2019年5月の記事一覧
簾のかかっている空き家
然一と名乗る僧侶が村に棲み着いた。村の外れに空き屋があり、そこに住んでいる。
何故かそこにポツンと家がある。夜になると真っ暗。お隣がいないので当然だろう。
何もない空き屋だが、簾が下がっている。まだ陽射しが強い時期ではない。
前の住人が忘れたものだろうか、大して値打ちのあるものではない。何処にでもあるよう葦の簾。
部屋が暗くなるので然一はそれを外し、丸めて納屋に入れた。納屋の中は何も
何でもいい人よくない人
何でもいい人は、何でもしてしまう。何でもでは良くない人は良いことしかしない。両者とも、そんな極端な人はいないだろうが。
何でもいい人はこだわりがないのか、または無知なのか、価値の強弱をあまり付けない人かもしれない。
外食のとき、何を食べようかと決める。そうでないと店には入れない。すると外食にならない。外食に出たのだから、店に入る必要がある。屋台でもいいし、買い食いでもいいが。
ところが
ソシュールを聴きながら
薄暑の頃、疋田は憂鬱になる。気候は春からさらに勢いづき、日も長く、元気いっぱいで、お膳立ては揃っている。それが憂鬱なのだ。何をするにも良い調子でいく時期なのだが、やることがない場合、勢いだけが空回りする。そしてやや汗ばむ時期なので、いい汗を出して動きたいのだが、なかなかそうはいかない。
疋田は早く梅雨入りし、鬱陶しい天気になるよう期待する。そして湿気に満ちた重い空気の方が疋田には合っている