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『青い瞳がきこえるうちは』 (第11回創元SF短編賞 最終候補作)

2020年は新人賞にチャレンジしてみよう!と思って1月14日締切の第11回創元SF短編賞に応募し、最終選考まで残していただきました。

応募した小説は、第6回星新一賞の最終候補になった『台上の郷夢』(このタイトルめっちゃ気に入ってたのに、けっこう「ダサい」って言われてショック……)を大幅に改稿・加筆したものです。

【あらすじ】
 先天的に全盲の卓球選手・白河優輝は、仮想空間上で脳信号から自身のアバターを操って参戦する、X競技の全日本選手権で優勝を果たした。
 そんな折、実の父親から連絡を受け、元チャンピオンであり三年間昏睡状態にある双子の兄・糸川創を眠りから目覚めさせるプロジェクトに参加する。創の脳は眠りの中にありながらも、今なお卓球を続けており、仮想空間上で最強の選手として立ちはだかっていた。
 優輝は創の脳から視覚を借り、生まれて初めて「視える」世界での卓球を知るが、創の強さは想像を遥かに超えており……。

※こちらの短編は2022年6月22日刊行の「新しい世界を生きるための14のSF」に収録されます。


【あとがき】
 登場人物の年齢、性別、国籍、そして身体的・社会的な特徴は、彼らを構成する重要な要素ではあります。しかしこの小説は、彼ら自身がもつ属性としての人生の正しさや、選択の合理性をテーマに描いたわけではありません。
 スポーツ漫画において主人公がすべての競技者の代表ではないように、この作品も、あくまで登場人物たち個人の生き方を描いています。

SFを書く上で社会的なハンデと向き合うことは自分の大きなテーマでもありました。現実の科学技術が、多様な生き方・多様な人生の選択肢を広げてくれることを切に願います。

配慮が足りなかった部分やリーダビリティの不足、構成のアンバランスさが実感としてあるので、次回までにレベルアップできるよう頑張ろうと思います。

応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。


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