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米国の有機製品売上高が過去最高をまた更新

米国のオーガニック(有機)取引協会(OTA)は5月14日、2023年の米国の有機製品の売上高は前年比3.4%増の697億ドル(1ドル=156円換算で約10.9兆円)となり、過去最高を更新したとの調査結果を発表しました。このうち食品が638億ドルと9割以上を占めています。食品の値上がりが続く中でも、健康や環境への意識の高まりを追い風に、割高な有機食品の需要拡大が続いています。

米国の有機製品の売上高の推移

 有機製品は、化学肥料や農薬、遺伝子組み換えを使わずに生産された食品や衣類です。スイスのFiBLなどの調査によると、米国は世界全体の有機食品売上高の4割以上を占めています。最大市場でもまだ売り上げが伸びているということは、他国でも需要拡大の余地はまだ大きいと言えるかもしれません。米国の有機製品の売上高は2013年以降で2倍以上に増えており、OTAは2028年には市場は800億ドルを超えると予測しています。
 
有機製品の売上高を品目別にみると、野菜や果物などの農産物が2.6%増の205億ドルとなり、全体の29.4%を占めました。2023年はアボカドやベリー、リンゴ、ニンジン、パッケージ・サラダ、バナナが良く売れたということです。野菜や果物では有機食品の販売シェアが15%以上を占めるようになりました。
 
次に多かったのがパンやベビーフードなどの食料品で4.1%増の154億ドル、その次が飲料品で3.9%増の94億ドルとなりました。有機のアルコール飲料も増えているということです。乳製品・卵は5.5%増の82億ドルとなり、有機食品の販売シェアが8%を超えました。
 
食品以外では、繊維はほぼ横ばいの24億ドルにとどまりました。需要が減少したのではなく、供給に問題が生じたためとOTAは分析しています。パーソナルケア製品は7%増の13億ドル、サプリメントは4%増の21億ドルと堅調でした。

米国の有機製品の販売シェア

OTAは調査結果について、「健康や持続可能性にますます多くの消費者が関心を高め、抗生物質やホルモン剤などを含まないクリーンな製品を望むようになったことで、有機製品の需要が高まっている」と分析しました。特にミレニアル世代やZ世代のような若者の間で有機への関心が高まっているということです。
 
OTAのトム・チャップマン共同最高経営責任者(CEO)は「有機が(食品などの)市場全体と同じペースで成長しているのは心強い。経済的な困難や価格上昇が続く中でも、消費者が有機を選択し続けていることを示している」とコメントしました。その上で、「有機市場は成熟しつつあるが、まだ成長の余地は大いにある」と期待を示しました。

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