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カンヌ間近、One Show2021 グランプリ発表&受賞作から

国際広告賞ラッシュが続きますが、先日のD&ADに続いて3大広告賞の1つ、One Show 2021の受賞作が発表になっています。

全ての受賞作の中から選ばれるBest in Showには、インテグレーテッド部門から生理用品ブランドLibresse/Bodyformの"#wombpainstories"が選ばれました。

"Blood Normal"、"Viva la Vulva"などで今まで語られてこなかったタブーを描いてきたBodyformは、今回はpain(痛み)にフォーカス。女性の10人に1人が悩んでいると言われる子宮内膜症(endometriosis)や腺筋症(adenomyosis)など、おおっぴらに話したり相談できないが故に知識の得られなかったテーマを明るみに出しすことで、話題にしやすくしたり、悩みの解消の一助となることが目的です。話題を誘発するものとして、傷みを比喩的な言葉やアートで表現したPain Doctionaryやリサーチ結果をまとめたPain Report、ヴァーチャルの博物館Pain museumなどを様々なコンテンツを制作、拡がりのあるキャンペーンを構築しました。

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また、起点となる3分以上に及ぶ完成度の高いムービーは、実写と13人の女性アーティストのアニメーションによる傷みの表現をクロスオーバーさせたストーリーで、It's not that simple.(そんなに簡単な話じゃない)、あなたの話を聞かせて(#Wombstories)とメッセージします。エミー賞受賞の女性映画監督のニーシャ・ガナトラがディレクション。


その他、各カテゴリーのグランプリに当たるBest of Disciplineの中から、まだ取り上げていなかったものを一挙ご紹介します。

Film部門から、ヘッドフォンブランドbeats by dr.dreの“You Love Me”。「あなたはブラックミュージックやファッションがアスリートが好き。でも、私のことは好き?」と警官の黒人暴行事件や人種差別運動が加熱する中、その本質を問いかけます。大坂なおみやレーサーのダレル・ウォレスJr、アクティビストのジャナヤ・カーン、ラッパーのリル・ベイビーなどが出演。ナレーションは、ラッパーのTobe Nwigwe。演出は、ビヨンセのMV等で有名な女性ディレクターのMelina Matsoukas。

Mobile部門から、アメリカのキャンディブランドStarburstの"Best Enjoyed Vertically"。縦長の新商品Swirlersの発売をVertical画面をモチーフにした可笑しいムービーで告知。縦だと楽しめると、商品につなげました。

Social Media部門から、Oreoの“The OREO Doomsday Vault”。2020年10月、小惑星が地球に大接近するというニュースの1人のOreoファンからのなにげないツイート、「小惑星が地球に接近したら誰がOreoを守ってくれるの?」に大真面目に取り組み、22日間かけてノルウェーの北方にOreo専用の地下貯蔵庫(Vault)を作り上げました。TVニュースはもとより、ノルウェー環境局までもこれを紹介するなど話題に。

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Creative Effectiveness部門から、児童を銃暴力から守る団体Sandy Hook Promiseの“Back to School Essentials”。典型的な入学シーズンに必要な持ち物のCMと見せかけ、その内容は銃を持った人間が学校へ乱入してきたときに必要なアイテム、というおぞましい内容へと変化していく。

同じく銃規制がテーマ、Health, Wellness & Pharma部門から、アメリカの銃規制を訴える団体Change the Refの“The Unfinished Votes”。学校内での銃乱射によって命を落とした17才の少年をAI技術によって蘇らせ、銃規制法案の成立を左右する選挙に行くよう同世代に呼びかけました。

PRINT部門から、レバノンの新聞An Naharの“The New National Anthem Edition"。男女差別が根強く残るレバノン、シンボルである国歌の歌詞にも"the birth place of men"と女性の存在がない。そこでAn Naharは、"the birth place of women and men"と変更した国歌を一面に掲載した新聞を配布しました。この投げかけに、新たな国歌を国民的歌手が歌うなどの拡がりを見せ、社会的気運が高まり女性初の大臣も誕生、正式な国歌の歌詞修正の法案も提出されているとのこと。

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In-House部門から、フランスの自転車メーカーecoxの“Emergency Bikes”。交通渋滞が絶えないパリでは、救急患者の搬送が遅れ命を落とすことが少なくない。そこで、自転車メーカーとして、緊急医療の医者のアドバイスを受けながら救急用医療自転車を開発、到着までかかる時間を40%も減少させました。

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