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旧日記:11月25日

昨日今日とYが大阪から遊びに来る。
昼過ぎに喫茶店。和毛の真紅のソファ、から見上げればシャンデリアを備えた鏡の天井には口の開いた自分の顔、古い木目の西洋家具、小さなピアノ、アンスリウムの赤い肉、壁画の蘭が映る。そしてそれら一切を見守る隅の位置には厚いブラウン管が置かれて、その黙った画面を見ながら僕はある郷愁を感じ始めた。ひとつには幼い頃祖父を見舞う際に見かけたことのある、入院患者らの集まるリラクゼーションルームに置かれたテレビのことを。またひとつには、火葬を待つ間ロビーに出て、他人と並んで観るともなく視線を置いていたテレビのことを。

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