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世界のコーヒー在庫が12年ぶり低水準 国際価格は15年ぶり高値

米農務省(USDA)は2023年12月20日、2023~24年度末の世界全体のコーヒー在庫が前年度末比4%減の2652.9万袋(1袋=60キログラム)と、12年ぶりの低水準に落ち込むとの予測を公表しました。世界第2位の生産国であるベトナムの不作により供給が減少するとして、半年前の6月の予測(3183.6万袋)から17%も大幅に下方修正しました。需給が逼迫するとの懸念からコーヒーの国際価格は値上がりしており、中でもベトナムのシェアが大きいロブスタ種は15年ぶりの高値圏に上昇しています。

世界のコーヒー在庫の推移(USDAの資料より)

コーヒー年度はベトナムやコロンビアなど多くの国では10~9月ですが、最大生産国のブラジルは7~6月、インドネシアは4~3月と、分かれています。USDAによると、2023~24年度の世界全体のコーヒー生産量は前年度比4%増の1億7142.5万袋と、3年ぶりに増加する見通しですが、6月予測(1億7434万袋)から2%下方修正しました。ベトナムの予測を引き下げたのが主因です。
 
2023~24年度の世界全体のコーヒー消費量も1億6950万袋と、6月予測(1億70233.3万袋)からわずかに下方修正しましたが、前年度(1億6901.1万袋)を上回り、過去最高となる見込みです。欧米や中国などでコーヒー需要の増加が続く中、生産が伸び悩んでいることが在庫の減少につながっています。
 
2023~24年度のコーヒー生産予測を品種別にみると、アラビカ種が前年度比11%増の9731.5万袋(6月予測9632.5万袋)と上方修正され、ロブスタ種が3%減の7411万袋(同7801.5万袋)に下方修正されました。アラビカ種は2年連続の増加、ロブスタ種は2年連続の減少となります。日本の場合、アラビカ種は主に喫茶店で、ロブスタ種は缶コーヒーやインスタントコーヒーに使われているようです。
 
アラビカ種では、世界最大の生産国ブラジルが13%増の4490万袋(同4470万袋)と、大きな伸びが予測されています。高温や降雨不足といった異常気象の影響で2021~22年度に不作に見舞われましたが、回復してきました。
 
2位のコロンビアも7%増の1150万袋(同1160万袋)と、堅調な生産が見込まれています。しかし、肥料価格の値上がりを受け、農家が肥料の使用を減らしたため、単位面積当たりの収量は例年より15%近く減少するということです。物価上昇の影響がコーヒー生産にも表れています。
 
一方、ロブスタ種では、最大生産国のベトナムが6月予測の3023袋から2662万袋に12%も下方修正されましたが、前年度比では1%増と、2年ぶりのプラスが見込まれています。2位のブラジルは5%減の2140万袋(同2170万袋)に低迷し、3位のインドネシアは多雨の影響で20%減の840万袋(同840万袋)と大幅な減少が予想されています。
 
こうした状況から、コーヒーの先物価格は、特にロブスタ種が値上がりしています。インターコンチネンタル取引所(ICE)のロブスタ種3月物は12月29日、1トン=2842ドルで2023年の取引を終えました。この1年間で64%も値上がりし、2008年1月以来、15年以上ぶりの高値圏での取引が続いています。12月21日には2964ドルまで上昇しました。

ロブスタ種の先物価格の推移(ICEウェブサイトより)

一方、アラビカ種3月物は12月29日、1ポンド=188.2セントで2023年の取引を終えました。ロブスタ種ほどではありませんが、年間で14%値上がりしました。

アラビカ種の先物価格の推移(ICEウェブサイトより)

USDAの予測によると、2023~24年度の日本のコーヒー輸入量は680万袋となり、近年は低迷しているとはいえ、欧州連合(EU、4700万袋)と米国(2542.5万袋)に次いで世界3位の見通しです。コーヒーの国際価格の上昇により、日本国内の価格の値上げ圧力も一段と強まることになりそうです。

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