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【まほやく2周年イベスト考察】ネロとブラッドリーの「見ること」(ネタバレ)

「魔法使いの約束」2周年おめでとうございます。
前回に引き続き、2周年イベストの考察を散らかしつつ、お祝いをしていきたいと思う。


今回ははじめて、ネロとブラッドリーについて考察する。なぜ急に…と思われるかもしれないが、このたび初めてネロSSRをお迎えしたからである(ひどい動機)。
なかなか沼が深い組み合わせだと聞いているので、勉強不足感が否めないと思うが、ご容赦いただきたい。

いつも通り、大変なネタバレをする予定であり、妄想も多く含まれる。カードストーリーは全く読んでおらず、ゲーム以外の媒体の情報はほとんどチェックしていない上での、二次創作だと思っていただきたい

また、記事中の画像は全てゲーム内からの引用である。

【2周年イベスト前回の記事は↓】


1.正反対のふたり―元相棒


ネロとブラッドリーについて考えるには、まずは2人の過去から確認しなければならない。詳しい賢者のかたにとっては今さらの確認となるため、読み飛ばしていただきたい。

メインストーリー1部、エチュード、それぞれの親愛ストーリーが手がかりになる。

力が弱く、北の国に居場所がないと感じていたネロは、弱いものを組織して盗賊団を率いているブラッドリーの「短期な馬鹿では無いところに感激」して、その一員となる。少年期に組織に加入したことが、エチュードの指輪エピソードからもわかる。
(「新入りの小せぇの」呼ばれ、セリフに漢字が少なめ)

当時のネロについて、盗賊団の頭領たるブラッドリーは以下のように評価している。
「たいして強かねえが、落ち着きがあり、使える奴」
「欲がねぇから熱くなんねぇし、がっつかない」

ブラッドリーとは正反対だから、つり合いが取れていたというのである。

対象がネロであることを伏せた上での賛辞だが、かなり評価していることがわかる。


二人が袂を分かつことになった出来事にも触れておこう

双子とフィガロがお膳だてをした「善良な魔法使いの宣伝」にまんまと使われる形で、王族から王族への贈り物に手を出したために、お縄となったらしい。捕まった際、ブラッドリーはネロと待ち合わせをしていたようだ。ところがネロが現れず、ひとり捕まることとなった。

このことについてブラッドリーは「愛想尽かされたってんならきつい話だよな」と言っている。

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また、ネロは賢者に対して「俺を信頼しないでくれ、たぶん裏切っちまう」と発言している。それはおそらく、ブラッドリーとの待ち合わせに遅れた(行かなかった?)ことを指しているものと思われる。

先に言ってしまうと、ネロは愛想を尽かしてはおらず、結果的に裏切りのような形になっているものの、決してそんなつもりではなかった…と私は考えている。いや、正確には2周年イベストの断片からそう感じた。

それをこれ以降に、ちまちまと拾い集めて説明していきたい。


2.ネロが「見たくないこと」


なぜネロがブラッドリーのもとを去ったのかということを考えたい。
一言でいえば、「もう見たくないから」ということになろう。

何を見たくないのだろうか。
これは2周年イベストでかなり明らかになった。

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「もううんざりだ…死にかけたてめぇの面を見て、その度に死にそうな思いすんのも…」

そして、ブラッドリーが命がけの行動にであるのは、「ネロに盗賊団を継がせればいいと考えているから」だと結論付ける。しかしネロはそれを「ずるい」と拒否する。
「だったら消えたほうがマシだ、死んでほしくねぇって何度も…」…と。

ごくごく簡単に整理すると、ネロが忌避しているのは、ブラッドリーの存在が消失すること、である。そうなる可能性がある場面を見るのは、死ぬほどつらいのだ。

ブラッドリー本人が消えたあとに、彼が残したものを引き継いで生きるのも、苦痛でしかない。だったら自分が消えたいという。

なるほど、今回のイベントストーリーのテーマである、「継承」を全否定だ。

ネロがこういう態度だったためか、ブラッドリーはその「継承」を「午睡の夢」だと言っている。暗に、ネロへの継承を夢見たが、実現しなかったことを言っているのだろう。

「元相棒」と呼称される二人の関係性だが、そんなに簡単なものではなさそうだ。もう少し、彼らの過去を探ってみよう。


3.生きたいか、生きて欲しいか


2周年イベストから少しはなれ、盗賊のエチュードのイベントストーリーを見直しておきたい。そうだ、ブラッドリーの「指輪」の話である。

ネロが市場で見かけて買おうか迷っている間に、ブラッドリーが謝礼として受け取った「指輪」。その来歴が重要だ。

ネロが盗賊団に入って間もなくのころ、彼が自ら手に入れたのが、その指輪だったようだ。それをネロは「幸運の指輪」として、ブラッドリーに差し出す。「どうか、生きて帰ってください」と添えて。

