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明日5歳になるあなたへ

ちょうど5年前の今頃、わたしはスマホのアプリとにらめっこしていた。

ちょっとトイレ行きたいかも?
というような軽い痛みが、そういえば繰り返し来ては退いていることに気づいてアプリでカウントをとりつつ、まだ夫にも両親にも伝えられずにいた。
実家のリビングで、ブランケットにくるまりながらテレビを見ている風に過ごしていた。

口に出したら何かが変わるかもしれない。
そんな不安と、いよいよかもしれないという期待。

すでに予定日を大幅にすぎていて、このままだったら明日誘発剤ね、と言われたその日だった。

結局、日付が変わる頃に病院へ向かった。
あなたのお父さんは、わたしが緊張しているのを見てすごく丁寧に運転してくれたし、冗談を言って笑わせてくれたよ。

あなたがお腹からすぐに出るよ!とサインをくれるまで少し時間があったから、わたしはウトウトすることができた。
彼はぐっすり眠っていたよ。

いよいよ「もう出るからねー!」って教えてくれた頃、わたしは上手にいきめなくて不安いっぱいだった。こんなにいきむのが下手で、お母さん失格だ。
そう思った時、あなたのお父さんが「がんばってる!」って言ってくれた。
肯定してくれる言葉に自信をもらって、あなたに会いたいという気持ちも強くなって、強い力が出たんだよ。

退院の日は、寒くて寒くて、ばあばの家のあたりでは珍しく雪が降っていた。お母さんにならなきゃ、ってカチコチだった。

あれから5年。
嬉しいこともたくさんあったし、大変なこともたくさんあった。あなたを何度も叱ったし、産後うつにもなった。

「もう育てられない。わたしはお母さんにはなれない人間だった。離婚してあなたが育ててください」そんなことを、お父さんに言ったこともある。

どんなに辛くても、あなたがいなければよかったとは思わなかったけれど、わたしがダメなお母さんだからあなたが苦しんでしまう、と思っていた。
それに、もしかしたら何かの拍子に、取り返しのつかないことをしてしまうかもしれないって、自分を信用できなかった。
だから、わたしがあなたから離れることが必要だと思っていた。


でも、いま、5歳の誕生日を目前にワクワクウキウキしているあなたを、目を細めて見ているわたしがいる。心から、あなたのことを好きだと言える喜びを知っている。

イライラして泣いてばかりで、布団から出ることもできず、あなたと遊ぶこともできなかった。
そんなわたしをお父さんはずっと支えてくれていたよ。そして何より、あなたが「すきー」って言ってくれるのが、大きな支えだった。
2人のおかげで、いま、わたしは家族をとても愛することができています。


お誕生日おめでとう。
完璧なお母さんには程遠いけれど、誰よりも誰よりもあなたのことを大切に思っているよ。
あなたがわたしたち夫婦の間に生まれてきてくれたことに、感謝してもしきれません。本当に本当にありがとう。

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