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デンマークに存在する対人専門職「ペタゴー」シリーズ~日本でもできる?(文化の違いを中心に)」に参加して

オンラインで参加しました、ペタゴーシリーズ。シリーズとはいえ、今回初参加。NPO法人DAKKOの横張寿希さんがペタゴー大学で学んだことを生かし、現在運営している学童保育の中で感じたこと等を踏まえて、日本にペタゴーを入れることは可能か?というお話をしてくれました。

【参加した理由】

わたくし以前からデンマークに興味があり、ペタゴーという職種を知っておりました。もしこの職業の存在を知っていたなら、私はこれになりたかった…と思っていたので、参加しました。だって日本にはないんだもん。

【ペタゴーって何よ?】

ペタゴーとは幼稚園、学童保育、障碍者施設などで働く人のための国家資格。教育課程における教授学や指導方法を主に、支援対象者と彼らの環境を理解する力をつけるために心理学や人間学、さらに社会支援学を学び、プロとして人間と向き合うスキルを養う。

横並びの「周りと比較し脱落してしまうこども」を生まない、主体的で心が豊かな自立したこども」を育てるために存在する仕事。

私が以前訪問したデンマークの小学校では担任の先生+ペタゴーがいましたね。病院にもいるって聞きました。社会福祉士なんでしょうけど、それが学校にも入ってる。私はその、学校に入ってるペタゴーに憧れたわけです。

私たち日本人が受けてきた教育って、先生・親が社会のシステムやルールを教え、子供はそれに合わせて変化を求められるというもの。ペタゴギックなかかわり方は、大人がこどもに歩み寄って、よく話し、その行動傾向や内面をよく理解して、トレーニングやガイド、サポートをしていく。

そんな感じです。

【日本とデンマークの文化的違い】

デンマークには個人主義・民主主義が根付いているが、一方日本には戦後GHQが導入した民主主義であり、勝ち取った民主主義ではなく、降ってきた民主主義。デンマークのように絶対王政を経験し、自由の渇望から掴み取った民主主義ではないので、個人より集団を大切にする空気に左右されて決定することが多い。

そのため、「あなたはそのままのあなたでいいのだよ」というメッセージは受け取りにくい。それが自分軸で考えることができない要因であり、自己決定により今があるという実感がないため、自己肯定感が低いのではないかという横張さんのご意見に私も至極共感しました。

デンマークでは、自分の意見を言うことで、それが少数意見だったとしても、対話の中で尊重され、意見を言うことで事態が好転するという成長体験が積まれていく。そしてそれが自己肯定感を成長させていくことにつながる。一方、それを日本で行うと、個より集団を重んじるという日本の良さが失われてしまうのではないか?という懸念もある。

例として横張さんが挙げていたのは締め切りについて。日本人は締め切りに間に合わなかったら残業をすることをいとわない人が多いが、デンマークでは定時になったから帰る方が一般的。個人主義が強くなると、日本の「締め切りを守らないとほかの人に迷惑がかかる」という「きちんと仕事をする大切さ」みたいなものが失われるかもしれない。

ではデンマークの人は仕事に対して無責任なのかと言えば、「デンマークの人は自分の力では締め切りまでに終わらないと思ったら、素直にそのことについて報告して周りの人に助けてもらうだろう」という話も。そう、そういう素直にできない自分を伝える力をデンマークの人は持っていると思う。(本で学んだデンマークの知識ですけどね)

抱え込みすぎの日本人は「私にはこのままではできないので誰か助けてください」というメンタル、めっちゃ必要だと個人的に思ってるし、私も言いたい。「私にはちょっとできません」と。でも、言ったら「私だって頑張ってるんだから、あなたも頑張りなさいよ。ほら、みんなもできてるじゃない」と言われそう。(ここ。言われたことあるわけじゃないんだけど、そう言われそうという空気に支配されてる私)

【とはいえ日本に導入すべきなのは…】

自己肯定感を高める取り組み。横張さんの意見に私も賛成。今「心理的安全性」が高いチームの方が高い結果を残すとか言われてますよね。思ったことを素直に言える環境。「私、これできないから助けてほしい」とか「それ、ちょっと違うと思う」とか。立場関係なくフラットに言えたらいいよね。自己肯定感低めに育っても、大人になって、こんな環境で生活できたら、自己肯定感、身についていくんじゃないかしら?

【資本主義のひずみ】

日本は資源の少ない国であり、敗戦国でありながら、今でも世界第三位の経済大国。その経済を支える人材づくりのためにだいぶ失われたものも多かったのではないかという横張さんの指摘。そうかもしれない。個人より集団を優先させて経済的豊かさを求めてここまできた日本。でもインターネット、ロボティクス技術AIなどの発達により、今後は均質な人材より、突出した人材が求められていく。この時代の転換期の波にうまく乗って私たち大人が自己肯定感を高め、自己肯定感の高い子供たちを育てていけたらいいなぁ、と感じたのでした。

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