ブラッドリーは「施しはうけない」としながらも、ネロの欲を問う。

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「死にたくないと言え、さもなきゃ、死んで欲しくないと言え」

ネロが選んだのは後者。もちろん死んで欲しくない相手はブラッドリーだろう。だからこそ、ブラッドリーはその指輪を受け取ったのだと思う。
「施し」ではなく、ネロの「欲の表象」だったから。それがブラッドリーの指にある限り、ネロは盗賊団で生き続けると思ったに違いない。

それは、いうなれば「約束」ではないか。

自分の欲のままに生きられないネロを生かすための、「死なない」というブラッドリーの「約束」ではないのか。

それを幾度も破りかけたから、ネロはブラッドリーを「見ること」がつらくなり、そばを離れたのだと思うのである。

そしてブラッドリーは、イベスト終盤でその指輪を取り戻した

これはかなり重大な意味を持っていると、私は考えたい。指輪を取り戻した上での、2周年イベストとして、これ以降考察していく。


4.ブラッドリーの「食べること」


話を2周年イベストに戻そう。今回に限ったことではないが、ブラッドリーと言えば「食べること」である。(酒もだが)

そして、盗賊団の時代から、彼のご飯を作っていたのは、ネロである。

イベストの中の「食べること」にこだわってみたい。
とにかくミートパイだ。

魔法舎での会議の前後に、「あれは美味かったぜ」とブラッドリーが回想している。そしてネロが島でミートパイを作り、ブラッドリーは「昔の方がおいしかった」と指摘している。

ネロは「同じ時間は二度と戻らない」と言い、その場は終わってしまう。

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これだけ見ると、二人の関係性は破綻してしまったように思うが、終盤のストーリを読んでみると、そうではないことに気が付く。


オズと戦ってぼろぼろになったブラッドリーは傷の治療もそこそこに、ネロの料理が並ぶテーブルに着席し、食事を再開するのである。

食べているのはたぶん、ミートパイだ。盗賊団時代にも、きっとぼろぼろになって食べていた、ミートパイだ。

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しかし、そのブラッドリーの姿はネロの目には映らない

あえて見ないようにしているとも考えられる。だってネロは、「ブラッドリーが死にそうなところを見たくない」から彼の許を去ったのだ。ネロにとっては「見たくない過去の再現」なのだ。

ここで考えたいことがある。「食べること」とはなんだろうか

永遠に近い命を持つ魔法使いであることは少し脇に置いておくとして、生物にとって「食べること」とは、命をつなぐこと、「生きること」である。

ブラッドリーは盗賊団時代から、どんなに傷ついて帰ってこようとも、ネロのもとで、ネロが作ったご飯を食べたように思う。むしろそれを最優先にしていたのではないか。

なぜなら、ネロと「死なない約束」をしていたからである。

ご飯を食べなくても死なないかもしれない。

でも、ネロに「死なない、大丈夫だ」と伝えるには、いつもと同じように、いやそれ以上に、豪快にご飯を食べる様子を見せる…それが一番わかりやすいではないか。

ボロボロな姿を見せながらも、「生きている証」である捕食の様子をみせる。

これはブラッドリーなりの、ネロとの「約束」を守るための努力だったのではないだろうか。
残念ながら、ネロにそれをくみ取る余裕はなかったわけだが…

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「ネロが何なのかわからない」「ネロを求められた理、無視されたりすると心がちぎれそうになる」
…そんなネロのことを理解していたからこそ、ネロが「作り出したもの」である食事を欲し、それによって「生きている」ことを体現していたのではないだろうか。
ネロがそんなブラッドリーを「見ること」で、「死にたくない」と思えるように。

