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【アイナナ4部考察】Re:valeは「過去」を再定義する(ネタバレ)

【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。

アイナナ4部、13章である。
TRIGGERの「crescent rise」が実装され、記者会見も終了。ナギ問題にも解決の兆しが少し見えてきた。ここで4部冒頭から匂わされていたRe:vale問題が再浮上。その過程で、これまで他グループとの交わりを一切していなかったTRIGGERがRe:valeと久々に会話する。今回は特にRe:valeのことを考えてみたい。

正直言ってこれまでTRIGGERのことばかり考察してきたので、Re:valeに関してはさらに自信がないが、「過去」というキーワードで2つのグループを考えていきたいと思っている。

※2021年8月追記 Re:menber読了後に再考察しました。

まず「Re:vale」というグループ名についておさらい。
アイナナやTRIGGERと違って、グループ名の由来がパッと見よくわからない。google先生におたずねしたところ、イタリア語で「vale」は「価値」、「Re」は「王」「再」どちらもありそうなのである。これまでRe:valeは王者王者言われてきたので「王の価値」の意味なら「まあそうだろうな」というところだろうが、私は「再価値」の方の意味を掘り下げていきたい。既存の価値を再定義する、ということは、Re:valeにとって重要なのは「過去」である。


1.「過去」に縛られ、「過去」に触れられたくないRe:vale

マネージャー各位には今更確認するまでもないことだが、Re:valeはもっとも重たい過去を持つグループである。オリジナルメンバーであった大神万理がライブ中に事故で負傷し、その治療費のために千が不本意な事務所契約を結ばないように、万理が失踪するという…
私は恥ずかしながらスピンオフ漫画などを読んでいないため深く言及することは避けたいが、4部になってその万理問題が掘り返されており、Re:valeは2部で乗り越えたかに見えたこの問題を、完全には解消できていなかったことが示される。

具体的に何を解決できていないのか?というところを確認しておきたい。

この件に関して、百と千には埋めがたい格差があるといえばいいだろうか。それぞれが異なる罪悪感を抱き、「過去」に触れる時、百は千にひれ伏すばかりである。「過去」がなければRe:valeは存在しないが、「過去」が足枷になってもいるのだ。

2部の百声でない問題が解決した際に、「5年間しかRe:valeをやらない」という呪縛からは解放されている。ただし、百も千も未だに、過去のRe:valeという存在を乗り越えてはいないようなのである。
その証拠に、「未完成な僕ら」は未だに歌唱されていない。
これが歌唱されてはじめて、Re:valeは過去を乗り越えられるのであろう。

それが達成されるまえに、ツクモによって問題が蒸し返されてしまったのだ。ったく、つくづくツクモは余計なことをしてくれる。

もう一つ、Re:valeの「過去」の特徴として4部で顕著なのは、
「触れられたくない」
特に千である。
万理のことも百のことも、それを引き起こした自分でさえ整理がついていないのだから、他人にどうこう言われたくないというのである。百が過去に触れにくそうにするのは、この千の思いを感じているからであろう。

では、千はいつになったら「過去」を整理し、納得するのか
腫れ物に触るようにしているだけでは、「過去」の呪縛から解放されることはない。静かに、ゆっくりとだが、自分を締め上げていくのが「過去」だろう。

二度と百を不幸にしないために
二度と千を不幸にしないために
「過去」に蓋をして生きる。「過去」のために今を生きている。
そして奇しくもこの「過去」が弊害となり、反ツクモ同盟は頓挫しかかっているのだ。

このRe:valeの「過去」観の対照的な考え方を獲得したのが、TRIGGERなのである。


2.「過去」を恥じない今、TRIGGER

「過去」問題では一番打撃を受けているはずのTRIGGER。
しかし彼らは強かった。「過去」に固執しなかった。この強さは、4グループの中でも突き抜けたものになっている。
13章の記者会見での八乙女楽の台詞が、まさにそれを物語っている。

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「どんな場所でも、そこにいる人たちの思いを全力で受け取って、全力で表現し続けてきました」

つまり「今」を生きてきた、その連続が「過去」であると、そういうことである。「過去」に傷がついても、「今」を全力で生きることで、「過去」に恥じない自分たちでいると…なんという強さか。

しかしこれは彼らが昨日今日で身につけたものではない。すでに3部の冒頭でも九条天が同じようなことを発言していた。それが日の目をみたのが、4部だっただけだ。(八乙女父曰く、「与えられたものだけでは成長しなかった」とのことなので、3部の動乱のおかげで開花したと言っていいだろう)

八乙女楽はここで「俺たちはなにも変わっていない。俺たちらしくいただけだ」という発言もしているが、それが言えることこそが変化だと彼は気がついているだろうか。これまでのキャラ付けは消え、全員が戦闘態勢である。天使もエロ担当も抱かれたい男もない。「どの名前でも同じこと」、、、つまり、TRIGGERの中身は変わらない。

