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record of tokyo 4

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#フォトエッセイ

狭い世界の小さな四角

この景色をファインダーで見ながら、seaponyのgo with meというアルバムのジャケットみたいだなと思いながら撮っていた。 正方形はそのまま、レコードジャケットのように見えるから面白い。誰か新譜を出すときは、私の写真を使ってみませんか?という営業も挟みつつ。 seaponyはprove to meという曲が好きだ。その曲はFallingという別のアルバムだけど。参考資料は下記から。是非聞いてみてください。 昔、友人が「写真ってあんまり好きじゃない、小さい四角だか

豊かな暮らし

3〜4枚の紙が重なって半分に折られただけの地域の広報誌には、沢山の出来事や情報が並んでいる。小・中学生の柔道や剣道の試合結果(誰の名前も知らない)、お祭りのレポート(誰の顔も見覚えがない)、区立公園に咲いた見頃の花の情報、無料法律相談に、リフレッシュストレッチなど。 私のバイブルの一つとも言える雑誌、『暮らしの手帖』では、「地域の広報誌、特に年末年始に届いたものは取っておきましょう。緊急時に開いている近隣の病院などがすぐにわかります。」というようなことが書いてあって、なるほ

時代の幕開け

夏の終わり、平成最後の夏、20代最後の夏に三浦海岸へと行く予定だったが結局行けなかった。 8月はとても暇だった。お盆ということもあってか、世間がシーンとしていて、私だけ置いてけぼりにされているかもしれない、なんて思ったり。そんな風に考える時間があるのだから、三浦海岸に行く時間もあったのに、いつの間にか夏は終わっていた。 三浦海岸に行く時間はなかったのに、初めて降りた駅で、自分の足で景色を見つけ、そして後日ここで撮影をした。 本当は初めから少し、三浦海岸に行くのが面倒だっ

受け取る日

先日、特別な買い物をした。写真である。私も大人になったもんだ。 その写真は、夏頃から見に行きたかった写真展で飾られていたもの。猛暑日に息を切らし汗を垂らしながら訪れたときは、夏季休業中で入れず、ドアの前で立ち尽くした。なんという人生。それからすっかり忘れていたが、秋になってふと思い出し、会期終了30分前に滑り込んだ。私らしい。 綺麗なモノクロのプリントは、写真の中にある風の匂いも感じるほど、多くの情報を持っていた。湿度も分かる。そしてその中にあった、2枚の写真をとても気に

ある街の夜の風景の記録

この街のちょっとした商店街は、バーや食堂が軒を連ねる。そして、とびとびに美容室や○○商事が並ぶので、20時現在のこの商店街は、シャッター、店の灯り、シャッター、店の灯り…といった繰り返しが無限に続く。 平日の夜に一人でイタリアンレストラン。賑わう店内、カウンターの席に着く、女ひとり。アルコールは避けた。愛想のいい夫婦が好きで最近よく通っている。 最近の趣味は、家族とのLINE。注文してから社会情勢について、赤の他人には言えないドスの効いた辛辣な会話を楽しむ。インターネット

贅沢な東京

written by: mao nakazawa 2017年の3月から、私はnoteで「record of tokyo」と銘打ってブログを書いている。東京生まれ東京育ち東京在住の私が、東京の写真を撮り東京を記録するというコンセプトで書き綴っている。 さて今日はどこへ行こうかしら、そう言えば東京駅ってあまり降りたことがない。そうだ、東京へ行こう。東京駅はまだだったか、これぞまさに灯台下暗し。 その日、私は誰とも会う約束をしていないのに、下ろしたてのワンピースで東京駅に舞い

夜の隙間

仕事は思ったより進まず、予定よりも遅くまでかかってしまった。自分の手際の悪さにイライラ。 職場から真っ直ぐに家に帰る気分じゃなかった。この日私は、どうにもこうにも虫の居所が悪くて、一人は嫌なんだけど、あんまり喋りたい気分じゃなくて、でもまだ家に帰りたくない、そうしてフラフラここに来るのだった。ご機嫌ナナメでアイスドリップを飲む。友人から来たlineも素っ気なく返してしまった。ごめんなさい。カウンターに座って、いつも何のためにもならない話をベラベラとご機嫌に喋っているのだけれ