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念ずれば花開く|大人になってから初めてできた友達の話

わたしのおばあちゃんが大切にしている言葉であり、
おばあちゃんが好きな詩の本。

小さい頃から、会う度にそう言っていた。

母からの連絡。
入院しているおばあちゃんが骨折したと。
しかも、背中を。
おばあちゃんは足が不自由で、車椅子生活をしている。

母は、おばあちゃんのことを可哀想だと言った。
私は、おばあちゃんのことを可哀想だと言ってはいけないよ、なんて言い返すことはしなかった。
母は、10年近くも介護をしているから。

銭湯帰り、夜道を散歩していて、思い出した言葉。
手に持っているスマホで検索すると、あの頃に読んだことのある表紙を見つけた。

今の時代は便利だ。
少しだけ、試し読みができた。

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接していこう

二度とない人生だから - 坂村真民 詩集 念ずれば花開く

新しい仕事の初日を終えた夜。
最寄駅に着いた途端、電話が鳴った。

地元に住む、大切な友人からだった。

駅の近くに腰をかけて、
お互いの近況報告をした。

1歳年下の彼女は、留学生。
難民として働きに来た旦那さんへ会うために、
1年前から日本に住んでいる。

私と彼女の出会いは、お店で買い物をしているとき。
買い物に困っていた彼女は、
たまたま近くにいた私に声をかけた。

私は彼女の言葉を聞き取って、買い物の手伝いをした。

しばらく話していくうちに、
住んでいる場所が近所だということがわかり、
わたしたちは友達になった。

わたしにとって、大人になってから初めてできた友達。
それがとても嬉しかった。

その翌週の金曜日、彼女の家に招待された。

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