【「歌おうNIPPON」プロジェクト】合唱女子が東日本大震災の記憶が詰まった曲たちを歌って感じたこと
こんにちは、富山県で合唱をしているまお(@_mao_s_32_)です。現在はコロナ禍による活動停止中のため、普段は会社員の傍らSHElikesで勉強中です。
今年の3月11日で東日本大震災から10年になります。そこで今回は、東日本大震災の被災者へのエールを込めて作られた「歌おうNIPPON」プロジェクトの曲について書きたいと思います。
私自身、震災当時は東京の高校の合唱部で部活動をしていました。8階建ての建物の7階にいたため、震源地から遠いにも関わらず大きな揺れを感じました。その後交通網がマヒして帰れなくなり、学校に泊まるという体験をしています。そのため、どうしても震災と合唱を結びつけてしまうことがあります。
※東北などにいて震災で大きな被害に遭われ、私の比ではない大変な思いをした方が大勢いらっしゃるのは承知の上ですが、ひとりの合唱好きとして合唱曲に感じたことを書かせてください。
10年経過という節目である2021年に、所属合唱団のコンサートでこれらの曲を歌う予定があるためこの機会に復習してみたいと思います。(予定はあれど、順調に開催できるかは微妙ですが…)
「歌おうNIPPON」プロジェクトとは
そもそも「歌おうNIPPON」プロジェクトとはなにかと言うところから説明をしたいと思います。
「歌おうNIPPON」プロジェクトとは、東日本大震災の被災者の方々にエールを届けるためにスタートした企画です。詳細説明は下記の通りです。
日本中の合唱愛好家の皆様と作曲家の皆様の協力を得て、歌声を被災地に届けよう、というのがこのプロジェクトの骨子でした。被災者の為に書かれた新しい作品を無料で配信をし、日本中で歌って頂く、そしてできるだけ沢山の歌声を、ネットを通じて被災された方々に送る、ということを目的とし実行致しました。(引用元:「歌おうNIPPON」プロジェクト(カワイ出版))
当時は楽譜を無料ダウンロードでき、被災地でない地方を含めたくさんの団体が歌声を披露しました。私の所属合唱団もその中の1曲を当時コンサートで歌ったそうです。(当時は私自身は入団どころかまだ富山にいませんでしたが…)
私自身が歌ったことがあるのは数曲だけですが、上記のリンクで数十曲もあることが分かり驚きました。これから、コンサートで歌う予定の曲についていくつか説明します。
つながり(作詞、作曲:佐藤賢太郎)
この曲は、福島県の高校生が東日本大震災やふくしま総文(福島県で開催された全国高校総合文化祭)に対する思いをつづったアンケートを基にした音楽劇「福島県からのメッセージ」からの一曲です。
音楽劇を制作するにあたり、佐藤賢太郎氏が高校生のアンケートを読む中で強く感じたものの一つが、彼らが感じている「人の温かさと冷たさ」でした。
手を差し伸べてくれた人々に対する感謝や自分たちの故郷に関するデマ・嘘・風評に対する苛立ち。「私たちをしっかり見てください、感じてください」という思いを合唱曲としてまとめたものだそうです。
以下のリンク及び『つながり』の楽譜の1ページ目に下記のメッセージがあります。お手隙の際にお読みいただければ幸いです。
-メッセージ -
本楽曲は、2011年8月に福島県で開催される第35回高等学校総合文化祭(ふくしま総文)の総合開会式で発表される、福島県の高校生が東日本大震災やふくしま総文に対する思いをつづったアンケートを基にした音楽劇「福島県からのメッセージ」からの一曲です。
音楽劇を制作するにあたり、私がアンケートを読む中で強く感じたものの一つが、高校生が感じている「人の温かさと冷たさ」でした。自分たちに手を差し伸べてくれた人々の温かさに対する感謝、そして自分たちのふるさとに関するデマ・嘘・風評に対する苛立ち。「私たちをしっかり見てください、感じてください」という思いが強く伝わってきました。本楽曲「つながり」は、そのような思いを合唱曲として私なりにまとめたものです。
このメッセージや楽曲に目を通してくださっている皆様は、被災地から遠く離れているかもしれません。ですが、この楽曲を通して、被災者の思い、そして彼らと彼らとの音楽の「つながり」を感じていただけることを願いながら、以下にこの楽曲の基となった福島の高校生からのメッセージを掲載する次第です。
「つながり」によせて
第35回全国高等学校総合文化祭「ふくしま総文」は、47年に一度巡ってきた高校文化部最大の祭典です。福島県内の高校生たちが力を合わせて準備を進めてきました。
