
「母には早く治って欲しい。母が僕のプレーを(YouTube等で)見ていても見ていなくても、自分は頑張るしかないです」と山崎選手。丸坊主の頭をかきながら「母の病気が治れば、以前のロン毛にします」と笑う。