ダウン症マオリの発達ストーリー第二話。(小児カイロを経て、セラピストに出会うまで。)

*これは一般法人Maorisができあがるきっかけになった一人のダウン症の少女と、アメリカ帰りの療育セラピストとの発達促進ストーリー第二話です。

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2015年夏。2歳目前のマオリ。

ダウン症の娘マオリは、2歳を目前にどうにか連続して10歩程度なら歩けるようになっていました。それまで娘が行ってきたことは、生後3か月からはじめていた小児カイロプラクティックの施術と、地域の療育センターでの理学療法(月3回)でした。

ダウン症の娘が歩けるようになるまでにしたこと。小児カイロプラクティックとの出会い。

日本ではカイロプラクティック(以下カイロ)に法的な資格制度が存在しないため、まだ民間療法としての位置づけにあります。このため「何に効果があるのか」という問いに明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。私もその一人でした。


しかし、まだ生まれたばかりの娘に何ができるのかと調べていたときにたどりついたのがこのカイロだったのです。カイロの目的は「神経のはたらきを最適化すること」とあり、知的障害の娘を持つ母親にとってこの言葉は非常に魅力的でした。


上述の通り、日本ではカイロは法制化されていませんが、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの国々では代替医療として認識されており、施術をする者は専門知識を習得するために修士号、博士号を取得する必要があることがわかりました。さらに、大人と子供の身体は異なり、赤ちゃんを含む子どもたちには「小児カイロプラクティック」という専門分野が存在しているとのことでした。


私が本当についていたなと思うのが、当時住んでいた静岡市内の自宅から車で10分程度のところに、イギリスの大学院で小児カイロプラクティック修士課程を修了された先生がいらっしゃったということです。現在は東京駒場でも開業されている臼田純子先生です(ご本人に承諾を得てご紹介しています)。
娘は決して発育状態に恵まれた赤ちゃんではありませんでした。しかし「子どもは大人のミニチュアではない」という格言があるように、小児カイロといった専門知識のある先生に娘の「神経の最適化」をしていただき、先生の指導による自宅での筋トレ、そして療育センターでの理学療法といったすべての積み重ねがあったおかげで、2歳目前にどうにか歩けるようになりました

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療育セラピストとの出会い。

しかし、歩けるようになるということは、療育センターの卒業を意味し(娘が住んでいた地域では)、そしてその頃、小児カイロの臼田先生との別れも決まっていました。
(実は娘が生後半年のときに、静岡市から横浜市へ引越しをしたのですが、臼田先生も同じタイミングで横浜市内のカイロ治療院に出張診察を開始されることになり、ずっと娘をみてくださったいたのです。ところが、その後、都内に異動が決まり、距離的な問題で通えなくなってしまったのです。)

私はこの先一人で娘をどのように育てればよいのか見当がつかず、ただ不安でいっぱいでした。療育教室を探しても見つからない。見つかったとしても予約待ち。
そのような時に長年アメリカで療育セラピストをしてきた女性が我が家のすぐそばに住んでいることがわかりました。しかも知人が仲介までしてくれることになったのです。これが、娘とセラピストとのご縁のはじまりでした。

アセスメントの様子と今後の目標

【はじめてのアセスメント】
2015年7月末。アセスメントのために夫婦で娘を連れて教室に(両親への質疑応答や娘が実際に遊ぶ様子を通し、娘の状態を把握して今後の個別計画をたてるため)。
アメリカ帰りだと聞いていたので、はっきりとした意思を持ち、会話に無駄がなくて…と想像して緊張していましたが、実際の先生はとても穏やかで安心したことを覚えています。

【満1歳10か月のマオリ】
●言葉や物事に対する理解面:「うん(YES)」と「ううん(NO)」。「お片付け」という言葉は理解。自分ができたときには拍手をする。
●食事面:柔らかいものを食べる。食べ物をさしたフォークを渡してあげると自分で食べる。
●身体面:10歩程度連続しての歩くと転ぶ。

【先生の見立て】
●足裏過敏あり
●口の筋肉の弱さ
●白目が多く、黒目が上のほうにある
視野が前方に偏りやすく、下方があまり見えていないため、娘が転びやすい要因の一つになっている。)
●利き手(左手優位)
赤ちゃんの時は両手を使うことで両方の脳を活性化する目的があるので、今後あえて両手を使わせていく必要がある。)
●全体的に低緊張だが、過緊張(固い)部分がある
首の僧帽筋あたりの血流が悪い。つまり過緊張。肩辺りの筋肉は「聞く」に関係していて、ダウン症児が苦手だと言われている「言語発達」に必要な機能。要改善。)

【今後の目標】セッションは週に1回。翌週から開始。
●遊びのバリエーションを増やし、より長く遊べるようにする
●遊びを通して物の名前や機能を学ぶ
●安定した歩行、安定した身体をつくる
●言葉の表出(名刺+動詞)を向上させる
(ダウン症の子供は基本的に右脳優位につき、最初は歌や音楽に親しみながら右脳へアプローチをしていく。右脳は音楽など芸術の領域なので。それから左脳へアプローチをして言葉の表出につなげていく。左脳は言語の領域なので。)

親の決意。   

療育教室に行ったのに、足、手、目、肩と、出てくるのは身体のことばかりで、私たちは、娘が言葉を話し、文字を読み書きし、数の計算ができるようになってほしいのにと、正直戸惑いました(苦笑)。でも、障がい児には選択肢がないという現実、そして療育先進国であるアメリカで経験を積んだというこれ以上ないご縁を大事にしていきたいという気持ち。このご縁を信じて、先生についていこうと決めました。すべては娘のため。そして家族みんなの幸せのために。

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*Maoris組織の詳細やメンバーについてはHPをご覧ください。https://maoris.jp/

*Maorisは発達に遅れのあるお子様をお持ちの保護者の方々向けに、オンラインで発達促進を学ぶサークル活動を行っています。一緒に時を過ごすメンバー募集中です!


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