あの3・11東日本大震災は、ほんとうに恐ろしい被害をもたらしましたが、私たちの心までバラバラにすることはできませんでした。
全国からの応援メッセージを胸に、私たちは、復興に向けた第一歩を力強く踏み出しています。総合開会式で演奏されるこの曲には、福島の高校生の絆と希望、そして青春が詰まっています。この曲をお聴きになり、また、奏でてくださるすべての方々の心に、希望と勇気が届けられますように。
学校法人松韻学園福島高等学校2年 東海林 藍
(ふくしま総文総合開会式生徒委員会委員長)
この曲は以前に合唱のコンサートで歌ったことがあり、他の曲よりも思い入れがあります。また、私自身にとってはソプラノを担当してから初めて人前で歌った曲でもあります。
優しいメロディで「風評被害にあった辛さ」を経験したことや(その様な重いをした人に)「差し伸べられた手の温かさ」「寄り添う心の優しさ」が語られた後で「この心のつながりを感じてください」と歌うとき、感情移入して泣けてくることがあります。また、サビの高音域を歌う時に感情が乗りやすい曲であるとも思っています。
前へ(作詞、作曲:佐藤賢太郎)
震災直後は、被災地では時が止まってしまったことと思います。原発のこともあり行動が物理的に難しかったのもありますよね。遠く離れた地に住む私も映像を見て呆然としていたので、被災地の方々は尚更だったと思います。
佐藤賢太郎氏は、彼らの心がまた動きはじめるように、という願いをこめてこの合唱曲「前へ」を作ったそうです。
以下のリンク及び『前へ』の楽譜の1ページ目に下記のメッセージがあります。お手隙の際にお読みいただければ幸いです。
- メッセージ-
人生の中で、立ち止まらざるをえない時があります。流れる時間や音楽から取り残され、自分の心までも止まってしまったかのように感じる時があります。
そんな心がまた動きはじめるように、という願いをこめて、この合唱曲「前へ」をつくりました。「過去を見つめ、今を感じ、そしてもう一度未来に向かう」ということ。そうやって、また人生という道を歩んでいく皆様の心に響く音楽であることを祈ります。
この曲は、次のコンサートで歌う予定のもので、昨年の秋頃に初めてちゃんと聴きました。前述の「つながり」と同じ方の作詞作曲ですが、この曲に出てきている「あなた」は震災でお別れしてしまった方なのでしょうか。亡くなった方かもしれないし、遠く離れた地に行ってしまった方かもしれませんが、歌詞を見ると一緒に歌を歌っていた間柄(同じ合唱部の人や同級生)なのだと思います。
音楽が蘇るように、おそらくもう会えなくなった「あなた」のことを何度でも思い出そうという思いに至るまでの葛藤は私には知りえないのですが、最後の「毎日の喜びと悲しみを抱きしめながら 一歩一歩 前へ」という歌詞にあるように前を向いて進んでいく芯の強さを歌詞から感じ取れます。この歌に限らず彼らの強さを感じることは度々ありましたが、このような強さを持つきっかけを思うと胸が詰まることがあります。
ほらね、(作詞:伊東恵司、作曲:松下耕)
「合唱に普段接していない子どもたちでも歌うことで人と人がつながっていけることを実感して欲しい」とのことで、クラス合唱向けに作られたようです。
以下のリンクに下記のメッセージがあります。お手隙の際にお読みいただければ幸いです。
2011年「歌おうNIPPONプロジェクト」のために書き下ろされた作品。
歌で日本をつなげよう!というコンセプトの下、どの学校や団体でも歌えるように、合唱の音域は広くなく、ピアノも容易に弾けるように書かれている。アンコールや愛唱歌に最適の楽曲。
この曲は、コロナ禍以前のコンサートの最後の全体合唱で歌ったことのある曲です。上記の説明にある通り、最後の〆にピッタリな曲だと思いますし、合唱のイベントで度々耳にする曲でもあります。明るくて歌の力を感じることの出来る曲です。
最後に
本日で東日本大震災からちょうど10年になります。被災者の方々はもちろん、その他の人々の生活や心の中にも影響を与えた出来事だと思います。私自身の震災当時のことも人生で有数の衝撃的な体験でした。
一応は一区切りですが、避難生活の方々もまだ沢山いたり、家族などを亡くした方にとっては特に終わりのない旅の一部分なのではと感じております。
そんな中で出来た曲からパワーを感じていただければ幸いです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?