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2023年の世界食料価格は4年ぶり下落 価格高騰に歯止め

国連食糧農業機関(FAO)が1月5日発表した世界の食料価格指数(2014~16年=100)は前年比19.7ポイント下落の124.0となりました。前年を下回るのは、2019年以来4年ぶりです。新型コロナウイルスの拡大やロシアのウクライナ侵攻を機に、食料供給の混乱から食料価格は世界的に高騰しましたが、歯止めが掛かりました。ただ、歴史的にはなお高い水準が続いています。

指数を構成する5項目をみると、コメや小麦、トウモロコシといった穀物が23.8ポイント下落の130.9、大豆など植物油が61.5ポイント下落の126.3と、大きく下がりました。2020年春以降のコロナ禍や、2022年2月のウクライナ侵攻を受け、いずれも急騰していましたが、反落しました。
 
このほか、乳製品は輸入の減少で23.6ポイント下落の118.8、食肉は輸出の増加で4.2ポイント下落の114.6となりました。一方、砂糖は需給逼迫への懸念から30.6ポイント上昇の145.0と、唯一値上がりしました。
 
また、穀物のうちコメは前年比21%上昇しました。インドによる輸出規制と、エルニーニョの影響による生産減少への懸念により、値上がりしています。他の穀物や大豆といった主要作物は下落基調にあるのに対し、唯一違う値動きをしています。

物価変動の影響を除いた実質ベースでみると、2023年の世界食料価格指数は21.4ポイント下落の119.2と、5年ぶりに前年を下回りました。ただ、食料高騰が問題となった2008年(114.3)は上回っており、データが残る1961年以降では5番目の高水準となります。
 
一方、名目の世界食料価格指数を月ベースでみると、2023年12月は前月比1.8ポイント下落の118.5と、5カ月連続で前月を下回りました。ウクライナ侵攻直後の2022年3月に159.7と過去最高値を付けた後は下落基調が続いています。ただ、最近はG楽ペースが鈍化しており、価格が高止まりする傾向も出ています。
 

項目別では、穀物が1.8ポイント上昇の122.8と、3カ月ぶりに上昇しました。インドの輸出規制が続くコメのほか、小麦やトウモロコシも値上がりしたということです。小麦は、主要輸出国での物流の混乱や黒海周辺の緊張の高まりで供給懸念が高まったようです。トウモロコシは、主要生産国ブラジルでの作付け減少や、ウクライナからの輸出減少への懸念が強まりました。

乳製品も1.9ポイント上昇の116.1と、3カ月連続で値上がりしました。クリスマスシーズンを控えた西欧でチーズやバターの需要が高まったことなどが価格を押し上げました。
 
一方、植物油は1.7ポイント下落の122.4と、2カ月ぶりに値下がりしました。パーム油や大豆油、菜種油、ヒマワリ油の輸入減少が主因となりました。バイオディーゼルの需要も低迷したということです。
 
食肉は1.1ポイント下落の110.4と、6カ月連続で値下がりしました。アジアで豚肉や牛肉、鶏肉の需要が減少しました。砂糖は26.8ポイント下落の134.6と、ブラジルの生産増を受け、9カ月ぶりの低水準となりました。ただ、前年同月比では17.5ポイント上昇と、高い水準となっています。

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