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私のオールタイム・ベスト 『下妻物語』

2004年、ちょうど高校一年生。
ガングロギャルの再流行で、金髪ミニスカルーズソックスでキメていたあの頃。eggやRanzukiの他にも、KERAとかZipperでロリータファッションや裏原系とか。

ゆとり教育が始まって「自分らしさ」を強く求められていたけれど、今より寛容じゃない。学校と家しか世界がなくて、でもインターネットではどんどん広い世界が押し寄せてくる。「なりたい自分」に追いつかないもどかしさ。

もともと嶽本野ばらの小説は読みやすくて読んでたけど、その中でも『下妻物語』はいっとう好きで、映画化するって聞いた時は、「え…中途半端なキャストや衣装でやらないでほしい」と拒否反応もあったなぁ。

『ギャルサー』ってドラマあったけど、全然ギャルじゃなくて気持ち悪かった思い出。

でも、深田恭子と土屋アンナがキャスティングされて一転!

深田恭子とセーラー服の親和性ってほんとに異常なまでに完璧で、女子高生演じさせたら右に出る人いなかったと思う。
とはいえ、『下妻物語』のときは20歳超えてたと思うから、ギリギリセーフというか。まぁ制服ほとんど着ないからね。

これが深田恭子と女子高生の最後の煌めきというのもあったし、何より、当時ロリータファッションを最も着こなせる女優だったと思う。

土屋アンナも、当初は清純系だったと思うけど、隠しきれないヤンキーみがあったし、あの原色の暴力な特攻服を着こなせるのはやっぱり土屋アンナしかいなかったと思う。

完璧な布陣での映画化!と心踊らせて劇場に行って、中島哲也監督の独特な世界観と深キョンと、BABYのお洋服の共演…

どこをとっても完璧な映画化だった。


樹木希林のおばあちゃん役もほんとに光っていて、頓珍漢なことばかりいうけれど、

おめぇの道を行け
他の誰とも違う
おめぇじゃなきゃダメだって道が
きっと見つかるからよ

このセリフにどれだけ救われたか。
樹木希林は、台詞に重みがあるんだよなぁ。
いい女優、本当に。

30過ぎて、久々に見たけど、いろんないろんな思いが重なって、泣きながら見た。

映画って、その時代の思い出だったり、その人の人生だったり、価値観が相まって、その人だけの特別な見方ができるものだから、じゃあ皆に「この映画最高だから見て!」っていう作品と「自分の中で大切な思いが詰まった映画」とがあるから、オールタイム・ベストってそういうもんだよな。

高校生の時の私と、今の私。
何回見ても大切なんだな。

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