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#38 プロセス編 ジュエリーブランド3年目の振り返り そのIII 誕生プロセス

[ ファーストコレクション誕生プロセス ]


建築×ジュエリー

8年程前に習っていた彫金。
彫金とは、リングやネックレスなどの金属を加工する技術のこと。

当時、教室を2年程通い、基礎的な手順をマスターしたあたりで工具を揃え、その後は時間があれば家で練習していた。

金属の板や棒を糸鋸でガリガリゴリゴリ切り落としてはヤスリがけをし、ハンマーで叩いたり伸ばしたり、その作業を繰り返しながら、微調整し、ようやく一つのパーツが完成す。
これが地金(真鍮やシルバー等の金属)から加工する基本的なプロセスである。

ジュエリーと言えば、掌に収まるサイズではあるが、彫金は、非常に繊細な作業で、集中力がいるし、どの作業も、意外と力が必要なので労力と忍耐力も必要。

また、”ワックス”という蝋に似た素材を彫刻のように削り、造形していく方法はまだ容易だが、金属にするには鋳造(それを原型に、ゴム型を作成後、金属を流し入れ、形成すること)を挟まないといけず、外注する為、どうしても金属パーツ完成まで数週間の時間を要する。

今回、試作品を制作しようと試みたものの、個展をするにあたり、一ブランドとしてのラインナップ(目標50点)を揃えるには、時間がかかりすぎる思った。

そこで、糸鋸を使わずとも、(金属用の)ハサミで容易にカットできる0.8mmの厚さの真鍮板から、建築模型の如く、切って貼ってで作る方法により、試作していくことにした。

デザインノートに描き溜めた構想から、ハサミでパーツを1枚1枚切り抜き、接着剤で組み立てていく。
繋がる部分は折り返して立体感を出したり、曲線は曲げてブリッジを作ってみたり、建築のプロセスの如く、平面から立体を作っていった。

出来上がった建築模型ならぬジュエリー模型は、デザインがイメージ通りか、サイズ感、どこに石留を施すか、ブラッシュアップするポイントはどこか等を、主に確認するためのサンプルである。

そんな過程を繰り返し、沢山仕上がったサンプルから、現行作品の「船」シリーズが誕生したのであった。



文字×ジュエリー

次にアルファベットシリーズ。

自身が初めて”ジュエリー”を購入したのは20歳の時だった。

”大人”になった記念に、お祝い金を記念品に変えたくて、一生身に着けられるジュエリーを選んだ。

その際の選んだのが、当時から人気が高かったスキンジュエリーの代表格AHKHAのイニシャルネックレスだった。

購入以来、本当に毎日、寝るとき以外はずっと身に着けていた。

どこへ行くにも、季節を問わず、365日、正に”お守り”だった。

そんなお守りジュエリーを、MaoBissLupinとして展開したかった。

テーマは、地中海マルタ島の世界観にインスパイアされた「モチーフ×アルファベット」。

デザインノートでモチーフの構想を描き出し、その中からジュエリーとして身に纏いやすいものを選定し、ブラッシュアップをした。

そして、イラストレーターへ落し込みをし、後にそのままジュエリー制作の原型データとして変換できる”Shapr(シェイパー)”で3Dデータを作成した。



船×ジュエリー

5年程前に地中海に浮かぶ島国マルタ共和国へ旅行した。

透き通る海に浮かぶ、
カラフルな木製の小型船がとても印象的で、
それをジュエリーモチーフにしたいと直感的に感じた。

その小型船は”ルッツ“と呼ばれ、船体のカラフルな色にはそれぞれ意味があるそう。

緑/安全、安息
青/平和、男らしさ
赤/情熱、生命
黄/幸福、希望


基本的には上記の色の構成で、
同じ青でも、水色や濃いブルーといったように、
造る人によってその人の想いがそれぞれに込められている。

そんな意味の込められた”ルッツ“は、
身につける方の様々な想いに寄り添う”お守りジュエリー“にしたい。

そんな想いから、ルッツをジュエリーモチーフに選定した。

船は”門出“や、”人生を自由に創造する“といった未来を、無限に想像できる。

モチーフを抽象化させて落し込むことでアートジュエリーとしての魅力をよ伝えることもできるし、MaoBissLupinとして横展開も今後していきたい。

○○×ジュエリーは、自身の過去、現在、未来により見えるものでどのように変化させていけるか。

そんな”変化”を楽しみながら、これからもモノ創りを楽しんでいきたいと思う。

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