「願いはshineontheSea」で自分らしさを見失った三人は、求められる自分と、本当の自分をようやくつなげられたのだろう(一致している、という意味ではない)。だからこそTRIGGERの「本当の強さ」を明るみに出すことができたのだ。これには本当に泣いた。姉鷺さんも号泣だろう。
(ただし、天と九条の問題は棚上げされたままなので、TRIGGERもまだ完璧に過去を吹っ切れたとは言い難い)

さて、このTRIGGERの在り方がRe:valeに影響していく
前述した通り、Re:valeはもっとも過去の呪縛が強い。過去に「百を幸せでいさせる」ために頑張る決意をした千は、百の前で泣けずにTRIGGERの前でようやく泣くのだ。
なぜ、TRIGGERの前だったのか。


3.Re:valeの「引き金」としてのTRIGGER

ここでもう一度グループ名の話に戻りたい。
Re:valeには「王の価値」という意味もあった。彼らは「王者」
王者というのは「戦いの結果」生まれるもので、「戦闘を開始する」存在ではない。だから反ツクモ同盟はうまくスタートをきれないのだ。

一方、TRIGGERはその名の通り「引き金」、つまり「開始する」存在。
ツクモに襲われるのも、奈落を這いずり回るのも、ぜんぶ彼らが一番乗りである。そして三日月狼では三人が全員、武士…「戦う存在」を演じる。
つまりTRIGGERは、王者Re:valeの刃。切り込み隊長なのではないかと思うのだ。

だから千の涙を見たTRIGGERは、「Re:valeが笑ってかっこよくいる世界がすきだった」といい、そのあとに「やるぞ!奇跡を起こすぞ!」という決意を新たにするのである。戦闘態勢全開、守りに入らないTRIGEERはやはり刃である。

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思えば、Re:valeがゼロのカバーをしてバッシングされた時、世論の動きを変えたのはTRIGGERだった。ラスディメをアカペラ披露した時のことである。
そしてTRIGGERの窮地に、自分たちのTV中継のバックダンサーとしてこっそり出演させたのはRe:valeだった。その時Re:valeは「反撃開始」だと言った。ずいぶん前から、TRIGGERはRe:valeの最上級の武器だったわけである。

最高の切れ味を手にした武器は、今度は王の窮地を救うはずだ。
きっとRe:valeも「今」を生きられるようになる。TRIGGERのように。
Re:valeとTRIGGERは「やり方は違うけれど、思いはつながっている」ということがはっきりと明示された13章であった。

念のため、他2グループの「過去」もざっくり確認していこう。


4.「過去」を悔やみ、赦しを求めるzool

アイナナよりもグループの歴史が浅いにもかかわらず、大変な「過去」を背負ってしまっているのがzoolである。
3部で、ツクモに言われるがままに、個人の「過去」につけこまれ、面白半分でTRIGGER潰しに加担した。自分の「過去」に復讐するために、TRIGGERに攻撃したのがzoolだ。
4部に至り、ロックフェスでグループの団結を確認したり、ナギ救出に協力したりする彼らだが、この「過去」は変わらずに彼らを縛り続ける。特にトウマと虎於に顕著である。

トウマはロックフェスで改めて、この4名で歌っていくことへの価値や幸福を見出しているのだが、その直後にこの「過去」がそれを阻む。

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「俺は二度と、一生、自分を誇れることはないんだろう…」
これは結構キツイ一言である。つまりトウマとしては、TRIGGERの受けていた賞賛を手酷く奪った自分たちが、同じ賞賛を受けたとしても、「過去」の罪が我が身を苛むということなのだ。やはりトウマはこのグループの中で、自分たちの内部問題やファンのことなどを一番理解している。ツクモが彼を「スパイ」認定しているのも、このあたりの感覚がTRIGGERやRe:valeに近づいてきているからだろう。
彼の罪悪感が払拭されるとき、はじめてzoolはツクモの呪縛を逃れるのではないか。

虎於は龍に電話し、探り探りではあるものの「TRIGGERが三人で立つはずだった舞台を妨害したことへの謝罪」はしているが、龍には拒否されている。

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虎於はトウマよりは深刻ではないのだが、素直であるがためにちょっと厄介である。彼は未だに、「龍がファンに嘘をついていた」ことと「自分たちがTRIGGERの舞台を妨害した」ことを結びつけてしまっている。龍も言っている通り、これは全く別問題である。罪の種類が全く別だ。虎於がファンという存在にしっかり目を向けられるようになるには、もう少し時間がかかるだろう。

悠は「自分を好きになるために、居場所が欲しいから歌いたい」、巳波については歌云々より、桜春樹問題への贖罪で精一杯なので、やはりトウマほどアイドルとしての生き方を深く考えられてはいない。

zoolが足並みをそろえて、ファンを喜ばせた上で、認められる、居場所を得られるというところまで到達するには、もう一波乱ありそうである。

何よりも、TRIGGERにまつわる「過去」の罪悪感を払拭しない限り、このグループに赦しはもたらされない。ここを曖昧にしたままリバレやアイナナと親密になったところで彼らは先に進めないのだ。おそらくこのゲームであればzoolを最終的に救済するのであろうが、タダでは救ってくれないだろう。おそらく一度落とされるはずなのだ。それはおそらく、アイナナ絡みになるだろう。つまり、ブラホワだ。