そして、「約束」の指輪を取り返した今、ブラッドリーはその「食べること」を再開している。今回もちゃんとやった。

「約束」は有効だ。

関係を伏せながら、慎重にネロとの距離をはかりながら、ブラッドリーは「約束」を守っているということが、2周年イベストからは読み取れたように思う。


5.「見ること」のすれ違い―共に生きるということ


さて、こう考えてくると、二人の関係性がこじれる原因となっているのは、「見ること」のすれ違いであるように思う。

東エチュードでもネロが言っているが、

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ネロにとってブラッドリーの食事は
「これが最後の晩餐みたいな食事」
のように見えていた。

前述したように、ブラッドリーにとっては
「生きている証としての食事」
であったと思うのである。

「見ること」がすれ違っている。

「いつまでも一緒にいたいから」食事をするブラッドリーを見て、
「もう一緒にいられないと気が付く」ネロ。

どうしてもこのすれ違いを解消する必要がある。
根本は同じなのだ。二人とも一緒に生きたいのだ。


ブラッドリーが「継承」ではなく「共生」を求めていたことが、2周年イベストの回想からもわかる。

「こっちだっててめぇを自由にする気はねぇよ」
「ここにいてくれよ、次こそ、言うこと聞いてやるからさ…」

セリフだけなので表情は見えないが、かなり切実な感じがする。
他の部下には「石にしてやる」なんていいながら、そんなことは到底考えていないようだ。

ネロにとって、ブラッドリーの存在そのものが、彼が地上で暮らす上での座標になっていたのは間違いない。ブラッドリーが生きる場所が、ネロの居場所になっていたことは、容易にわかる。だから彼の死を恐れたのだ。

そのネロの在り方は、ブラッドリーにも影響を与えていたのではないか。

言うなれば、ネロは「ブラッドリーが死ねない楔」だということになる。ネロを「見ること」で、ブラッドリーは「生きなければ」…あるいは「生きている」と実感したのではないか。
(もちろん、彼の食事の影響もあるだろうが)

それは、長い時間を生きる魔法使いにとって、「今、確実に、生きている」という稀有な感情を実感させてくれるものだったに違いない。

「生の実感」―それは、ブラッドリーにとって、ネロと共にいるからこそ得られるものだったのだ。それゆえに、彼を手放したくなかったのである。

そうなると、ネロが待ち合わせに来なかったことが、ブラッドリーにとってかなりの痛手だっただろうな、ということは想像しやすい。

しかしこれについても、もうひとひねりして考える必要があるように思うのだ。

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ネロが「わざと」待ち合わせに遅れ、ブラッドリーが捕縛されるように仕向けたと考えよう。
なぜそんなことをしたのか?
仲間を売って金を得たわけでもない、組織を乗っ取ったわけでもない。
ネロにとってのメリットはなんだろう?

永遠の監獄に入ってしまえば、もうブラッドリーはぼろぼろになることはない。盗みをしないからだ。

長い長い刑期を終えるまで、絶対に「死なない」


ネロは「死んでほしくない」という欲を優先し、こんな行動に出たのではないか。ブラッドリーがどこかで生きているという確信があるから、居場所がなくても、素性を隠しても、ネロはなんとか生きながらえたのではないか。

図らずも、ネロが目を背けた「約束」に、彼は救われたと言うことになる。そのことをブラッドリーは知る由もないわけだが…


ということで、不慣れながらネロとブラッドリーについて考察を試みた。

これまで私は、この二人についは、あまり切なさや苦しさを感じていなかったのだが、今回のストーリーで「食べること」「見ること」に注目してみて、「これはしんどいぞ…」と思うようになった。

もちろん、二人が明確に「約束」をしていたとはされていない。

しかし、「指輪」というモチーフ、そして命の預け方から考えて、これはもう「約束」と考えていいだろう。そして、魔法使いを無力化してしまう「約束」によって、二人はなんとか生きながらえている…

これは、「約束」に縛られる他の魔法使いにとっても、重要なことではないだろうか。特に、明確に「約束」をしているミスラやシノにとって、何らかの救いになればな…と思った。

そして何よりも、ネロとブラッドリー本人たちには、頼むから思い込みを外して、しっかり相手を見てほしいと願うばかりである。

そういう意味では、カインがオーエンを「見ること」を忌避しなくなったカイン・オーエン組よりも、もう少し難しいのがこの二人かもしれない。
2部で進展があると信じて待ちたいと思う。

次の記事では、私にとっての最難関。フィガロとファウストについて書く予定である。毎回彼らには苦しめられているが、今回はどうだろうか…とにかく幸せを願っている、それだけである。

長文にお付き合いいただき、ありがとうごいざました!

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