晴れやかな表情が運をあげる
三十年以上も神戸に住み、仕事をしてきた。人生の大部分はこの地と結びついているから、生まれ育った北京を完全に凌駕したことになる。とはいえ、中国と日本は近い隣国だ。疫病の流行期を除けば、今は簡単に行き来できる。
一時帰国し、空港で入国する際、パスポートにスタンプすら押されていなかった。画面をタッチするだけでスピーティ通過。なんら違和感もないが、ただスタンプが押されたままになっていないか心配になり、国境警備隊員に尋ねたこともあった。結果、その人は何も言わずに微笑むだけだった。その表情は晴れやかで、心配するなと言ってくれているようだ。
日本で永住者の申請を提出したとき、入管の相談窓口にも同じような表情もあった。その当時、国道2号線に近い神戸三宮の入国管理局で、大行列ができていた。相談窓口にはスーツを着た初老の紳士がいた。ぼくに 「あなたの職業は何ですか?」と尋ねた。「ライター 」と答えた。すると「どの言葉で書きますか」と聞かれたから、ぼくは「日本語です」と即答。
彼はぼくをみて、申請用紙の職業欄に「自営業」と書いた。そして、親指を立て、晴れ晴れとした表情で「えらいね」と言った。案の定、申請書類はすぐに通り、後に永住者の資格を獲得することができた。以後、あのような晴れやかな表情に出会うたびに、いつもその方を回想し、今はどうしているのだろうかと思った。
以前、シンガポールにいたとき、空港で幼なじみと会ったことがある。人混みの中に移動しているから、何も言わず、ただ手を高く上げていた。お互いに表情はとても晴れやかだった。その後、彼はロサンゼルスに行き、「毛兄は晴れやかな表情をしているね」というメールを送ってきた。
昨年の夏、中国の親友が神戸市内でカフェを開いた。中国人と日本人の学生を連れて行ったところ、後に学校のニュースにもなった。これからもみんな晴れやかな表情で一緒に前進していこう。
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