5.「過去」を持たないアイナナ

これはご批判もあるかもしれないのだが、アイナナについては、グループとしての「過去」は存在しないというのが、私の見解である。
確かに、デビューイベントの失敗やミューフェスの一織トラブルはあったが、それは「過去」といえるほど今と断絶したものではない。もちろん、個人個人に「過去」はあるのだが…

反対に考えれば、いつ、今が「過去」になるかわからないという恐ろしさがあるのだ。
今、七瀬陸をセンターとして、アイドル街道をひた走る彼ら。個人の問題をひとつひとつ解決しながら、でもグループという形態を守って活動している。これが「過去」になるとしたら?それはグループがグループでなくなるとき。アイナナの崩壊である。

4部の二階堂大和が、実父千葉氏の言葉をうけつつ意味深な台詞を吐く。

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「過去に復讐されて、過去に助けられながら、優しくないけど優しい、弱くて強い、俺たちみたいにずと戦ってるやつ」

これを聞いたzoolは、もちろん彼らの過去の所業に思い至るのだが、アイナナメンバーに関しては、あまりピンときている様子が見えない。二階堂大和ですら、これはグループの問題を対象にしては発言していないと思うのだ。あくまでも、「過去」は個人の問題として捉えているのが、アイナナというグループである。「現時点では」だが。


6.Re:valeは「過去」を再定義する

さて、Re:valeに話を戻そう。
Re:valeはTRIGGERの復活を目の当たりにし、まずは自分たちの「過去」を乗り越えるだろう。そして、彼らが次に着手するのは「アイドル」という世界の「過去」である。
このあたりは、13章の八乙女小鳥遊パパたちの会話で匂わされていた。

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これからRe:valeを筆頭にしたアイドルたちが対峙するのは、アイドル界の「過去」なのである。それは打倒ツクモであり、いろいろなしがらみであり、芸能界の暗部である。それらを再定義し、あらたなアイドル界をつくろうとするのがRe:valeである

もちろんその「過去」には「ゼロ」も含まれる。
このあたりは、イベントストーリー「星巡りの観測者」でも少々匂わされていた部分かなと思っている(考察記事リンク)。ホープとカースと同様、星玉(=アイドル界)は、千百が守るのだ。

それを阻むのは過去の妄執にとらわれた、九条やツクモだけではない。
おそらく、アイドル界を崩壊させるのは「七瀬陸」だと思うのだ。

4部では今の所あまり強調されていない訴求力だが、これはブラホワに向けて強化されていくだろうし、何より一織が夢で「俺をスーパースターにしてよ。俺は消えちゃうけど」などという不穏な発言をする陸に遭遇している。3部での九条の「モンスター」発言も、置き去りにされたままだ。
13章で一番怖かったのは、ナギが撮影に合流した時に、七瀬陸だけが遅れ、泣かなかったことである。これから彼はアイナナの中でどんどん異分子になって行くのではないか。暴走し、ゼロ化するのではないか。

ブラホワはZool対アイナナになるだろう。そこで七瀬陸が何かやらかす。それによってzoolは本格的な挫折を味わうことだろうし、それはTRIGGER潰しに加担した「過去」から復讐されるということだろう。
そして七瀬陸に「ゼロ」の復活を見た人々は旧アイドル界にとどまり、せっかくRe:valeが進めた「過去から今」への進化を、逆行させることになってしまう。

自分で予想しておきながら最悪なシナリオだが、ありえない話でもないと思うのである。この文脈になった瞬間、アイナナのこれまでは「過去」になる。アイナナが「過去」に復讐されるターンが、本作の最終章の幕開けになるのではないかと予想している。

百の動きからして、
ツクモ兄+Re:vale+TRIGGER 対 ツクモ弟+zool
という構図になるだろうが、アイナナはRe:valeにつくつもりで、第三勢力(ゼロ)に取り込まれそうで怖い。内部分裂だけはやめてくれよと思う。九条と桜春樹とゼロの動きが見えないのも怖い。三月と一織の問題も未着手である。二階堂大和にも「水風呂」問題が残っている。実は「過去」になったとき彼らを苦しめそうな問題を多く残しているのがアイナナでもあるのだ。

Re:valeがアイドル界の「過去」を再定義するとき、人身御供として七瀬陸が「消える」というのは考えうる最悪のシナリオだが、それをなんとか回避していく物語であって欲しいところである。

長々ととりとめもなく書いてしまった。
さまざまな「過去」への向き合い方があるなかで、アイドル界の「過去」と「現在」「未来」はどう扱われていくのか…!まだまだ先は長そうであるが、気長に待ちたい。


長文にお付き合いいただきありがとうございました!


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