メルカリ内の「経済圏」は革命なのかもしれない

フリマアプリであるメルカリは、現金出品も問題となっているが、生活保護受給者が銀行口座を介さずに金銭をやり取りできることも問題視されている。

生活保護受給者は口座への入金があった場合、収入とみなされて支給額の減額ないし打ち切りが行われるが、メルカリ上での売り上げを現金化することなく別の物品の購入費へ充てることで、実質収入を増やすという裏道が存在する。メルカリでの売却益をそのままメルカリでの購入費に当てる、つまりメルカリ内だけでお役所から見えない経済圏が完結しているため、不正受給や脱税の温床となる可能性が危惧されている(実際どの程度かは詳しくは知らない)

この話を聞いたときは「セコいこと考えるなぁ」程度に思っていたのだが、以下の記事を読んで「これは既存経済圏に対する革命ではないのか?」とふと思った。

「非正規雇用者のサイレント革命」

http://blogos.com/article/221674/

(引用)

「お金を稼ぐこと」は実はシンプルで、「自分のサービスを、何かと交換してくれる人」が見つかればいいのだ。直接交換することで、中抜きがなくなる。交換代金は自分で交渉できるし、別にお金じゃなくても、1週間分の野菜とかでもいい。

~中略~

これからの時代、非正規雇用者のような経済的弱者は、「中抜き」という強者のルールから外れた生き方を目指すべきだと思う。

(引用ここまで)

「野山になっている柿はタダだが、店で売っている柿は高い」との例を挙げているように、中間業者を抜いて自分と相手が直接やり取りすれば利益は最大化する。メルカリはまさにそれで、自分にとって不要なモノを売り、相手が直接それを買う。メルカリが売上から手数料を10%引くが、ブックオフなどの中古市場に買取を依頼するよりも遥かに金になる。実際、メルカリが普及しだしてからこの手のリユース業界が大打撃を受けているという話もある。(参考:http://toyokeizai.net/articles/-/170347)

メルカリは都市部よりも地方での利用者が多いと聞くが、これも上記の記事にあるように「中抜きのない直接取引が盛んな環境」とも合致する。映画「ひるね姫」では自動車修理の代金として野菜を貰うシーンが描かれていたが、そういう環境であれば収入を100%給料(賃金)に依存するよりも物々交換やメルカリの利用を織り交ぜた方が金銭的安定性が高いのではないか。

自由貿易が経済を発展させた一方で、職を奪われた人々が保護主義政策を訴えたりしている。メルカリによる「閉じた経済圏」は、繋がり合う経済圏から取りこぼされた人々の砦なのではないか。

そして、騒がれている不正受給の件も、強者が支配する経済圏への革命なのではないか。そんな気がしてくる。

まぁ実際の所、メルカリでのもう1つの問題である現金出品問題については、強者が弱者から搾り取る構図なので、一概にメルカリ自体が弱者のためのものとは言えないわけだが。けれどメルカリが広げた波紋がどうやって広がっていくのかはとても興味がある。

既存の経済システムに適合できなかった人たち、取り残された人たちが、メルカリという舞台で再起を図れるのかもしれないし、それはそれで面白い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?