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川崎ゆきお
2021年7月31日 14:12
そのものズバリの現実を見てしまうと、それまでだ。その入口とか、手前とか、それに達していないときの方がよかったりする。 完成されすぎたものは完璧で、それ以上のものはもうない。想像の余地がない。想像していたものがズバリそこにある。これは目的を果たしたことになるが、それだけの話だったりする。意外と極めて当たり前のものが、当たり前のようにそこにあるような。 当たり前とは、予想が当たった場合、その
2021年7月30日 13:14
暑いとき、じっと座っているとますます暑くなる。座っているだけでも暑い。その状態でやっていることは、暑い暑いと言っているだけの感じだが、そう始終思い続けられるるはずがない。暑い暑いにもネタが切れる。 それで佐久間は動くことにした。部屋の片付けを本気でするわけではないが、ここにあってはいけなものを持ち、本来あるべきところに戻すとか、その程度。これはトイレに立つとき、ついでにやっているのだが、そ
2021年7月27日 13:47
「暑いので、何ともなりません」「私は寒くても何ともならん」「寒いのに弱いのですか」「いや、季節に関係なく、年中何ともならん」「それは安定していて、いいですねえ。私なんて、ムラがある。春の終わり頃から秋の初めの頃まで何ともなりません」「それは長いですね」「しかし秋の半ばから、春の中頃までは調子が良いのです」「年の半分はいけないと」「はい、いけません。特に真夏は絶不調です。何をする
2021年7月24日 12:37
同じことを繰り返していると、要領が分かってくる。処理が上手くなり、早くなったり、効率が良くなる。 しかし、あるところで、それは頭打ちになる。日常的によくあること。それ以上はもうないような。普通は、そこまで行けば、もういいだろう。最初の頃に比べ、かなり慣れたということ。 そうなると、次に何か来るのか。まずは飽きが来る。この飽きも、飽きたことさえ分からなくなるほどの飽き方になれば、立派なもの
2021年7月23日 13:02
森に入るのがいいと聞き、高岡は、木の生えているところへ行った。近くで複数の大きな木があるところは神社。森と言うよりも林だ。木、林、そして森。広い林のことを森というのだろうか。林よりも木の本数が多いところ。 神社に神木があり、これ一本で何本分かあるので、遠くから見ると、これだけでも立派な林だろう。また、枝の拡がりから、何本も立っているように見えたりする。 高岡はその神木の下で、じっとしてい
2021年7月22日 12:58
「暑いですなあ、三十五度越えですよ。今年初めてじゃないですか。こりゃ炎天下、外に出られない」「しかし、ここまで来たじゃないですか。一応、真夏の空の下を歩いて来られたのですから大丈夫ですよ。真冬から、いきなり真夏なら別ですが、徐々に暑くなっていくので、身体も準備していますよ。急激な高温じゃない」「でも、暑くて、もうフラフラだ。これはえらい。もう日中の外出は控えます」「そうですか。それは残念
2021年7月21日 13:05
先ほどまで晴れていたのに妙な音が聞こえる。まさかと思い、高岡は耳を澄ませる。やはり雨音だ。間違いない。雨は降らないと思っていたので、雨音だとは分からなかった。何か違う別の音だと思っていた。 梅雨時、晴れていても、いつ降るか、分からないもの。人間の予定通り行ってくれない。予測はできるが、当たらないこともある。 高岡は昼食後、少し昼寝をし、そのあと散歩に出る。これは日課。余程のことがない限り
2021年7月20日 13:33
「最近機嫌がいいようですが、何か良いことでもありましたか」 古い家並み、殆どが空き家。古いといっても時代劇に出てくるような家ではない。昔の平屋の市営住宅のようなもの。一戸建てだがお隣は非常に近い。それでも庭がある。ガレージはない。その必要がなかった時代のためだろう。 庭と庭が隣り合っており、お隣同士、それで行き来している。どちらも、数年前に借りた程度なので、余所者だ。 しかし、昔から住ん
2021年7月19日 13:38
「自分を変えないといけないんだ」「そうだね」「自分が変わることで世界が変わる」「そうだね」「分かってくれたか」「えーと、何を変えるんだった」「だから、自分だ」「自分の何を」「考えだ」「ああ、考えねえ。そうだね。考え方を変えれば世界も変わるかもしれないねえ」「自分を変えないと進歩もない。展開もない。それに自由もない。変える自由はあるのに、変えない理屈はない。変えていいんだ。い
2021年7月18日 12:36
世の中には妙なことを言い出す人がいる。夜中、家の前の通りを見ると、巨大な甲虫が歩いていたとか。 町内の生活道路なので、車がすれ違えないし追い越せない。一方通行ではないので、対向車が来たらどうするのだろうかと、そちらの方を心配したりする。 また、海亀、ゾウガメなどよりも大きく、浦島太郎の亀よりも大きく、戦車並みの亀が水辺にいたとか。これも同じ人の目撃談。 甲虫と亀のスケールが合っていたり
2021年7月14日 13:09
「暑いですねえ」「梅雨の晴れ間ですよ」「すっかり真夏になっている」「また、雨が降りますから、真夏はその先です」「これだけ暑いと、今年の真夏はかなり暑いでしょうねえ」「さあ、昨日までは雨で涼しかったので、その落差で、より暑く感じるのでしょう。気温的には真夏の高温よりも、低いです。これが真夏なら、今日などは涼しい方かもしれませんよ」「そうですね。初夏の頃、もの凄く暑い日がありましたよ。
2021年7月13日 13:07
「さっさと済ませて、終えたいねえ」「少し時間がかかっています。手間取るところがありまして」「手間ががかかるところがあるのか」「はい」「何とか省略しなさい」「しかし、それでは」「問題にする人はいない。中味なんて何でもいいんだ。内容は問われない。だから、適当にやっつけてしまえばいい。早く片付けて、楽になった方がいい」「楽に、ですか」「解放されたい。遊びに行きたいのでね」「どんな」
2021年7月12日 12:22
「束の間がいいねえ、長引かない方が」「はい」「ほんのひと束の時間」「束ですか」「藁のひと束。まあ、藁は大きいが、もっと小さな束。たとえば一握り程度の」「束になってかかっても敵う相手ではないといいますから、ひと束が一人だとすると、多いですねえ。何人もでかかるのですから」「一人は少ない。集団になると多いが、一人一人は小さなものですよ」「そうですねえ」「束の間、ほぼ一瞬に近い」「人
2021年7月11日 12:17
「体調はどうですか」「まずまずです」「それはいい。体が資本ですからね」「その資本はあっても、本当の資本がありません」「資本は作るものですよ」「その資本がありません」「そんなにいらないのです。資本を集めますから」「その集める資本がありません」「それは資本とはいわないでしょ」「切手代が」「え」「電車賃が」「ほう」「提供者がいても、喫茶店代が払えません」「別に会う必要はあ