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マンガ専用の多言語翻訳システム『Mantra Engine』を法人向けにリリースしました

Mantra株式会社の代表取締役・石渡です。

本日、弊社の最初の法人向けプロダクトである、マンガ専用の多言語翻訳システム『Mantra Engine』を正式にリリースいたしました!

『Mantra Engine』とは

『Mantra Engine』は、当社が開発したマンガ専用の機械翻訳技術を基幹システムに持つクラウドサービスです。

翻訳や漫画制作のワークフローに詳しい方ならご存知かと思うのですが、従来の一般的なワークフローでは、翻訳、文字組版、そして監修はそれぞれ全く別の独立した工程になっていました。

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例えば、翻訳者が日本語版のマンガを見ながら翻訳文章を一つずつエクセルに記入し、それを元にDTPオペレーターがInDesignで文字組版を行い、できあがった原稿を校閲の方や原作者、編集者がそれぞれPDFや印刷したゲラでチェックしていく…。原稿が上がったあとのマンガ制作をもう一度やり直すぐらいか、それ以上の手間がかかっています。

『Mantra Engine』は、これらのワークフローをすべて『Mantra Engine』上に一本化することを可能にしました。

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詳しくは是非以下の動画をご覧下さい。

このように、マンガの翻訳に特化した統合的な制作システムをクラウド上に実現することで、翻訳版の制作にかかる時間も、従来方法と比べておよそ半分程度まで削減することが可能になりました

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他にもマンガに特化したOCR(文字認識)や、マンガの吹き出し順序を考慮した文脈翻訳など、様々な技術がMantra Engine上で組み合わさっているのですが、このあたりは後日改めてこのnoteにてご紹介出来ればと考えています。

『Mantra Engine』で私たちが目指したこと

なぜ私たちがこのようなシステムを開発したのか。それは海外のユーザーにもっとも求められていることが「マンガのサイマル(多言語同時)配信」である、という認識があるからです。

我々が独自に調査したデータによると、海外で海賊版(Scanlation)を読んでいるユーザーの半数以上が、海賊版を読む理由として「公式に翻訳されるより早く読みたい」と回答していました。「読みたいマンガが公式に翻訳されない」とあわせて、オフィシャルな作品の流通量・速度に課題があり、仕方なく海賊版を読んでいる読者も多いのではないかと考えられます。
(「タダでマンガを読みたい」が46.1%もあるのは残念な結果ではありますが…)

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この仮説の裏付けとして、公式にサイマル配信を行うことが、海賊版の抑止に大きく繫がった『MANGA Plus by SHUEISHA』の事例があります。

『週刊少年ジャンプ』の編集部が、自身の海外向けプラットフォーム『MANGA Plus by SHUEISHA』を通じてジャンプのサイマル配信を行うようになったのは2019年1月からですが、その結果、大手海賊版サイトがジャンプ作品の配信を停止し、海外の巨大掲示板RedditでもMANGA Plus連載作品の海賊版へのリンクについては自動で削除が行われるようになったのです。

経済産業省の2014年の調査によると、マンガの海賊版被害総額は、米国のみで1.3兆円もあるそうです。このような海賊版の暗躍を抑え込み、正しく出版社や作家さんに利益が配分される社会を目指す上で、サイマル配信というのは非常に重要な方法のひとつではないかと我々は考えています。

簡単ではないサイマル配信を、実現可能なものにしていく

もちろん、連載を続けながら、サイマルでマンガを翻訳して配信することは、関係者にとっては非常に大変な負担になることは間違いありません。上記の『MANGA Plus by SHUEISHA』も多大な苦労があって実現しているサービスであることは想像に難くありません。

こういった負担を少しでも軽減し、すべての出版社が海外に向けてサイマルで配信を行うことができる——こんな未来を目指して、我々は『Mantra Engine』を開発してきました。

今まで当たり前にあった負担や苦労を、技術の力で少しでも減らしながら、世界中にマンガのファンを作り、増やしていくお手伝いをする——そんな仕組みを作っていくことが我々の使命であると考えています。

もしご興味を持って頂ける事業者の方や出版社の方がいらっしゃいましたら、ぜひ直接 info@mantra.co.jp までご連絡を頂ければ幸いです!

「世界の言葉で、マンガを届ける。」を合い言葉に、今後もMantraではマンガの世界展開に関わるあらゆることに尽力していきます。

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